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羽生選手がフリー「Hope&Legacy」に込めた思いの一端を、合唱曲の歌詞から想う

2017-01-13 | 羽生選手の素晴らしさ

 

羽生選手が今シーズンのフリー曲に選んだ、「Hope&Legacy」。

 

このタイトルは、羽生選手が自ら考えてつけた名前ですが、元の曲は、久石譲さん作曲の、「Asian Dream Song」というものと、

「View of Silence」という曲を合わせて編曲したものです。

 

そのうちの、「Asian Dream Song」については、実は、その主要なメロディーに、歌詞がつけられていて、

現代の中学校や高校などで良く使われる、有名な合唱曲になっています。

そのタイトルは「旅立ちの時」。

 

もともとは、1998年のパラリンピックの閉会式で、テーマソングとして使われ、宮沢和史さんという方によって、歌われた曲です。

こちらが、当時のパラリンピックの閉会式(フィナーレ)。

 

 

 

この曲が、今日まで合唱曲として使われて、歌い継がれてきているのですが、その合唱曲が、こちら。

歌詞もなかなか素敵な曲で、ぜひ聴いてみて下さい。

 

 

 

久石さんの曲を、ピアノ曲だけで聞くよりも、実は、この合唱曲として聞いたほうが、

羽生選手のフリーでの使われ方・編曲のされ方に近い印象でして、

羽生選手は、この合唱曲イメージでの編曲で、あえてフリーを作ったのでは?とさえ私には思えます。

 

既に数回フリーの演技を観た今となっては、合唱曲を聴いただけで、羽生選手の演技が私の頭には浮かんできますね。(笑)

そしてまた、この歌詞が、なんというか…

今まで羽生選手が使ってきた演技の曲の数々と、テーマ・メッセージ性なども共通していて、

ああ、この歌詞は、羽生選手が好きそうだよね~!ってすごく思うのです。(笑)

 

今まで、羽生選手がこのフリーに込めた思いを、インタビュー等でチラホラと語って下さっていた内容とも、

この歌詞はしっかり被っているように思うし、

何はさておき、羽生ファンなら、この合唱曲を聞いて、

この曲につけられている歌詞を知っておくのは意味があることのように私は思うので、ご紹介しました。

 

 

 私がこのブログのタイトルに、「花になろうよ!」とつけたのは、

羽生選手が以前やったEX「花になれ」という曲に込めてくれた思いを受けて、あえてつけたのですが、

その後も「花は咲く」とか、色々な曲がありましたけど、

今シーズンの曲もショートもそうですけど、羽生選手はメッセージ性の高い曲を好んで選ぶ傾向があり、

好きな曲として聞かれた時に答えるものもすべて、歌詞にこだわっている傾向はずーっと一貫していたので、

きっとこれもそうなのではないかな…と 私は思っています。

 

そしてまた、これが「オリンピック」というか、「パラリンピック」で使われた曲であることや、

この曲がもともと、「Asian Dream Song」というタイトルで作られている曲だという点も、

実は深い意味があるのではないか… 意識して選んだのではないかしら?と、私にはそう感じられています。

 

障害があろうがなかろうが、どんな人であっても、夢をもって、

そしてどこの、どんな国の人であっても、「君だけの花を咲かせよう…!」

この曲で歌われている、そういう思いは、

これをパラリンピックに使い、Asian Dream Song と名付けた久石さんにも、

羽生選手にも、共通しているのでは、と私には思えますし、だからこその選曲ではないかな?と。

 

 

羽生選手は、アイスジュエルズNo.4で、このフリーのテーマについて、次のように語っていました。

 

「この曲に関しては最初から、自分の中でのテーマがしっかり決まっていました。

最初に考えていたテーマに合った曲を探したので、何を表現したいのかということは明確でした。」


「僕の中でテーマは明確に決まっていますが、言葉で概念化されていないというか、

具体的なものではなく抽象的な、どのようにもとれるものです。」

 

「この曲を選んでよかったと思うのは、僕には珍しく笑顔で滑れる曲だということです。

『天と地のレクイエム』もそうだけど、心から笑顔を出せる曲です。

僕はこれまで、真剣な顔をして苦しい表現をすることが多かったけど、今回は笑顔で滑れる部分がすごく好きです。

笑顔にはいろんな効用があります。

演技を観てくれる皆さんにも影響を与えるけれど、自分にも効果があります。

笑っただけでも心が豊かになります。 

自分をさらけ出して滑れるプログラムだなって。」

 

「皆さんにはいろいろな視点から見てほしいし、怪我をして滑れなかった期間が長かったので、

今、自分自身がスケートをやっていてすごく楽しいし、

スケートを滑っている感覚がものすごく感じられるプログラムです。」


以上、アイスジュエルズNo.4より

 

