芭屋框組(はなや かまちぐみ)

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玄翁の柄入れ その2

2010-01-03 17:04:23 | 柄の話
大玄の柄は、普段もっと太く短くすげるが、土田さんが、実際にすげた柄を振らせてもらって、いい感じだったので、今回は穴屋大工が使っていたと言われる形に挑戦してみた。


普段は木取りから始めるが、道具屋の御主人が是非これを使って仕上げてみなさいということで、市販品の赤樫を使用した。

1)まず、全体の長さを1尺にカット。

2)ひつ穴部分の加工:上側の基準面を鉋で平らに削り、高さ方向を昇降盤で決定する。



3)穴に対してのきつさは、3分入る程度。巾方向も同じ、マッチ箱のように真四角に削る。



4)グリップエンドの寸法:教わったのは、高さ8分5厘×巾8分(内側の墨)。それではあまりにも華奢になりすぎる感じがしたので、9分5厘×9分にした。(外側の墨)木目の向きは本当は木表が下。今回は市販品の為、逆の木使いになっている。



5)ひつ穴側の寸法とグリップエンドの寸法が決定されているのでその2点をゆるやかなアールでつなげる。上端側は直線にする。上端にアールを付けたい場合は、ひつ穴に入る部分をくの字に下げる

※ひつ穴に入る部分は、あくまでも四角。実際挿さり終わった地点からグリップエンドをアールでつなげる。




6)柄を削りこむ前に下端のアールを仕上げてしまう。



7)上から見た形状:ひつ穴側から柄全体の半分の距離までは、穴の巾とほぼ平行。残りの半分の距離をグリップエンドにかけてラッパ型にアールをつける。このことによって、すっぽ抜けが防止できる。




8)あとはひたすら削り込み作業。ひつ穴部分は削りすぎると台無しなので最後の微調整は、カッターナイフをスクレーパー代わりに削り進む。

9)アール部分の削りは豆平鉋や南京鉋を駆使する。あまりつるつるに仕上げず、滑り止めに一分巾の削り跡が残る様に仕上げる。




10)削り作業終了後、いよいよ柄入れ。頭の向きは銘が切ってある方が柄側、握った時に下側になる方向が正式な向きだが、この点については、別に木殺し面が下側に来ても良いと思う。

11)柄の先端を軽く面取りした後、ひつ穴に挿し込み、グリップエンドを別の玄翁で叩いてやると、反作用で柄が入っていく。
途中止まってしまうようならば、スクレーパーで、厚い部分を慎重に削り、入れ進む。




12)驚異的な精度のひつ穴だったので、セオリー通りにやれば、一発できれいな柄すげができた。




13)グリップエンドの仕上げ:柄すげ後切り出しペーパー等を使い、グリップエンドを少し丸く仕上げてやる。

刃物だけでは仕上がりきらないので、♯120から始めて、最終的に♯800~♯1000のペーパーで磨いてやるとかなりきれいに仕上がる。




普段愛用している中玄とのグリップエンドの形状の比較。右端は、赤樫で胡桃油仕上げ。今回柄すげした物も胡桃油を塗ってやれば同様の仕上がりが予想される。



今迄使っていた、大玄との比較。左3つが180匁。一番右は120匁。



普段愛用の100匁中玄との比較。





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