2015年6月 20歳の羽生選手の、「Hello,I love you」の動画を追加しました
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最高おススメ演技 その14 は、2012年度にエキシビション・プログラムとして 使われた、「Hello, I love you」 です。
ワイルドな男臭さを前面に出してきた、羽生選手のプログラムです。
いつもとは雰囲気をガラリと変えて、演じてくれています。
羽生選手は、本当に並外れたものを沢山お持ちなので、そもそもシニアデビューの頃から、世界中のライバルとなりうる選手達にとって、それはもう危険すぎるほど危険な存在(少年)だっただろうと思います。
観る側からすれば、もう、素晴らしいの一言でしたが。
このプログラムを見ることで、今まで紹介してきた羽生選手の凄さとはまた違った、羽生選手の多才さ、常識を超えたようなその凄さを、顕著に感じることが出来るかと思います。
まさにオールラウンドな才能をもつフィギュアスケーター。
いつか必ずやらされるだろうな・・・とは思っていた、ワイルド系、ロック系の演技。
過去の演技で、一番近い印象だったのは、羽生選手・シニアデビュー年のエキシビション「vertigo」で、その文字通り「めまい(vertigo) 」をおこしそうな(笑)プログラムでしたが、それよりもは、さらに体力もついて激しく男っぽく、完成度も高くなっているように思います。
「vertigo」は、羽生選手が嫌がっていたので取り上げないできましたが、競技プロとは真逆の路線をいくあれを見て、当時、顎が外れるほど驚いちゃった私には、羽生選手の才能・潜在能力の高さは恐ろしいほどよくわかったので、そういう意味では、思い出深い演技です・・・ おススメするなら コケても溌剌としていて楽しそうな、こちら →http://www.youtube.com/watch?v=Iv17fPuWzpI#t=27
プログラム開始と共に見せる、一瞬での切り替わり方が、怖いくらいですね。
震災で悩んでいた、素朴で繊細な羽生選手とは別人のようです!
しかし、相変わらず、演技が終わると、そのとたんに、またもやサクッと一瞬で、元の普通の少年に戻っちゃうところ・・・
そこが、また本当に羽生選手らしいですね。
その天賦の才能に、ただただ舌を巻く、そんな演技です。
この演技の中で特におススメなのは、アイスショーの一つ、2013年の「スターズ・オン・アイス」で滑ってくれたもの。
ニコニコ動画 (動画主様、拝借いたします)
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全身から漲るパワー、エネルギーがすごい。
疲れそうなプログラムですが、最初の羽生選手の表情からは、「やってやる!」という、心の声が聞こえてきそうです。
それまでに数回披露してきたこのプログラム、ついにこなれてきてグレードアップした印象で、この回は、ノリにノッています。
振り付けは、カート・ブラウニングさん。
慣れきっているような外国人がやるならまだしも、慣れていない日本人がやると、どうも無理があったり、妙に苦しそうに見えてしまって困ることもある「投げキッス」ですが、このプログラムには、「投げキッス」自体が、演技の中にバッチリと組み込まれています。(笑)
でも、この回で羽生選手は、実に自然で嫌味なくサラッとやっており、「あれ?今やった?やった?やったよね??」と思わず言ってしまいそうなほど、ナチュラルで演技に溶け込んでいて、長年、「日本人の不自然な投げキッス絶対反対派!」(笑)だったほどの私でさえ、思わずうっかり見逃しそうになるほどの素早さと自然さには感動するほどで、もはや、ぐうの音も出ませんでした。(笑)
(逆に濃厚なのを期待されている方には、期待はずれかと思いますが…。)
個人的には、最後のほうで、”両手を離して”決めてくれる「ハイドロ」が、特に素晴らしいと思います!!
しかし、最後に慣れない手つきでかっこつけながらルージュで引いた真っ赤なハートが、未完成かつ、まさかの「穴だらけ」な「ハートブレイク状態」で終わっているところ!(笑)が、羽生選手らしくて逆に良いですね。
なんとなく、ホッとする瞬間です。(笑)
解説では、「男らしくなった」だの何だのと言われてきたプログラムですが、私は最初から、羽生選手は、(特に中身が)非常に男っぽい方だと思っていましたので、これを最初に見た時は、ああ、ついにきたな~、ぐらいの気持ちで見ていました。
日本の女子選手たちも、「日本の男子シングル選手たちの中で一番男っぽいのは羽生選手」だと、認めてきたくらいです。
(・・・そうはいってもまだこの時高校3年ですし、大学2年になった今の羽生選手の男っぽさにはもう適わないかと・・・)
もう一つのお勧めは、2012年グランプリシリーズアメリカ大会(スケートアメリカ)の時のエキシビションです。
こちらは、ロシア語解説。
演技開始前のインタビューを受けている羽生選手の様子が、(英語がよくわからずにただ頷いていて)とても面白いです。
こういう人は、どこの国にいっても大丈夫でしょうね・・・!(笑)
会場がちょっと暗すぎて見にくいのが残念ですが、その暗さでこれだけの演技ができるのが凄いです。(動画主様、拝借します)
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こちらは、ハートが、もはやハートにさえなっていません!(笑) いや、いいんですよ、それで、そのままで!(笑)
羽生選手本人も、「・・・あれ?」って感じで胸の部分を見つめていて、面白いです。
ところで、この演技をやってくれた年、羽生選手は同時になんと、あの「花になれ」(最高おススメ演技・その6)をも滑って披露してくれていました。
この、両プログラムの印象の違い、対極性と言ったら・・・!!
