羽生結弦選手は、その発言がかなりしっかりしており、並み居る選手たちの中でも、分析能力も自己内省能力もかなり高いことがうかがえます。非常に賢いですね。
ファンとしてではなくて一般人という目線でも見ても、今まで大変興味深いことを沢山言ってきました。多分これからも言ってくれるでしょう。
国語の教師だというお父様から、小さい頃から、発言の与える影響の大きさや、言葉の大切さなどと言ったことを色々と教え込まれてきたそうですが(インタビュー記事より)、なるほど、その効果はかなりあったようです。
今はソチ五輪に向けてインタビュー等が全盛な時期なので、それ関連の発言で、興味深いものを取り上げてみます。
注目発言その1は、
「どうあがいても、羽生結弦以上にも以下にもなれない。ありのままの自分で、できることをやりたい。」
です。 http://www.jiji.com/jc/zc?k=201312/2013122400313
2013年の年末、全日本選手権後、ソチ五輪代表決定の頃の言葉です。
一ファンとしては、これは大変に嬉しい言葉です。
「え、散々あがいたんですか?」なんて質問は止めておきます。(笑)
羽生選手が、誰のどんな演技を意識してこれを言ったのかは知りませんが・・・ (←プルシェンコ選手、チャン選手、高橋大輔選手あたり?)
はい、羽生結弦以外の、他の何者かになってほしいなんて、多分ファンなら誰も思ってはいませんから!!(笑)
いや、一番言いたいのは・・・ たとえ、他の優れた選手の真似が出来たとしても、
本人の個性を押し殺すような無理な演技をされても、全然魅力的じゃありませんから!!!
個性や特技、才能を活かしてこその、その人の「魅力」ですから!!
これは、全ての選手に言えることだと思いますし、一般社会での、全ての人に当てはまる原則だと思います。
フィギュアスケートの選手たち、その演技を見ていてよく思うのが、「挑戦」するのはとてもいいけれども、その方向性が少し間違っていて本人の個性とかなり合っていない場合、結局魅力が半減してしまい、「魅せる」ことが出来ずに、評価も低くなることが多いと感じます。
選手本人の能力は何も変わっていないのに。魅力が発揮できなくなる。
それほど好きな選手じゃなくても、「とっても素敵だな~」と思える演技をする時と言うのは、必ずといっていいほど、その選手の人となり、その人の独自性、特技が、とても良く活かせているプログラムの時だな、と思うんです。
長所が前面に押し出されていることは、すごく大事。
つまり、本人が「生き生き(活き活き)して見える」プログラムですね・・・
プルシェンコ選手(ロシア・元絶対王者・トリノ五輪金メダリスト)と、ジョニー・ウィアー選手(アメリカ・元米国内王者・既に引退)を、足して2で割ったような演技がしたい、と小さい頃から言っていた羽生選手ですが、その独自性は、かなり際立っており、個性確立にほぼ成功してきていると思います。
言葉だけ聴くと、「(プルシェンコ + ジョニー・ウィアー)÷2 =???? 」…何それ? どんなの?と、笑えてしまって、あまりイメージが湧きません。(笑)
このお二人は、ある意味、かなり対照的で、両極端に個性的な選手たちですから。
でも、それをやってのけてきたのだから、凄いです・・・。印象強烈ですね。
そして、羽生選手が憧れている、プルシェンコ選手よりも、ウィアー選手よりも、私は羽生結弦選手の個性、演技が、一番面白くて好きです。
歴代男子選手の中で、最高だと思っています。
昨年からやり続けているショートプログラム「パリの散歩道」ですが、今期のほうが、昨年よりも、より羽生選手らしく振り付けを改良されたと感じました。滑り込んだせいももちろんあるでしょうけれども、グランプリファイナルあたりから、見ていても、ほんの一部に見られた不自然さや違和感がほぼ完全になくなったな、と私は思いました。
この「本人らしくない」感というのは、本来は一番ご本人が演技しながら感じ取れるものだろうとは思うのですが、なぜか本人のことをあまり知らない、たまたま見ていただけの人間に対しても、不思議と伝わってしまうような気がします。
微妙なところで、ぎこちなくなったり、あまり嬉しそうに見えなかったりするからでしょうか…?
どんな選手であっても、本人に「合っていないと感じさせられるプログラム」が、一番、見ていてつまらないです。
選手本人から滑っている喜びが感じられないし、本来の魅力が引き出しきれないからでしょう。
「笑顔が大事」とは言っても、本当の心からの笑顔と、無理やり作った笑顔というのは、殆どの人間はすぐに見抜きますから…。
振り付け師が本当に選手の個性を的確に見抜いていた場合は非常に良いのですが、そうでない場合、本人らしさをより追求して少しずつ改良したほうが、本人もずっとやりやすいだろうし、細かい微妙な点で、客席側の感動に確実に影響すると私は思います。
荒川静香さんが、トリノ五輪の直前にこういう点を追求して変更・改良した結果、素晴らしい演技が出来て金メダルに繋がったというのは、かなり有名です。確かに、トリノ五輪本番での荒川さんのプログラムの変更・改良具合には、非常に感動しました。当日の荒川選手も、驚くほど落ち着いて、自信に満ちていたと思います。
良いプログラムは、選手本人の自信も引き出して、結局さらに成功のサイクルに入るように思います。
ありのままの、等身大の羽生選手の魅力で、自信をもって、今出来る限りの最高の演技をして下さい!!
頑張れーーー!!!