法律の周辺

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平成18年分の路線価の公表について

2006-08-01 11:54:26 | Weblog
路線価,全国平均14年ぶり上昇・2006年 NIKKEI NET

 国税庁が平成18年分の路線価を公表している。
記事によれば,地方圏は,下げ幅は縮小したものの,5.7%の下落だった模様。
毎日によれば,県庁所在地で対前年比で最大の下落率を記録したのは秋田市の17.9%。
朝日は「平成の大合併」の路線価への影響に触れていて興味深い。なるほど,そういうこともあろう。もちろん,路線価に限らず地価全般に関わる話しである。

財産評価基準書 路線価図・評価倍率表

国土交通省土地・水資源局土地情報課 土地総合情報ライブラリー


不動産鑑定評価基準の関連部分

総論

第3章 不動産の価格を形成する要因
不動産の価格を形成する要因(以下「価格形成要因」という。)とは,不動産の効用及び相対的稀少性並びに不動産に対する有効需要の三者に影響を与える要因をいう。不動産の価格は,多数の要因の相互作用の結果として形成されるものであるが,要因それ自体も常に変動する傾向を持っている。したがって,不動産の鑑定評価を行うに当たっては,価格形成要因を市場参加者の観点から明確に把握し,かつ,その推移及び動向並びに諸要因間の相互関係を十分に分析して,前記三者に及ぼすその影響を判定することが必要である。
価格形成要因は,一般的要因,地域要因及び個別的要因に分けられる。

第1節 一般的要因
一般的要因とは,一般経済社会における不動産のあり方及びその価格の水準に影響を与える要因をいう。それは,自然的要因,社会的要因,経済的要因及び行政的要因に大別される。
一般的要因の主なものを例示すれば,次のとおりである。

Ⅰ 自然的要因
1.地質,地盤等の状態
2.土壌及び土層の状態
3.地勢の状態
4.地理的位置関係
5.気象の状態

Ⅱ 社会的要因
1.人口の状態
2.家族構成及び世帯分離の状態
3.都市形成及び公共施設の整備の状態
4.教育及び社会福祉の状態
5.不動産の取引及び使用収益の慣行
6.建築様式等の状態
7.情報化の進展の状態
8.生活様式等の状態

Ⅲ 経済的要因
1.貯蓄,消費,投資及び国際収支の状態
2.財政及び金融の状態
3.物価,賃金,雇用及び企業活動の状態
4.税負担の状態
5.企業会計制度の状態
6.技術革新及び産業構造の状態
7.交通体系の状態
8.国際化の状態

Ⅳ 行政的要因
1.土地利用に関する計画及び規制の状態
2.土地及び建築物の構造,防災等に関する規制の状態
3.宅地及び住宅に関する施策の状態
4.不動産に関する税制の状態
5.不動産の取引に関する規制の状態

第2節 地域要因
地域要因とは,一般的要因の相関結合によって規模,構成の内容,機能等にわたる各地域の特性を形成し,その地域に属する不動産の価格の形成に全般的な影響を与える要因をいう。

Ⅰ 宅地地域
1.住宅地域
住宅地域の地域要因の主なものを例示すれば,次のとおりである。
(1)日照,温度,湿度,風向等の気象の状態
(2)街路の幅員,構造等の状態
(3)都心との距離及び交通施設の状態
(4)商業施設の配置の状態
(5)上下水道,ガス等の供給・処理施設の状態
(6)情報通信基盤の整備の状態
(7)公共施設,公益的施設等の配置の状態
(8)汚水処理場等の嫌悪施設等の有無
(9)洪水,地すべり等の災害の発生の危険性
(10)騒音,大気の汚染,土壌汚染等の公害の発生の程度
(11)各画地の面積,配置及び利用の状態
(12)住宅,生垣,街路修景等の街並みの状態
(13)眺望,景観等の自然的環境の良否
(14)土地利用に関する計画及び規制の状態

