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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

検証:平成28年度防衛予算概算要求【3】 主要装備品、艦艇調達・改修の要求数

2015-09-07 22:34:55 | 防衛・安全保障
■平成28年度防衛予算概算要求
平成28年度防衛予算概算要求、第三回の今回は艦艇の調達及び改修と延命の要求について。

来年度概算要求に盛り込まれました新造の艦艇は、護衛艦(DDG)1隻1675億円、潜水艦(SS)1隻662億円、以上の二隻でこの他は支援船の建造と護衛艦の延命改修工事や延命改修部品要求、各種戦闘システムの能力向上に関する予算要求となっています。護衛艦(DDG)は8200t型のあたご改良型で、潜水艦(SS)は、そうりゅう型潜水艦改良型となるでしょう。

8200t型護衛艦はイージスシステム搭載艦で、あたご型護衛艦の拡大改良型として今年度既に1番艦の建造予算と2隻分のイージスシステムが要求されており、来年度概算要求には船体部分とその他の戦闘システムの建造費が認められたということ。そうりゅう型潜水艦改良型は、AIP機関を新型のリチウムイオン電池方式へ置き換えた実質的には改良型となります。

新造艦2隻となった来年度予算概算要求ですが、掃海艇が要求されていません、現在掃海艇は長らく機雷掃討戦へ最適な木造掃海艇から寿命の長いFRP製掃海艇に展開しており建造間隔を大きくしても掃海部隊規模を維持できる見通しはあるのですが、FRP製掃海艇は木造船体と異なり劣化破断点を越えると一挙に重大損傷に至る可能性があり、余裕ある運用には確実な調達が必要であることにかわりありません。

新護衛艦かが進水式が先日行われ、はるな、ひえい、しらね、くらま、の巡洋艦型ヘリコプター搭載護衛艦は、くらま、が2017年に任務を終え、ひゅうが、いせ、いずも、かが、の全通飛行甲板型護衛艦により置き換えられ、10年近くに渡るヘリコプター搭載護衛艦整備事業がひと段落しますが、今年度予算に盛り込まれた強襲揚陸艦整備事業が開始されます、来年度予算概算要求には盛り込まれませんでしたのでその次に注目が集まる事となりましょう。

コンパクト護衛艦に関する研究が今年度予算に盛り込まれました、満載排水量4000tの新護衛艦ですが、その建造はもう少し先になるようです、そしてこれは現在の、はつゆき型護衛艦と、あさぎり型護衛艦の長期運用を意味し、一時期護衛艦むらさめ練習艦転用の話が出ましたが完全に過去のものとなり、練習艦転用あさぎり型護衛艦の護衛艦復帰はすべて完了、来年度予算も延命と近代化改修予算が多く盛り込まれています。

艦齢延伸部品調達について、あさぎり型護衛艦の艦齢延伸部品3隻3億円、はたかぜ型護衛艦の艦齢延伸1隻8億円、こんごう型護衛艦の艦齢延伸1隻8億円、おやしお型潜水艦の艦齢延伸4隻30億円、とわだ型補給艦の艦齢延伸1隻1億円、エアクッション艇の艦齢延伸2隻1億円、工事と部品調達がわけられていますが、部品調達は以上の通り。

艦齢延伸工事について、おやしお型潜水艦の艦齢延伸4隻30億円、とわだ型補給艦の艦齢延伸1隻1億円、エアクッション艇の艦齢延伸2隻1億円、工事の実施については以上です。はつゆき型護衛艦等の艦齢延伸とあぶくま型護衛艦の艦齢延伸 は今年度予算にて、はつゆき型部品1隻、あぶくま型工事2隻と部品2隻が要求されています、部品調達と工事を包括したのでしょうか、この事業についてはひと段落ついたようです。

はたかぜ型護衛艦の艦齢延伸は、はたかぜ型護衛艦がターターシステムを搭載するミサイル護衛艦として順次イージスシステムを搭載したイージス艦へ置き換えられる方針ですが、はたかぜ型2隻が両方とも艦齢延伸工事をうける事となります、8200t型護衛艦に置き換えられる事となるのでしょうが、就役は2018年頃からとなるでしょうから、それまでの延伸ということでしょう、根拠としてSAMシステムの能力向上予算が組まれていません。

たかなみ型護衛艦の短SAMシステムの能力向上5隻0.4億円、護衛艦CIWS(高性能20㎜機関砲)の近代化改修、あたご型護衛艦の対潜能力向上(MFTA)工事1隻部品1隻31億円、あきづき型護衛艦等の対潜能力向上 (マルチスタティック)工事1隻0.5億円、あさぎり型護衛艦戦闘指揮システムの 近代化改修部品5隻27億円と。

たかなみ型護衛艦戦闘指揮システムの 近代化改修工事1隻部品3隻41億円、おやしお型潜水艦戦闘指揮システムの 近代化改修部品2隻33億円、おおすみ型輸送艦の能力向上工事1隻部品1隻12億円、以上能力向上改修の大将は部品調達と工事の実施を併せて25隻です、艦艇の能力向上は戦闘能力維持に重要な意味を持ちます。

今年度もこのたかなみ型護衛艦の短SAMシステムの能力向上事業については5隻分の部品要求が行われています、来年度予算要求においても5隻分が要求されていますが、たかなみ型は5隻だけですので、システム関連部品を分割調達しているのか、工事に至らずソフトウェアを定期整備の際に改修しているのか、という点が考えられるでしょう。

護衛艦戦闘指揮システムの 近代化改修は、今年度予算に護衛艦あさぎり型の護衛艦戦闘指揮システムの近代化改修関連部品3隻が盛り込まれましたが、あさぎり型、たかなみ型、おやしお型について来年度予算では進むこととなります。あさぎり型の延命改修も進んでいますので、海上自衛隊は同じく延命改修を行っている1980年代中期の護衛艦はつゆき型とともに1990年前後に建造された護衛艦あさぎり型を長期間運用してゆく方針と考えられます。

北大路機関:はるな くらま
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コメント (1)
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