法律の周辺

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富士山における廃屋の放置について

2007-10-30 22:37:44 | Weblog
asahi.com 富士山の登山道に廃屋次々 世界文化遺産登録に影響?

 環境相が原状回復等を命ずることができるのは,国立公園事業者が国立公園事業者でなくなつた場合。国立公園事業者の側から廃止の承認申請がなされないとすれば,報告の徴収・立入検査 → 改善命令 → 従わなければ認可の取消 → 原状回復命令等,といった手順を踏むことになろうか。
5合目以下の山小屋の廃業は,1964年に5合目につながる富士スバルラインが開通して徐々に進行してきた現象のよう。昨日,今日始まったことということではなさそうだ。自然公園法第3条第1項には「国,地方公共団体,事業者及び自然公園の利用者は,環境基本法 (平成五年法律第九十一号)第三条 から第五条 までに定める環境の保全についての基本理念にのつとり,優れた自然の風景地の保護とその適正な利用が図られるように,それぞれの立場において努めなければならない。」とある。非難されるべきは廃屋を放置している事業者。しかし,これを見落としてきた国等にも反省すべき点はあるように思われる。


自然公園法の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,優れた自然の風景地を保護するとともに,その利用の増進を図り,もつて国民の保健,休養及び教化に資することを目的とする。

(国等の責務)
第三条  国,地方公共団体,事業者及び自然公園の利用者は,環境基本法 (平成五年法律第九十一号)第三条 から第五条 までに定める環境の保全についての基本理念にのつとり,優れた自然の風景地の保護とその適正な利用が図られるように,それぞれの立場において努めなければならない。
2  国及び地方公共団体は,自然公園に生息し,又は生育する動植物の保護が自然公園の風景の保護に重要であることにかんがみ,自然公園における生態系の多様性の確保その他の生物の多様性の確保を旨として,自然公園の風景の保護に関する施策を講ずるものとする。

自然公園法施行令の関連条文

(公園事業となる施設の種類)
第一条  自然公園法 (昭和三十二年法律第百六十一号。以下「法」という。)第二条第六号 に規定する政令で定める施設は,次に掲げるものとする。
一  道路及び橋
二  広場及び園地
三  宿舎及び避難小屋
四  休憩所,展望施設及び案内所
五  野営場,運動場,水泳場,舟遊場,スキー場,スケート場及び乗馬施設
六  他人の用に供する車庫,駐車場,給油施設及び昇降機
七  運輸施設(主として国立公園又は国定公園の区域内において路線又は航路を定めて旅客を運送する自動車,船舶,水上飛行機,鉄道又は索道による運送施設,主として国立公園又は国定公園の区域内において路線を定めて設けられる道路運送法 (昭和二十六年法律第百八十三号)第二条第八項の一 般自動車道及び主として旅客船の用に供する係留施設をいう。以下同じ。)
八  給水施設,排水施設,医療救急施設,公衆浴場,公衆便所及び汚物処理施設
九  博物館,植物園,動物園,水族館,博物展示施設及び野外劇場
十  植生復元施設及び動物繁殖施設
十一  砂防施設及び防火施設
十二  自然再生施設(損なわれた自然環境について,当該自然環境への負荷を低減するための施設及び良好な自然環境を創出するための施設が一体的に整備されるものをいう。以下同じ。)

(国立公園事業の執行認可の申請)
第三条  法第九条第三項 の規定により国立公園に関する公園事業(以下「国立公園事業」という。)の執行の認可を受けようとする者は,次の各号に掲げる事項を記載した申請書を環境大臣に提出しなければならない。ただし,運輸施設に関する国立公園事業の執行の認可を受けようとする者は,第五号及び第六号に掲げる事項を記載することを要しない。
一  申請者の住所及び氏名(法人にあつては主たる事務所の所在地及び名称並びに代表者の氏名)
二  国立公園事業の種類
三  施設の位置
四  施設の規模及び構造(運輸施設にあつては,当該施設が風景に及ぼす影響を明らかにするために必要な事項に限る。)
五  施設の管理又は経営の方法の概要
六  事業資金の総額及びその調達方法
七  国立公園の利用のための施設にあつては,その施設の供用開始の予定年月日
八  工事の施行を要する場合にあつては,その施行の予定期間
2  前項の申請書には,環境省令で定める書類及び図面を添えなければならない。