Ice Jewels(アイスジュエルズ)Vol.04~フィギュアスケート・氷上の宝石~羽生結弦インタビュー「進化の予兆」(KAZIムック)
舵社
舵社



羽生選手が、「自分をさらけ出して滑れる」と言っているだけあって、とても羽生選手らしい感じの演技ですし、

自然を表現している」とも言っているだけあって、とても「自然」な感じの演技になっていると思っています。

自然の何を表現しているのかについても、上の歌詞を見ると、より納得できる面がありますね。

 

ちなみに、この1998年は、長野五輪・長野パラリンピックの年だっただけでなく、

羽生選手が、スケートを始めた年なんですよね。

(羽生選手は、長野オリンピック後の、スケートブームの時に、お姉さんについて、スケート場に初めて行ったそうですね!)

 

そして、久石譲さんが作曲・宮崎駿さん監督の映画「もののけ姫」が公開された翌年でもあり、

この「もののけ姫」の中で、私にはすごく印象深く残っている言葉があります。

主人公アシタカが、恨みに駆られた山犬の少女サンとエボシが闘い、それを周囲の人々がはやし立てる場面に介入して、争いを食い止めるシーンがあるのですが、

その時、アシタカが(村の少女たちを守るために)受けてしまった腕の呪いが、その正体を現し、

その本当の姿を見たサンとエボシ、そして争いを見ていた民衆みんながギョッとして、我に返る場面があります。 

 

その時、アシタカが叫ぶ名セリフが、これです。

 

「そなたの中には夜叉(やしゃ)がいる! この娘の中にもだ。」

「みんな見ろ! これが身のうちに巣食う憎しみと恨みの姿だ。 

肉を腐らせ、死を呼び寄せる呪いだ。

これ以上憎しみに身を委ねるな!」


この「夜叉」(やしゃ)は、英語版では「demons」(=悪霊)と訳されています。


その正体の姿は、憎しみと恨みであり、それこそが「肉を腐らせ、死を呼び寄せる呪い」だと、アシタカは明言しています。

そして、「これ以上憎しみに身を委ねるな!」 と叫ぶのです。

憎しみに身を委ねていくと、それはひたすら増幅していき、その行きつく先は、必ず死の呪いでしかないからです。


希望をもち、自分だけの花を咲かせる———その、正反対の方向へと誘う力なのです。


もう一つ、村の少女たちを守るために、代わりに呪いを受けてしまい、その呪いを解くために旅に出てきたアシタカが、

真理を知りたい思いから言うセリフがあります。

「曇りなき眼で見定め、決める。」

この時の英語は、次のように翻訳されています。

「To see with eyes unclouded by hate.」 

(= 憎しみによって曇らされていない目によって、(物事を)見るために。)


憎しみは真理を見る目を曇らせる、というのは、聖書が繰り返し語っていることでもあります。



 

「旅立ちの時」の歌詞の全文は、次のページで確認できます。→ クリックどうぞ

最後に、この歌の2番の歌詞を抜粋して、下に載せてみます。

 

「争いの日々を乗り越えて

青空に歌うとき

かけがえのない命の果てに

名もない花を咲かそう

今 地球(ここ)に生きる者よ」

 

「旅立ちの勇気を

虹色の彼方に語りかけるこの時

微笑みながら 振りむかずに

 

夢をつかむものたちよ

君だけの花を咲かせよう 

 

 

書きながら思ったのですが、結局、羽生選手の演技は、根底にあるものがとてもとても優しんだな…と、

私は改めて、そう気付きました。

 

 

羽生選手が、このフリーの演技に込めた思いや、その演技中の笑顔の奥にあるものが、

ファン層を超え、国籍を超え、人種を超え、あらゆる憎しみや障害を越えて、

届くべき人たちに届き、より多くの人に、良い形で伝わっていくといいなと… 

 

そう思い、

そうお祈りしています。

 

 

「わたしたちは知っているのです。

苦難は忍耐を、忍耐は練達を、練達は希望を生むということを。

希望は、わたしたちを欺く(あざむく)ことがありません。」

(ローマの信徒への手紙 5章3~5節  新約聖書 新共同訳より)

 

「悪を憎み、善から離れず、兄弟愛をもって互いに愛し、尊敬をもって互いに相手を優れた者と思いなさい。」

(ローマの信徒への手紙 12章9~10節  新約聖書  新共同訳より)

 

「あなたがたを迫害する者のために、祝福を祈りなさい。

祝福を祈るのであって、呪ってはなりません。

喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣きなさい。」

(ローマの信徒への手紙 12章14~15節  新約聖書 新共同訳より)

 

 


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