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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

検証:平成28年度防衛予算概算要求【1】 主要装備品、火器・車両・誘導弾の要求数

2015-09-01 22:26:56 | 防衛・安全保障
■二八年度予算概算要求公表
来年度予算概算要求が好評されました、表紙にはイージス艦あしがら、SH-60K哨戒ヘリコプター、F-35A戦闘機、RQ-4無人偵察機と、将来装備が並びます、そこで今回から数回に分け、その内容を検証してゆきましょう。

来年度は中期防衛力整備計画五年間のちょうど中間に当たり、平成26年度防衛計画の大綱に明記された統合機動防衛力整備と国際平和協力活動対応を期した防衛力整備の施策を厳しい財政状況下において実現する分水嶺となる年度でもあります、その施策の具現化へ防衛省より5兆911億円が要求が為されました。

第一回の今回は火器車両誘導弾の要求数を観てゆく事とします。89式小銃 3,000丁9億円、5.56㎜機関銃MINMI 30丁 0.8億円、60mm迫撃砲(B)1門 0.04億円、84mm無反動砲(B)6門 0.7億円、81mm迫撃砲 L16型1門0.1億円、120mm迫撃砲 RT2門 0.8億円、99式自走155mmりゅう弾砲3両 32億円、 10式戦車3両39億円、軽装甲機動車6両3億円、96式装輪装甲車8両 15億円、水陸両用車(AAV7)11両 74億円、と。

NBC偵察車1両 8億円、機動戦闘車36両 259億円、輸送防護車4両 9億円、車両・通信器材・施設器材 等283億円、陸上自衛隊の火器車両は以上の通り。航空自衛隊車両は軽装甲機動車1両0.4億円、航空自衛隊の火器車両は以上の通り。軽装甲機動車、6式装輪装甲車、NBC偵察車調達再開や新規調達装備等が並ぶ。

注目すべきは機動戦闘車36両 259億円、来年度より量産開始、取得費用が第一量産ロットながら10式戦車量産費用の7億円とほぼ同額となっており、機動戦闘車と10式戦車の二分化での費用面の課題が指摘される可能性も、なお10式戦車は維持生産となる、90式戦車と10式戦車の今後の運用や、90式戦車へ近代化改修を行うか否かの将来課題へも繋がるでしょう。

軽装甲機動車、96式装輪装甲車、NBC偵察車は今年度予算において要求されなかったため調達再開という言い方が出来るが、これは補正予算により取得が継続されたため生産ラインを維持することが出来た為の調達継続となる、一方試験調達に続く輸送防護車の本調達が開始され、本装備が中央即応連隊や各方面隊補給処保管の高機動車2型同様の海外派遣任務用待機車両として、若しくは普通科部隊へ広く配備される布石となるかにも関心を以て今後の展開を見守りたいところ。

AAV-7の調達は継続、中期防衛力整備計画所要を比較的短期間で整備するかに注目が集まる、一旦調達を中断すれば増備へ将来課題を残すが、安価な装備で無い為、10式戦車や96式装輪装甲車に99式自走榴弾砲等の整備計画に影響を及ぼすため、言い換えれば早期にAAV-7の必要所要数を調達した上で10式戦車の調達度合いを高め90式戦車の置き換えとする施策も考えられます。

誘導弾要求陸上自衛隊関連は、03式中距離地対空誘導弾 1/3個中隊196億円、11式短距離地対空誘導弾1式 41億円、中距離多目的誘導弾 12セット 67億円、12式地対艦誘導弾 1式 118億円と。誘導弾要求航空自衛隊関連は、基地防空用地対空誘導弾が来年度予算には要求されなかった。12式地対艦誘導弾 は調達に後年度負担を含む。

11式短距離地対空誘導弾の調達が緩慢で、将来的には81式短SAMのC型を近代化改修を行ったうえで長期使用し、A型とB型の後継に11式短SAMを取得し、予算に余裕が出るまでの期間を81式短SAMC型で対応する可能性がある。中距離多目的誘導弾は配備継続、79式対舟艇対戦車誘導弾後継と87式対戦車誘導弾後継を担う装備である為、この調達度合いの可否も課題となります。

北大路機関:はるな くらま
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コメント (84)
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