おぐち自給農園、2反百姓の日記

-都市の貧困と農村の貧しさをつなぐ、「生き方」としての有機農業を目指して-

学会で熊本県小国町へ(10月28日~30日)

2011年11月06日 08時44分23秒 | 
 もう11月に突入で、週末は雨が続きます。

 先週末、10月28日~31日まで、日本村落研究学会の大会が熊本県小国町で開かれ、参加してきました。僕が所属している学会は、この時期に大会が重なっているので、昨年同様、慌しい日々が続きます。

 最近は、西のほうに行く機会がだいぶ増え、沖縄には行ったことあるのですが、今回は初の九州上陸でした。そして、久々の空港、飛行機で少々緊張…羽田から乗るのは人生初でした。どうもこういう乗り物はあまり好きじゃなく、離陸する時だけが我慢です。

 28日は、グリーンツーリズムのメッカとして有名な阿蘇、小国の町中を、バスでまわっていただきました。まずは(株)コッコファームが経営するたまご庵へ。ここで代表の話と昼食です。このたまご庵、想像以上に大きく、直売所あり、研修施設あり、加工施設あり、バナナ館あり、の複合施設で、平日にも関わらず、多くの人たちで賑わっていました。

    

 直売所は、本当に種類が豊富で、野菜から加工品、コッコファームの卵をふんだんに使用した加工品が多いのが印象的でした。写真は、食パンです。

 続いて、阿蘇の外輪山を案内していただきましたが、残念ながら霧がすごく、本当だったら一望できるというガイドの言葉もむなしく、霧がすぐそこでした。。。また来いってことですかね。

 小国の町中へ向かう途中、杖立温泉にも寄り、温泉街を見学。

    
 
 ここも、旅館ごとにプリンをつくっていて、それを食べ歩きができたり、パンフレットもオシャレで、面白い取り組みをしているようでした。ここもゆっくり行ってみたい。

 最後に小国の町を歩き、会場である木魂館に到着です。が、若造たちは、ここに泊まることができず、歩いて5分くらいの農家民宿「野いばらの家」に宿泊。民宿兼カフェ、レストランで、宿泊場所は改装された蔵です。

 個別報告を控えていたせいか、緊張していてほとんど写真を撮っていませんが、これが朝食の内容です。

    

 小鉢に多品目のお料理。この出し方は農家民宿の基本で、1つのものを多くだすよりも負担にならず、これでお腹も十分いっぱいになります。

 29日は、個別報告と地域セッション。昨年に引き続き、個別報告をさせていただきましたが、院生による発表が少なかったせいか、多くの先生方から指導的なアドバイスをいただきことができました。事実確認の質問よりもこういったアドバイスのほうがありがたい。
 
 そして懇親会は、小雨が降る中、豊後神楽、伝統芸能も上演していただきました。1日目はしゃぶしゃぶ、懇親会は焼肉と久々の肉続きで、重たい感じでしたが、野菜をつまみながら、ゆっくりと神楽を鑑賞。
 
     

 最近、伝統技能にも関心を持っていて、いつかこういう調査もしてみたいと思っています。長時間の演技、本当にすばらしいものでした。

 個別報告だけでなく、小国の地域づくりも学べ、満足のいく学会でした。そのまま、水俣にも行っているのですが、これはまた後ほど報告します。次回の村研大会は僕と縁のある地域で開かれます。とても楽しみです。

 12月は有機農業学会が北海道大学で開かれ、昨年と引き続き、個別報告です。学会の雰囲気も違うので、発表内容も変えて、訴えるようなものにしなければと練っているところです。まずは要旨を提出しなければ。

 シンポジウムも原発事故関連のものと北海道における有機農業の現状の2本立てです。周辺のかたがた、関心のある方はぜひお越しください。生産者の方々も多数出席されますし、社会科学系と自然科学系の人たちが混在する学際的な学会です。

 

信州麻サミットへ

2009年11月02日 07時29分37秒 | 
 塩尻へ久々の帰省をした後、10月24日、25日で美麻地区へ。信州麻サミットへ参加するため、とことこと鈍行でまずは長野駅へ向かった。長野は広い。塩尻から長野まで、1時間30分はかかる。東京から長野までの新幹線と同じくらいの時間ではないか。塩尻は新幹線が通っていないので、新宿からだと3時間弱。長野のほうが遠いのに・・・と思ってしまうが、電車に乗りながら、農村風景を見ていくのも楽しみの1つだ。

 会場はぽかぽかランド美麻。ここは道の駅だが、宿泊施設と温泉もあり、ここが麻サミットの会場。24日がサミットで、25日は村の文化祭。今年はインフルエンザの流行もあり、子供は家から出てはいけないとされているらしく、子供たちの姿はない。塩尻も同様で、小学校や中学校は休校だった。

 中学校、高校、大学での取り組みの事例報告。24日は地元の人よりも東京や遠方から来た人が多かったかな。だけど、1つの小さな村に村外から人を集めることができるだけでもすごいこと。25日はおやき祭も同時開催だったので、道の駅は大賑わいだった。

    

    

