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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

航空防衛作戦部隊論(第十回):航空防衛力、我が国と各国に関する現状の確認と認識

2015-09-26 22:18:00 | 航空自衛隊 装備名鑑
■戦闘機数の位置づけ
戦闘機数は充分かと問われれば様々な回答の余地がありますが、比較するとどういう状況にあるのか。

航空自衛隊は、強大な中国の航空戦力に対抗しなければなりません、が、強大とはいえその格差は、一対一の全面衝突を行う場合では勝てません、特に中国内陸部や奥地の基地を航空自衛隊が叩くことはそもそも想定していませんので、中国全土の空軍を殲滅するという発想は元々ないのです。

それでは日本の主権と領土を維持できる範疇の制空戦闘を行う、という、専守防衛の視点からですが、これは充分対応し得ます。中国空軍のSu-27やJ-10等の第一級戦闘機が637機、これ以外は960機保有していますが中射程空対空ミサイルを運用できず、空対空戦闘では航空自衛隊のF-4EJ改にも対抗が難しい。

我が方航空自衛隊はF-15戦闘機200機とF-2支援戦闘機80機にF-4戦闘機50機の以上戦闘機330機です。イギリスが戦闘機と攻撃機併せ223機、フランス空軍が219機、ドイツ空軍177機、イタリア空軍154機、スペイン空軍129機、オランダ空軍63機、数の上では一定以上のもの。

ただ、日中330:637の戦力比を埋めるには、航空団の編成と航空教育部隊の運用に就いて幾つかの変更を行う必要があります、航空自衛隊の戦闘機装備定数は280機、民主党時代の防衛計画の大綱では戦闘機定数270機でした、しかし、実数は330機ありまして、これは航空教育集団や飛行開発実験団所要を含めた定数となっています。

航空教育集団所要の新田原基地飛行教育航空隊第23飛行隊はF-15戦闘機一個飛行隊で、松島基地第4航空団の第21飛行隊は、F-2B支援戦闘機一個飛行隊です。高度な戦闘機戦闘訓練を行い実戦部隊へ要員を供給する目的で編成された部隊ですが、元々第21飛行隊は超音速機であるT-2高等練習機の後継に配置、第23飛行隊は防衛大綱の戦闘機定数削減を背景に教育訓練強化の観点から実戦部隊を改編し創設された背景がありました。

実戦機による高等練習ですが長期的には維持できません、何故ならば航空自衛隊の新しい戦闘機はF-35Aであり、F-35Aは単座型のみ、ですからF-15J,F-2Bのみを実戦機として航空教育体制を構築するよりは、新たに高等練習機を導入し、第21飛行隊と第23飛行隊を実戦部隊へ編入する選択肢は考えられるでしょう。

高等練習機は、T-4練習機によるかつてのT-2練習機の超音速機による戦闘機操縦課程の置き換えを構想したのですが、亜音速のT-4では残念ながら能力不足が指摘されていました。ただ、現代ではT-2退役当時と異なり、亜音速ながら戦闘機要員養成を重視し設計されたM-346のような機体があり、若しくは有事の際に補助戦闘機として用いる観点から、初期のJAS-39やF-16A等の導入、国産高等練習機開発等選択肢は考えられます。

北大路機関:はるな くらま
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コメント (7)
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