(管理又は経営方法の届出)
第五条  国立公園事業(運輸施設に関する国立公園事業を除く。)の執行の認可を受けた者は,その管理又は経営の方法を定め,環境大臣に届け出なければならない。管理又は経営の方法のうち重要なものとして環境省令で定めるものを変更したときも,同様とする。

(施設の変更等の承認)
第六条  国立公園事業の執行の認可を受けた者(以下「国立公園事業者」という。)は,第三条第一項第三号から第五号まで(運輸施設に関する国立公園事業者にあつては、第五号を除く。)に掲げる事項を変更しようとするときは,環境大臣の承認を受けなければならない。ただし,軽易な事項その他の事項であつて,環境省令で定めるものについては,この限りでない。
2  第四条の規定は,前項の規定による承認を受けた者について,準用する。

(事業の休止及び廃止)
第七条  国立公園事業者は,国立公園事業の全部又は一部を休止し,又は廃止しようとするときは,環境大臣の承認を受けなければならない。ただし,その休止又は廃止につき,他の法令の規定により行政庁の許可,認可その他の処分を必要とするときは,この限りでない。

(報告の徴収及び立入検査)
第十二条  環境大臣は,国立公園事業者に対し,国立公園事業の執行に関し報告を命じ,又は当該職員に国立公園事業に係る施設に立ち入らせ,その設備及び帳簿書類その他の物件を検査させ,若しくは国立公園事業の執行に関し質問をさせることができる。
2  前項の職員は,その身分を示す証明書を携帯し,関係者の請求があるときは,これを提示しなければならない。
3  国立公園事業者は,正当な理由がない限り,第一項の規定による立入検査を拒み,妨げ,若しくは忌避し,又は同項の規定による質問に対し,虚偽の陳述をしてはならない。

(改善命令)
第十三条  環境大臣は,国立公園事業の適正な執行を確保するため必要があると認めるときは,国立公園事業者(運輸施設に関する国立公園事業者を除く。)に対して,当該国立公園事業に係る施設又はその管理若しくは経営の方法の改善を命ずることができる。

(認可の失効及び取消)
第十四条  国立公園事業たる事業が他の法令の規定により行政庁の許可,認可その他の処分を必要とするものである場合において,その処分が取り消され,その他その効力が失われたときは,当該事業に係る国立公園事業の執行の認可は,その効力を失う。
2  環境大臣は,国立公園事業者が第四条第一項(第六条第二項において準用する場合を含む。),第六条第一項,第七条若しくは第十二条第三項の規定,第九条の規定による条件又は第十二条第一項若しくは第十三条の規定による命令に違反したときは,国立公園事業の執行の認可を取り消すことができる。

(原状回復命令等)
第十五条  環境大臣は,国立公園事業者が国立公園事業者でなくなつた場合(譲渡,合併又は分割により国立公園事業者でなくなつた場合を除く。)において,国立公園の保護のために必要があると認めるときは,その者に対し,その保護のために必要な限度において原状回復を命じ,又は原状回復が著しく困難である場合に,これに代わるべき必要な措置を執るべき旨を命ずることができる。

自然公園法施行規則の関連条文

(事業の休止及び廃止の承認申請書)
第五条  令第七条 の規定による休止又は廃止の承認を受けようとする者は,次の各号に掲げる事項を記載した申請書を環境大臣に提出するものとする。
一  申請者の住所及び氏名(法人又は組合にあつては,主たる事務所の所在地及び名称並びに代表者の氏名)
二  国立公園事業の種類
三  休止し,又は廃止しようとする国立公園事業の範囲
四  休止の予定期間又は廃止の予定期日
五  休止又は廃止を必要とする理由

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