![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4f/fb/3a33a89770f6a23f5c7cc25fd01b4e05.png)
Bunkamura ザ・ミュージアム
で開催中の「シャヴァンヌ展」
本展覧会のテーマは「水辺のアルカディア」
アルカディアとは=桃源郷を意味しているのですが
シャヴァンヌのすべての絵の根底には
桃源郷や理想郷といったような主題が存在しています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/58/6522e5442cf15c22950d6a95a560d95a.png)
これは、珍しく、力強い作品「アレゴリー」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4f/aa/ff9840099009aa29c87c71b5a060585c.png)
しかし、これ以降は
シャヴァンヌ特有の、淡い表現に変わっていきます
シャヴァンヌは壁画家として
生まれたフランスだけでなく 世界でその名を知られています
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/25/17/14409eb049a6fda63e95222bdbb98354.png)
もちろん壁画では展覧会はできないので
彼が、壁画を描いた後に
自分の元に作品を残して置いておくために描いた
ミニチュアのキャンバス絵画を展示して構成されています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0f/30/6f2c5dd6be6eaef2ded70a7344e3a8de.png)
彼の代表作でもある
「聖ジュヌヴィエーヴの幼少期」
パリにあるパンテオンの壁画です
パンテオンは、守護聖人ジュヌヴィエーヴに献堂するために
建てられました。
真ん中に位置する
主人公の初々しさが あえて、ツヤを消した淡い色で表現されています
宗教画のようでありながら、
陰影を極力少なくし、人物の表情も、抑えた
表現はシャヴァンヌ独自のものと言えるようです。
そこから、むしろ厳かさが、浮き出てくるようです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5e/55/6362ef246edbb269c5f222586bac0b91.png)
シャヴァンヌは、
その生涯の中で ノートルダム大聖堂や
多くの美術館に作品を描いていますが、
一貫して 平和を願う思いが、絵の中には込められていたのです
それは、1870年の普仏戦争や内紛で荒んだ人々のこころを
癒すものであってほしいという思いでした
あえて、遠近法を避けた 技法は建築と見事に調和し、
表現されたアルカディアは
いついかなる時も、人々のこころの支えになったのかもしれません
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/66/a1/165aca6d86e09985dd815959f4159254.png)
もう一つの代表作
「諸芸術とミューズたちの集う聖なる森」
これはリヨン美術館のもの、シャヴァンヌの故郷の美術館です
解説ではこうなります。。。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/0e/9f2eabe1e86d4c16b5c8524314530b34.png)
ほぼ中心に位置する
3人の女性は、建築・彫刻・絵画の化身
それは造形芸術の3分野です。子どもの傍にいる女性が絵画------
その周りにいる
他の9人は女神(ミューズ)です。。。。なんてステキなんでしょう!
立体感を排除し、平坦でありながら、淡いカラーで見る人の
こころ にすっと入ってくるような絵画-----
その絵は、平和をひたすらに願う
シャヴァンヌの純粋なこころ、そのものの様なきがしてきます
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/46/85/4c51a07c0d7d9dc6c6a75dc8a56aa77d.png)
何だか、会場もいつも以上に
おごそかな雰囲気がするのは 気のせいではないようです
後世に残る絵画は、その描かれた時代背景を
見る者に伝えてくれます。
もちろんその時の 画家の心理は作品に大きく反映します。
公共建築物の壁画は、依頼を受けて描かれ、
不特定多数の人々の目に留まるものですが
自分の表現したいものと、求められているもの、
シャヴァンヌはそれらを見事に昇華し、人々の息吹きや自然の
営みを表現してきました。
彼の作品は、すんなりと違和感なく、ひとの心に浸透し
さらに、それを
軽くしてくれます。
印象派と違ってあえて分類するなら、象徴派だそうですが
基本的には、独自の表現方法を貫いたシャヴァンヌの作品
前者とは、違って
まだまだ日本では、馴染みがないのかもしれませんが
この機会に、シャヴァンヌの世界にふれてみてはいかがでしょうか。