フィギュアスケートにあまり詳しくなかった人たちに、羽生結弦選手の素晴らしさを説明するのに、簡単な方法があります。
「”あのプルシェンコ”にまで絶賛された貴重な存在、それが日本人の羽生結弦なのだ!」ということです。
ニコニコ動画に、そのプルシェンコ選手ご本人が羽生選手について熱く語っているところを報じてくれた、イギリスの番組がアップされています。
興味のある方は、ご覧になれば、よく解るかと。↓ アップしてくださった動画主様に感謝です。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm22142324
動画を見られない方々のために、少しだけ抜粋します。(以下、訳は動画のものではなく、私の訳に変えてあります)
ナレーション:
「プルシェンコによれば、(フィギュアスケートの)その未来は、まさに『羽生結弦選手』、その人の手中にあるということです。」
( 元の英語 And for him, the future lies well and truly in the hands of Yuzuru Hanyu. )
プルシェンコご本人: 「羽生結弦は優雅で、スリムで、スピードがあり、本当にものすごいスケーターだ。
彼のこのプログラムが、僕から見ると(大会で)ナンバー1だ。
(注:2012年フリープログラム「ノートルダム・ド・パリ」の演技中の羽生選手を見ながら言っている。)
素晴らしいスピンの数々、見栄えが非常に良く、彼にはカリスマ性がある。 僕は彼が好きだ。」
(元のプルシェンコご本人が語っている元の英語 "He is elegant, he is thin, he is fast, he is such a great skater.
This (is), for me, number one. Great spins, great photography,
he has a charisma. I like him." (By Evgeni Plushenko ) )
そして、まだ若い羽生選手への助言めいたことを少し口にしてから、
「数年後には、羽生結弦の演技こそが(フィギュアスケートの)「未来そのもの」となるだろう」、と言って締めくくっています。
凄いですね・・・ あのプルシェンコ選手が絶賛! 羽生選手への期待がうかがえます。
王者の貫禄を崩さず、特定のレベルに到達してない王者を認めず、そういう基準を絶対に譲らなかったプルシェンコ選手が、他の選手のことをここまで認めているのを、聞いたことはないような気がします。
頂点への挑戦を続けるアスリート根性、ジャンプやスピンの技術的レベルの高さ、カリスマ性、演技の芸術性、の全てにおいて妥協しない厳しい目でいつも見ている印象のプルシェンコ選手ですので、その全てにおいて、羽生選手は(未来の可能性も含めて)彼に認められたのでしょう。
自分が羽生選手の立場だったら、これは本当に嬉しい言葉です。目標の人に評価してもらえて、しかもここまで言ってもらえたら。
そして、プルシェンコ選手の言うことに、私も完全に同意します。(笑)
個人的に思っていることですが・・・
羽生選手が既に、かつてのプルシェンコ選手をも完全に上回っていると思われる点が、いくつかあります。
1.驚異の柔軟性 (←これはもう、誰の目にも明らか。疑いようがない。身体で、流動的な美を創り出せる。優雅さの原点。)
2.ジャンプやスピンの美しさ (← これも顕著。時代や採点基準が違うせいもありますが、体の柔軟性とスタイルが影響している。 )
3.演技から醸し出される、繊細さ・ピュアさ(純粋さ)・一途さ・真っ直ぐさ (← プルシェンコ選手、他選手の個性とは異なる点です。
ロミオとジュリエットのプログラムが似合う理由の一つでもある。)
4.リズム感、音感 (← プルシェンコ選手も本当に凄かったのですが、羽生選手のほうがさらに上かも。
時代や、振付師も影響しますが、ジャンプやスピンのタイミングまでバッチリ。
2011年度版ロミオのラストのステップや、今期の「パリの散歩道」等で、リズム感は特に発揮されている。
見ていて気持ちがいいですね!)
連続ジャンプについては、4回転+3回転+3回転や、4回転+3回転+2回転などをやってのけて、人々を圧倒し、その絶対的な成功率で群を抜いていた元絶対王者、天才・プルシェンコですが、羽生選手は、試合では跳んでいませんけれども、既に大勢の前で 4回転+3回転半+3回転半 などという、これまた、誰もやったことのない、驚愕の超人ジャンプを数回、披露しています。
連続ジャンプの、後ろ側のジャンプに、アクセルジャンプ(~回転半、というジャンプ)を続けるのって、普通は出来ないと聞きます。ジャンプ開始の向きが、半回転変わるので、そこで勢いが落ちるからですね。(でも、羽生選手はやっています… 本当に超人ですね。)
将来的に、ジャンプの種類や難易度でかつてのプルシェンコ選手を超えていく可能性は大いにあると思います。
楽しみですけど、でも、あまり極端な無理はしないで欲しいですね… 何よりも御身体を大切に。(選手生命が長くあってほしいので。)
(個人的には、ひたすら手術が必要となるような身体には、なって欲しくないので…)
唯一明らかに負けているのは、プルシェンコ選手から醸し出される、スケート場を支配・周囲を威圧するかのような威厳、まさに「皇帝」といった貫禄、ですね。
でも、これはプルシェンコ選手の個性であり、特徴なので、羽生選手はたとえ「貫禄」がついても、同じようにはならないだろうと思いますし、同じになる必要もないかと思います。
演技前後に見られる羽生選手の徹底した「謙虚さ」「腰の低さ」は、素晴らしい長所の一つだと思いますし。今いる他選手たちの中でも群を抜いていますし、そこがまた多方面から高く評価されていると思います。
テレビには映りませんけれども、リンクの掃除をも真面目に手伝っていることがあるとか…。本当にスケートが好きで、リンクが大事なんですね。
演技中は本当に真剣で、人を惹きつける力に溢れているのに、自分に酔う感じではなくて、「僕の演技を見てくれてありがとうございました!!ここまでやらせてくれてありがとうございました!!」って言っているかのような態度に、演技終了と同時に、パッと切り替わる。
その切り替わりが、なんというか、見事です。
しかも、羽生選手のお辞儀は、ただの挨拶、ただの感謝ではない。
今ここにいること、そこにある全てに対して、心の底から、感謝している印象。 平身低頭、頭下げるし。
その瞬間、そこで演技が出来たことを心から喜んでいるというか…全力投球できたからこそ、思えることなのかもしれません。
表情を見ていても、偽りがない。非常に素直なんでしょうね…。
見ていて、本当にいつも胸が打たれる点です。
点数がどうとか、他からの評価がどうとか、その時の演技の成否とは関係なしに、いつも思います。
これは多分、2011年度から顕著なので、大震災での苦労・苦悩を通った影響であり、羽生選手の言葉を借りれば、
「あって当然のもの、なんてないんだな」(羽生選手の本「蒼い炎」より)、ということを理解したから…こその、態度なのでしょう。
こういう態度を見ている時、羽生結弦という選手が日本にいてくれたことを、日本人として、本当に感謝したくなります。
大震災を通り、苦しみを経験したがゆえに、逆に見る人々を励ますことが出来る存在。
希望の星であり、誇り、ですね。
これからも出来るだけ長い間、リンクに立ち続けていて欲しい…、本当にそう思わせてくれる、そういう選手です。