恐れ入りました・・・!! としか、言えません。(笑)
先に、この「Hello,I love you」を滑っていて、後から「花になれ」を披露するようになり、その時の衝撃度はもう、凄かったです。
(どちらもエキシビション・プログラムです。競技プログラムではありません。)
成績を決める競技プログラムではなく、エキシビションプログラムだけで、観客を十分に満足させ、、沸かせることができるアマチュア・フィギュアスケーターというのは、そうそう多くない・・・
でも、羽生選手は、それが本当に最高レベルで出来る、数少ないスケーターの一人。
全力投球ぶり・そこで見せる技術力の高さ・エンターテインメント性、時に高い芸術性、 プログラムごとの変貌自在性。
羽生選手は競技プロはもちろん、徹底してエキシビション・プロでも・・・時には競技プロ以上に観客を魅了してきたほどの、本当に素晴らしい選手です。
これは、「競技で勝つことだけ」を目的にしている選手や、ちょっとでも自分が有利になるように計算しているだけの選手には、決して出来ないことです。
競技以上の、さらに遥に上のものを目指していて、さらに余力と情熱があり、本当にスケートが好きで好きで楽しんでやっていたり、表現で伝えようとしている目的のハッキリした、「本気の選手」にしか、絶対にできないことです。
ちなみに私はかなり以前から、エキシビション・プログラムを見て、その選手のフィギュアスケートに対する本当の姿勢とか、思いとか、真の実力、その後の将来性などを総合判断するようにしています。 個人的には、これでかなり当たると思っています。
羽生選手の凄さや魅力は、とにかく「エキシビション」で披露されてきた演技の「質の高さ」や「全力度」にまで顕著に現れているので、「最高おススメ演技」には、早期から、かなりの比率で「エキシビション・プログラム」が登場する結果になりました。
ついでに付け加えますと、羽生選手には、衣装なしの練習着姿の演技にさえ、最高レベルのものが見て取れることが度々あります。
羽生選手は、「練習で120%を出すようにしないと、本番で100%を出すことは決して出来ない!」(羽生選手・談)という強い信念をお持ちの方で、練習にも全力を出し尽くそうとされるので、結果、こういうことになっていきますね。
この曲は、原曲そのまま使用ではなく、元の曲をかなりアレンジして、さらにビートを利かせたものを、さらにかなり編曲して使っているようでして、元の曲はこんなにアップテンポでもダンサブルでもないようで、完全に別の曲になっている印象ですね。(私の受けた印象です)
このプログラムのもつ最大の欠点を、敢えて指摘させて頂くなら、
「氷上のカリスマ・ロックスター」と化した羽生選手に 「熱狂」を通り越して、理性が吹っ飛んでしまったファンが出てきた結果、様々な問題や被害が生じてしまう危険性をも併せ持っている点でしょうか・・・ (← 冗談抜きで、度を越す方々が現れると、時に、本当に深刻になり得ますので、笑えません・・・ )
羽生選手におかれましては、「Hello、Hello 」 「I love you 」などという言葉に合わせながら、同時にファンをハートブレイクさせたり、演技の最後に、落書きで自分のハートまでうっかりブレイクさせちゃうような面白さを披露するのは、ほどほどの程度に、とお願いしたいですね・・・!
追記:
2015年、アイスショーで、20歳になった羽生選手が久しぶりに、(およそ3年ぶり)、この演技をしてくれました!
非常に素晴らしかった!! この演技の中では、「ベスト演技」と呼んでよいかと思います!
一つ一つがとても自然で、それでいて、ビシッと決まっています!
「別人のような羽生選手」・・・ではなく、「羽生選手らしい」ままに、カッコよく決めてくれました!
ラストのハートマークを描くのが苦戦していて、そのハートも、穴だらけの「ハートブレイク状態」なのだけは相変わらず…(笑)と思ったら、必死で書き足して、中に「Y」の文字まで入れたサービス精神!
しかし、そこには子供の落書きみたいないびつなハートの完成形が…!(笑)
演技が大人っぽく、ナチュラルでクールになっても、ラストが面白い所だけは全然変わりありませんでした!