Heart and heart

ありきたりになりがちな毎日をオンリーワンな一日に

藤沢周平記念館 ②

2013-06-12 15:22:59 | 

    《伝記小説》-----「一茶」と

     薄幸の歌人長塚節を描いた「白き瓶」
    
     ここで、藤沢がこだわっていたのが
     「非凡さと共存する、---ただの人ぶり----に徹底的に迫る」という事です
     まさに藤沢らしいと思います
     彼は 相当の事実を集めていてもまだ、本当の事実がある-----
      と、本を書く上での下調べにも余念がありませんでした

     さらに単行本--文庫本--全集になるごとに
     加筆改稿を重ねていったのです


     そしてここには、彼の仕事部屋も再現されているのですが、
     和室の襖の上の壁に掛けられた写真が印象に残ります
     それは、、当時鶴岡=湯の浜 間を走っていた
     庄内交通 湯の浜線の鉄道写真です
      こんな事からも藤沢がどれだけ、故郷 鶴岡へ
     郷愁を抱いていたのかが窺えます

   
     そして彼の小説にたびたび登場する
     架空の「海坂藩」----海坂とは=ゆるやかな弧を描く日本海の水平線、
     その傾斜弧を指すのだそうです。。。
     まったく知りませんでした、なんて美しいんでしょう!

     東京と庄内を行き来する時の、電車の車窓の景色を
     藤沢はさらに、こう言い表します
     「新潟から山形の県境を越える頃から
      左手に海が見えてくる。もう少しで読み終える本から思わず   
       目を上げれば、折から海に陽が沈むところである。
      こんな美しい風景がよそにあろうか。。。と思わずつぶやく。。。」

     どれだけ、藤沢が故郷とその景色を愛していたのかが分かります


     そんな藤沢が執筆以外の時間は、
     いろんなジャンルの音楽を聴き、映画を観て
     海外のミステリー小説を読んですごしたそうです
     そこから、イメージを膨らませたり、気分転換をはかったりしていたんでしょうね

     そして、藤沢の娘は、家族思いの
     父のプライベートの様子をこう語ります。
     「------父は物事にこだわらないのではない。。。平凡な生活を守る事に
       こだわったのです。家族仲良く、病気をせず平和に暮らす
        普通の生活を守ることにこだわっていたのです。。。
       そして、普通でいることの難しさも分かっていたのです---------」

     何とも藤沢らしいエピソードです
     家族を病気で亡くし、自らも青年期に結核を患った
      藤沢は、人生についてこう考えていたのです。

     だから、こそ彼の小説には、歴史をひっくり返すような英雄は出てこず
      はっと驚くような、ストーリー展開があるわけでもなく
      現代の自分たちに通じるごくごく平凡な一個人の
      人生を描き、その真摯な生き方に共感させるチカラがあったのです。。。


     俳句を愛した藤沢の文章は実に簡潔でありながら
      読んだ人のこころの奥のひだを震わせる
     静かな愛情を秘めているのです。。。

     ここの記念館は彼のイメージにピッタリです。
     木をふんだんに使い、たくさんのガラスから光が
     差し込み、
     ここ庄内の景色にピタリとハマります。。。。。

     あぁやっぱり、本が読みたくなってきた!!!      

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