 道の駅で行われていた直売所の風景。これは一部だが、色も鮮やか、種類も豊富。目で楽しませてくれる。立派なタアサイ。かわいい大根。ここで野沢菜も発見。移動しているバスで外を見ながら、畑の様子を見ていた。どこの家でも野沢菜を育てている。当たり前の風景だが、そういえば、僕の家では蒔いていない。というか、蒔こう蒔こうと思い、種もあるのだが、蒔いていない。。。もう遅いかな。

静岡から横浜、そして長野へ②

2009年10月28日 21時47分20秒 | 
 今のいわゆる近代養鶏は、鶏を鶏として、生き物として扱っていない。これは色んなところで指摘されている。アニマルファクトリーだ。餌は抗生物質づけだし、飛び回るスペースすらないので、ストレスから病気にかかりやすく、それを防ぐために再び薬が使用される。僕らはそんな卵を食べているのだ。市販の卵はオレンジ過ぎて妙に気味が悪い。

 小川町で有機農業の研修をしていたとき、鶏のお世話もしていた。ここはそんなひどい環境ではなく、平飼養鶏だ。十分な空気、緑、土、水、太陽光がある心地よい環境。地面は籾殻を切りワラを30cm積んだフカフカのベッド。鶏たちはそこを自由自在に飛び回り、時にはそこにうずくまったり、地団駄踏んだりして遊んでいる。そして、その籾殻、切りワラは鶏の糞尿と混ざってサラサラな鶏糞となり、大地に還元される。常に鶏の足でかき回され、低温発酵している状態にある鶏糞は臭いもなく、鶏にとっても人間にとっても何の害もない。餌もクズ麦やオカラ、米ぬかの他に雑草もあげていたので、卵の黄身は鮮やかな黄色だ。きれい。

 韮山で案内してくださった方のお話を聞いて、ふと鶏のことを考えてしまった。今の鶏小屋は、その糞でベチョベチョになっていて、長靴でないと入ることができないし、何度も糞出しをしなければならない。鶏は目を真っ赤にして苦しそうにしているという。鶏にとっても人間にとっても悪い環境だ。人間にとっても苦痛な環境は鶏にとっても苦痛な環境なのだ。この方は、オガクズと菌を利用して、鶏にとって住みよい環境を提供している。それを半信半疑で利用した農家は、今ではとても喜んでいるという。その卵もいただいたが、鮮やかなオレンジで、スッキリした味。環境はそのまま卵に反映される。

 前に紹介した堆肥も、まだまだ少量であるため、今は自給的な農業をやっている人たちに使ってもらっているみたいであるが、それで育ったお米がおいしいと評判が良いという。この小さな取り組みが地域に広がってもらいたい。

 韮山から帰ってきて、仕事先で研究会が続き、いつもの日々に戻ったが、その合間に久々に横浜へ行ってきた。大学時代は戸塚に5年間住んでいたので、なんだか懐かしい。ある有機農業に関係した団体の全国集会が今年は横浜で行われるということで、僕も縁があって実行委員に加わることになった。分科会を「農業と平和」というテーマでやりたいということで、その打ち合わせ。本当に久しぶりに本郷台にあるあーすプラザへ。内容はほぼかたまった。来年の話だが、僕はその司会をやり、分科会を仕切ることになりそう。楽しみだ。 

静岡から横浜、そして長野へ

2009年10月28日 21時26分05秒 | 
 怒涛のような日々を送って、ようやく山を越えた感じがしている。11月を乗り越えれば、12月はゆっくり過ごせるだろう。

 10月17日~18日は仕事で静岡県伊豆の国市韮山へ。合併して伊豆の国市になったんですね。なんか壮大な名前にビックリ。このフィールドワークは循環、江戸がキーワードだろう。

 東海道線で熱海へ、乗り換えて三島へ行った。三島からはレンタカーで30分ほどで韮山の目的地に到着。リサイクル・ゴミ行政の話を聞く。ゴミから時代が見えるという話に深く納得をしてしまった。ゴミの量はもちろんのこと、その中身から僕たちの生活と人間の社会性が見えてくる。

 案内してくださった方はゴミ・リサイクル業者の方。生ゴミや牛糞などの有機性廃棄物をローコストで効率よく、質の良い堆肥を作っている。

    

     

 さらさらの堆肥。沢蟹もゆっくり足元を確認しながら堆肥を横切る。建設費や維持費に莫大なコストがかかる行政によるトップダウン式の堆肥工場とは違う独自の技術で作りあげた堆肥施設。今度、伊豆の国市がこの技術を利用して堆肥工場を創るらしい。行政が市民の取り組みに学ぶ姿勢、大事ですね。

 反射炉がある土産屋の2階では、古着物を再利用したパッチワーク展が開催されていた。おねえさま、おばあちゃまたちが10人くらいがおしゃべりしながら、パッチワークで作品を作っている。置物から壁掛けまで。何年もかけてつくった作品たちだ。女性たちも楽しく作業をしているし、それを指導しているお方も本当に楽しく作業を進めている。

 韮山は江戸時代の文化が色濃く残る地域。江川邸、反射炉など有名な名所が残る。丸2日間、つきっきりで案内してくださった方はまだまだ紹介したいところがあると言う。紹介できる場所がたくさんある地域、なんとも豊かで、素敵ではないか。そして、人の優しさと温かさ。地域の豊かさは何よりも人なのかな。