愚ダメ記、真誤付き、思い津記

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9.11のこと

2020-09-11 | 日記

テレビで9.11追悼行事のニュースが流れた。2001.9.11、21世紀の初めの年、日本では9月11日が終わろうとしていた頃、そろそろテレビを消して寝ようと思った矢先に流れた速報のテロップ、その後の中継映像、そして希望を込めて描いていた21世紀への喪失感。 戦争の世紀と言われた20世紀が終わり、「次の世紀はどのような世紀になって欲しいか」という問に人々がいろいろな希望を答えていた中で、その始まりを「テロと報復、そして報復テロ」の憎しみと恐怖で塗りつぶしてしまった人類の現況の重苦しさ。そんなものが、頭の中や胸の奥で湧きあがり駆け巡って眠れなかったことを覚えている。

 知人に、夏休みを利用し留学中の研究の後始末に米国に滞在していた学生がいた。ニューヨーク近郊に滞在し丁度その日に帰国予定だったが、9.11テロ直後の全米上空の飛行停止で帰国できなくなった。一週間後ようやく帰国できた彼女は、当日のニューヨーク周辺の生々しい雰囲気を話てくれた。帰国のため空港へと向かうフェリーの中で事件を知り、黒煙を上げる貿易センタービルを多くの乗客たちと共に目撃していたそうだ。貿易センタービルが崩壊した後、2つのビルが写るニューヨークの絵葉書を皆が買い求めたという、「事件を忘れないために、事件前のニューヨークの風景を忘れないために」と。そして、彼女からその中の1枚を渡された。おそらく、その日その場にいた多くのニューヨーカー達の思いを共有して欲しい、という事だと思った。

 あれからの19年間で、その事件に関わった主たる人物たちは捉えられたり死亡したりしている。しかしあの事件によって破壊されてしまった憎しみ報復手段の限度は、まだ取り戻されたとは感じられない。第1次世界大戦で始まり戦争の機械化と2度の世界戦争、そして核兵器を生み出した20世紀。果たして人類は21世紀に何を生み出すのか?、と不安に怯えつつ考え込む 9月11日である。