山五十川歌舞伎も、山形県指定の無形民俗文化財である。このような文化を受け継ぐことは、地域の方々の大変な努力の賜物と思う。それを応援する人々の暖かなこと。だがしかし・・・。
一度幕が降り、舞台も歌舞伎仕様に変わった頃、客席も宴会は終わって、本格的な客席になった。
義経千本桜「伏見稲荷鳥居の場」が始まった。
義経の活躍で平家が滅んだ後、源頼朝は難癖をつけ、義経に謀反の疑いをかける。義経は正妻であった平時平の娘・卿の宮の首を差し出し、自らの潔白を証明しようとしたが、弁慶が鎌倉方の侍を殺してしまった為、全てが無駄に終わる。義経は都を後にする。
この頃になると、客席の酔客は舞台を真剣に(?)見始めたようで、「成田屋!」「音屋!」などの粋な掛け声が・・・・あると思いきや、もっとごっつい応援の掛け声が聞かれることになった。本名や役の応援、舞台の筋書きへのいちゃもんなど、面白いヤジである。
静御前が義経を追って、一緒に行きたいと言う。まぁ、この静御前の綺麗なこと!やっぱり義経よりもでっかい。
松山の能でも、静御前は義経よりもでっかかった。
あらすじは、松山能の時と一緒なのだが、もう少し詳細なことが色々と起きる。これは弁慶である。いかにも弁慶であった。
この後、義経は弁慶を鎌倉方の侍を殺した失態を許そうとせず、ボコボコに打つ。
静御前は、正妻ではなく愛妾だったのを初めて知った。私も一緒に行きたいと願い出る。
しかし義経は、形見にせよと、禁裏から拝領した「初音の鼓」を、静御前に渡す。泣き濡れる静ちゃん。
それでも一緒に行きたいと願う静ちゃんを、みんなで寄ってたかって・・・・
縛りあげる。あらら
さて、その頃、次の出番を待つ人達が、寒さに打ち震えながら・・
階段がないから大丈夫かとの黒子の話に、「 大丈夫、飛べるから!」と若手が舞台に跳ね上がった。
彼らが舞台で大暴れしている頃、私は時間を気にして山を下りてきた。歌舞伎はまだまだ続くようだ。