2.商業地域
前記1.に掲げる地域要因のほか,商業地域特有の地域要因の主なものを例示すれば,次のとおりである。
(1)商業施設又は業務施設の種類,規模,集積度等の状態
(2)商業背後地及び顧客の質と量
(3)顧客及び従業員の交通手段の状態
(4)商品の搬入及び搬出の利便性
(5)街路の回遊性,アーケード等の状態
(6)営業の種別及び競争の状態
(7)当該地域の経営者の創意と資力
(8)繁華性の程度及び盛衰の動向
(9)駐車施設の整備の状態
(10)行政上の助成及び規制の程度

3.工業地域
前記1.に掲げる地域要因のほか,工業地域特有の地域要因の主なものを例示すれば,次のとおりである。
(1)幹線道路,鉄道,港湾,空港等の輸送施設の整備の状況
(2)労働力確保の難易
(3)製品販売市場及び原材料仕入市場との位置関係
(4)動力資源及び用排水に関する費用
(5)関連産業との位置関係
(6)水質の汚濁,大気の汚染等の公害の発生の危険性
(7)行政上の助成及び規制の程度

Ⅱ 農地地域
農地地域の地域要因の主なものを例示すれば,次のとおりである。
1.日照,温度,湿度,風雨等の気象の状態
2.起伏,高低等の地勢の状態
3.土壌及び土層の状態
4.水利及び水質の状態
5.洪水,地すべり等の災害の発生の危険性
6.道路等の整備の状態
7.集落との位置関係
8.集荷地又は産地市場との位置関係
9.消費地との距離及び輸送施設の状態
10.行政上の助成及び規制の程度

Ⅲ 林地地域
林地地域の地域要因の主なものを例示すれば,次のとおりである。
1.日照,温度,湿度,風雨等の気象の状態
2.標高,地勢等の状態
3.土壌及び土層の状態
4.林道等の整備の状態
5.労働力確保の難易
6.行政上の助成及び規制の程度

なお,ある種別の地域から他の種別の地域へと転換し,又は移行しつつある地域については,転換し,又は移行すると見込まれる転換後又は移行後の種別の地域の地域要因をより重視すべきであるが,転換又は移行の程度の低い場合においては,転換前又は移行前の種別の地域の地域要因をより重視すべきである。

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特区に係る先行利益の保護について

2006-08-01 11:11:30 | Weblog
2歳から入園の幼稚園を全国展開…特区推進本部評価委 YOMIURI ONLINE

 構造改革特別区域基本方針の「(2)特区において講じられた規制の特例措置の評価に関する基本方針」の基本理念には「規制の特例措置の評価において,特段の問題が生じていないと判断されたものについては,速やかに全国展開を推進していくものとする。」とある。
記事にある「幼稚園特区」や「コミュニティ創造特区」は上記方針等に基づくものであろう。

 さて,同じ読売は,先々月,政府が特区を提案した自治体の「先行利益」を保護する方針を固めた旨を報じていた
例外措置の基準や具体例はいわゆる「骨太の方針」に盛り込まれると聞いていたが,2006方針には,「構造改革特区制度の見直しの中で,規制改革を一層推進するとともに,地域の創意工夫を高める取組を強化し,次期通常国会に改正法案を提出する。」といった表現があるだけのようだ。

 しかし,そもそも,特区は全国的な規制改革の進展の遅さ等を理由に認められたもの。「地域の活性化は規制改革推進の過程における副産物」は語弊があると思うが,少なくとも,最終目標というわけではなかろう(構造改革特別区域法第1条参照)。
特区を提案した自治体の「苦心してアイデアを出しても,得るものが少ない」は心情としてはわかるが,「特区制度がネックになって規制改革が進みません」では本末転倒である。
先行利益保護の必要性等の見極めは慎重におこなう必要があるように思われる。

経済財政諮問会議 経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006


構造改革特別区域法の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,地方公共団体の自発性を最大限に尊重した構造改革特別区域を設定し,当該地域の特性に応じた規制の特例措置の適用を受けて地方公共団体が特定の事業を実施し又はその実施を促進することにより,教育,物流,研究開発,農業,社会福祉その他の分野における経済社会の構造改革を推進するとともに地域の活性化を図り,もって国民生活の向上及び国民経済の発展に寄与することを目的とする。

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