法律の周辺

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特区に係る先行利益の保護について

2006-08-01 11:11:30 | Weblog
2歳から入園の幼稚園を全国展開…特区推進本部評価委 YOMIURI ONLINE

 構造改革特別区域基本方針の「(2)特区において講じられた規制の特例措置の評価に関する基本方針」の基本理念には「規制の特例措置の評価において,特段の問題が生じていないと判断されたものについては,速やかに全国展開を推進していくものとする。」とある。
記事にある「幼稚園特区」や「コミュニティ創造特区」は上記方針等に基づくものであろう。

 さて,同じ読売は,先々月,政府が特区を提案した自治体の「先行利益」を保護する方針を固めた旨を報じていた
例外措置の基準や具体例はいわゆる「骨太の方針」に盛り込まれると聞いていたが,2006方針には,「構造改革特区制度の見直しの中で,規制改革を一層推進するとともに,地域の創意工夫を高める取組を強化し,次期通常国会に改正法案を提出する。」といった表現があるだけのようだ。

 しかし,そもそも,特区は全国的な規制改革の進展の遅さ等を理由に認められたもの。「地域の活性化は規制改革推進の過程における副産物」は語弊があると思うが,少なくとも,最終目標というわけではなかろう(構造改革特別区域法第1条参照)。
特区を提案した自治体の「苦心してアイデアを出しても,得るものが少ない」は心情としてはわかるが,「特区制度がネックになって規制改革が進みません」では本末転倒である。
先行利益保護の必要性等の見極めは慎重におこなう必要があるように思われる。

経済財政諮問会議 経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006


構造改革特別区域法の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,地方公共団体の自発性を最大限に尊重した構造改革特別区域を設定し,当該地域の特性に応じた規制の特例措置の適用を受けて地方公共団体が特定の事業を実施し又はその実施を促進することにより,教育,物流,研究開発,農業,社会福祉その他の分野における経済社会の構造改革を推進するとともに地域の活性化を図り,もって国民生活の向上及び国民経済の発展に寄与することを目的とする。

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