法律の周辺

核心ではなく, あくまでも物事の周辺を気楽に散策するブログです。

翌日の届出について

2007-07-19 21:28:04 | Weblog
asahi.com 株券入りかばん,拾った男性への報労金140万円と判決

 報労金に係る遺失物法第28条第1項には,「物件(誤って占有した他人の物を除く。)の返還を受ける遺失者は,当該物件の価格(第九条第一項若しくは第二項又は第二十条第一項若しくは第二項の規定により売却された物件にあっては,当該売却による代金の額)の百分の五以上百分の二十以下に相当する額の報労金を拾得者に支払わなければならない。」とある。
記事によれば,遺失者側,届出が翌日に遅れたから拾得者の報労金の割合を低くすべきだと主張したとのこと。
同法第4条第1項には,「拾得者は,速やかに,拾得をした物件を遺失者に返還し,又は警察署長に提出しなければならない。ただし,法令の規定によりその所持が禁止されている物に該当する物件及び犯罪の犯人が占有していたと認められる物件は,速やかに,これを警察署長に提出しなければならない。」とある。
「速やかに」の意味については,例えば,有斐閣の法律類語難語辞典に,「「速やかに(すみやかに)」は,この三者(管理人註:他は「直ちに」「遅滞なく」)のうち中位の程度の近接性を求めるもので,「できるだけ」「できる限り」などを付けて,またはそのままで訓示的な意味で用いられるほか,正当な理由に基づく遅滞の許される範囲が限られる場面で用いられる。」とある。
訓示的な意味が強いとみれば,「翌日の届出」をもって低くすべきを言うのは見苦しいという印象もなくはない。


遺失物法の関連条文

(趣旨)
第一条  この法律は,遺失物,埋蔵物その他の占有を離れた物の拾得及び返還に係る手続その他その取扱いに関し必要な事項を定めるものとする。

(定義)
第二条  この法律において「物件」とは,遺失物及び埋蔵物並びに準遺失物(誤って占有した他人の物,他人の置き去った物及び逸走した家畜をいう。次条において同じ。)をいう。
2  この法律において「拾得」とは,物件の占有を始めること(埋蔵物及び他人の置き去った物にあっては,これを発見すること)をいう。
3  この法律において「拾得者」とは,物件の拾得をした者をいう。
4  この法律において「遺失者」とは,物件の占有をしていた者(他に所有者その他の当該物件の回復の請求権を有する者があるときは,その者を含む。)をいう。
5  この法律において「施設」とは,建築物その他の施設(車両,船舶,航空機その他の移動施設を含む。)であって,その管理に当たる者が常駐するものをいう。
6  この法律において「施設占有者」とは,施設の占有者をいう。

(準遺失物に関する民法の規定の準用)
第三条  準遺失物については,民法(明治二十九年法律第八十九号)第二百四十条の規定を準用する。この場合において,同条中「これを拾得した」とあるのは,「同法第二条第二項に規定する拾得をした」と読み替えるものとする。

第四条  拾得者は,速やかに,拾得をした物件を遺失者に返還し,又は警察署長に提出しなければならない。ただし,法令の規定によりその所持が禁止されている物に該当する物件及び犯罪の犯人が占有していたと認められる物件は,速やかに,これを警察署長に提出しなければならない。
2  施設において物件(埋蔵物を除く。第三節において同じ。)の拾得をした拾得者(当該施設の施設占有者を除く。)は,前項の規定にかかわらず,速やかに,当該物件を当該施設の施設占有者に交付しなければならない。
3  前二項の規定は,動物の愛護及び管理に関する法律(昭和四十八年法律第百五号)第三十五条第二項に規定する犬又はねこに該当する物件について同項の規定による引取りの求めを行った拾得者については,適用しない。

(費用の負担)
第二十七条  物件の提出,交付及び保管に要した費用(誤って他人の物を占有した者が要した費用を除く。)は,当該物件の返還を受ける遺失者又は民法第二百四十条(第三条において準用する場合を含む。以下同じ。)若しくは第二百四十一条の規定若しくは第三十二条第一項の規定により当該物件の所有権を取得してこれを引き取る者の負担とする。
2  前項の費用については,民法第二百九十五条から第三百二条までの規定を適用する。

(報労金)
第二十八条  物件(誤って占有した他人の物を除く。)の返還を受ける遺失者は,当該物件の価格(第九条第一項若しくは第二項又は第二十条第一項若しくは第二項の規定により売却された物件にあっては,当該売却による代金の額)の百分の五以上百分の二十以下に相当する額の報労金を拾得者に支払わなければならない。
2  前項の遺失者は,当該物件の交付を受けた施設占有者があるときは,同項の規定にかかわらず,拾得者及び当該施設占有者に対し,それぞれ同項に規定する額の二分の一の額の報労金を支払わなければならない。
3  国,地方公共団体,独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。),地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。)その他の公法人は,前二項の報労金を請求することができない。

(費用及び報労金の請求権の期間の制限)
第二十九条  第二十七条第一項の費用及び前条第一項又は第二項の報労金は,物件が遺失者に返還された後一箇月を経過したときは,請求することができない。

(拾得者等の費用償還義務の免除)
第三十条  拾得者(民法第二百四十一条ただし書に規定する他人を含む。)は,あらかじめ警察署長(第四条第二項に規定する拾得者にあっては,施設占有者)に申告して物件に関する一切の権利を放棄し,第二十七条第一項の費用を償還する義務を免れることができる。

(遺失者の費用償還義務等の免除)
第三十一条  遺失者は,物件についてその有する権利を放棄して,第二十七条第一項の費用を償還する義務及び第二十八条第一項又は第二項の報労金を支払う義務を免れることができる。

(遺失者の権利放棄による拾得者の所有権取得等)
第三十二条  すべての遺失者が物件についてその有する権利を放棄したときは,拾得者が当該物件の所有権を取得する。ただし,民法第二百四十一条ただし書に規定する埋蔵物については,同条ただし書の規定の例による。
2  前項の規定により物件の所有権を取得する者は,その取得する権利を放棄して,第二十七条第一項の費用を償還する義務を免れることができる。

(費用請求権等の喪失)
第三十四条  次の各号のいずれかに該当する者は,その拾得をし,又は交付を受けた物件について,第二十七条第一項の費用及び第二十八条第一項又は第二項の報労金を請求する権利並びに民法第二百四十条若しくは第二百四十一条の規定又は第三十二条第一項の規定により所有権を取得する権利を失う。
一  拾得をした物件又は交付を受けた物件を横領したことにより処罰された者
二  拾得の日から一週間以内に第四条第一項の規定による提出をしなかった拾得者(同条第二項に規定する拾得者及び自ら拾得をした施設占有者を除く。)
三  拾得の時から二十四時間以内に交付をしなかった第四条第二項に規定する拾得者
四  交付を受け,又は自ら拾得をした日から一週間以内に第四条第一項又は第十三条第一項の規定による提出をしなかった施設占有者(特例施設占有者を除く。)
五  交付を受け,又は自ら拾得をした日から二週間以内(第四条第一項ただし書及び第十三条第一項ただし書に規定する物件並びに第十七条前段の政令で定める高額な物件にあっては,一週間以内)に第四条第一項又は第十三条第一項の規定による提出をしなかった特例施設占有者(第十七条前段の規定によりその提出をしないことができる場合を除く。)

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