芭屋框組(はなや かまちぐみ)

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砥石の日 工藤氏再び

2010-10-24 18:28:02 | 道具、砥ぎの話
先週の日曜日、里帰りも兼ねて京都へ砥石の日の見学に行って来た。




一月の町屋発ほんまもんの初削り会に続き今年の砥石の日は大阪の工藤氏を
講師に招き、「仕事の用途に合わせる砥石の選び方-天然砥石の力を見せる-」
と銘打った講習会が開かれた。

今回も前回同様研いで来た刃で削って見せるのではなく、その場で研いで
切れなくなれば又研ぐという進め方

使う砥石も前回同様、キングハイパー1000番、エビの10000番。
中砥の砥面直し用に金剛砥石仕上げ砥の砥面直し用にキング800番使用。

砥石の当て方ストローク回数も前回と同じでおさらいになるが、

1.まずハイパー1000番に軽く刃を当ててみて刃巾一杯に砥汁が出るように、
砥面の方を直す。(金剛砥石使用)

2.砥面が刃に合えば10~20往復うっすら刃返りが出ればOK

3.エビの10000番で刃の当たり具合チェックし、合っていなければ砥面修正
(キング800番使用)



4.砥面が刃に合えば、10~20往復。刃先裏に砥汁が上がってきたらOK

5.天然仕上げ砥でやはり刃の当たり具合チェックし、合っていなければ
砥面修正(キング800番使用)

6.修正の際に出た、中砥の砥汁をきれいに洗い落とし、天井名倉で砥汁を
たっぷり立てる。

7.刃先に力を入れて10往復程。刃先裏に砥汁が上がってくれば、ここで
初めて刃裏砥ぎ5往復程。






8.刃裏砥ぎで表に回した刃返りを利用して再び表砥ぎ10~20往復

9.最後に刃裏砥ぎ5往復程で砥ぎ上がり。




この後、仕上げの砥石を変える度に中砥から研ぎ直し工程を繰り返していた。
但し、砥面直しは最初に行った一回きり。

現状でどの程度仕上がるか杉の白太を削ってみて仕上がり具合を
チェックしてもらう為に削った材をギャラリーに回し見してもらう。

共栄砥石工業さん提供の特大砥石4丁ほどの内、まずはカラスで研いでみる。











その後試し削り。希望者にも順番で試し削りを体験させる。一人削り終わる度に
工藤氏が場均しを行う。




何人か削り終わった時点で、鉋くずが割れ始め刃が切れやんできたのだが、
ここでさすがの出来事が起こる。

次に工藤氏が全く調整し直す事無く一削りすると、再びきれいに
鉋くずが上がってきた。砥ぎも大事だが、引き方一つでも結果が違う事を
目の当たりにして、改めて腕の差が浮き彫りになる。






その後も砥石を変えては仕上がり具合を回し見してもらい、同じ刃で同じ
研ぎ方でも仕上がりが違う事をギャラリーに確認してもらう。




あまり仕上がりが思わしくない砥石で研いだ刃でわざと逆目を起こして
最後にとっておきの砥石で研ぎ上げる。




裏刃も先程より広めにつめて(0.5mm)より逆目が起こりやすい状況にしたのにも
かかわらず、見事に逆目も抑えて仕上て見せてくれた。



引き続き刃を引っ込めて、薄削りを披露してくれた。刃の出具合は殆ど確認
せずに台頭を玄翁で叩いただけで見事に薄い屑をひいて見せた。

つまり、真っ直ぐ刃が戻る完璧な仕込みの台という事なのだが、ああも
簡単にやってのけられると削ろう会で時間をかけてやっているのは
何なのかと思わされる。                    つづく









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