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デジタル化、IT化推進?

2020-09-16 | 日記

新内閣の方針の一つにデジタル化・IT化推進が掲げられていて、各社のテレビ番組でも議論・解説が行われていた。ただ、これに関連して決まって取り上げられたのが「10万円給付金の遅延問題」と最近の「銀行口座からネット講座への不正送金詐欺問題」だ。自分の印象では、この2つの問題の原因がデジタル化・IT化そのものと関係しているとは思えないので、戸惑いを感じる。

 給付金遅延について「マイナンバーカードがもっと普及していれば、早く送れたのに」とカード普及率と関係づけようとする理屈で説明される。しかし、既に各個人の氏名・住所はマイナンバーにリンクされ、ナンバーは各個人名でその住所に郵送で知らされたはず。つまり、既にその部分の「デジタル化」は済んでいる。もし個人単位で給付しマイナンバーごとに指定口座を申請させれば、カードが在ろうが無かろうが、それ以上の確認は要らない。問題は、その状況で基本的に世帯別給付を選んだことにある。その結果、最終段階は番号付けされた個人と住民票記載の照合となり、デジタルとアナログの混合作業でより煩雑になった。世帯別給付を選ぶのならアナログ方式で統一した方が早く、結果的に郵送・書類申請の方が早くなったケースが多かったようだ。

 ただし今回のやり方でも、住民票データがコンピューターに保存され(デジタル化され)、マイナンバー申請と住民票の照合がコンピューターで行われていれば(IT化されていれば)、人が目で行うより断然速いはず。そのシステムが無いことがデジタル化・IT化の遅れであり、カード普及率とは無関係。つまり、基本的に各自治体事務のデジタル化対応・IT化が図られてない状況が議論されるべきで、これをどうしてもカード普及率と関係付けようとする議論には政治的作為を感じてしまう。役所のデジタル化・IT化の遅れや弱さについては、コンピューターへの予算の欠乏(ハード面、ソフト面とも)、使いこなす人材確保の意思の欠如が原因で、これには政府と同様、自治体の長にその意思(他の予算を割いてでも進めるという意思)が無いも同然の状況が感じられる。

 「ネット口座への不正送金詐欺」についても、問題は「銀行口座保有者とネット口座開設者の一致を確認する意思の欠如」であり、IT技術への理解とは無関係。「こうすれば、何が起きてくるだろうか」という想像力の欠如の問題である。事件後、ショートメールでパスワードを確認して本人確認を行う方針が打ち出されたが、ネット口座開設者のアドレスに確認パスワードを送っても(なりすまし犯人にパスワードを送って確認?)銀行口座保有者と一致することの確認にはならず、かと言って銀行口座保有者にメールが送れるようになっているとは思えず(市中の銀行で口座開設時にメールアドレスを教えた記憶が無いし、固定電話へのショートメールは不可能)、具体的な本人確認の進展が期待できるのか?、理解できてない。

 最大の問題は、ごちゃ混ぜ・矛盾を孕む方法の採用を排除できなかった想像力・指導力の欠如にあると思えてならない。集団の雰囲気で物事が流れていく結果として、何だか分からない横槍や尊宅・優柔不断が入り混じり、最終的にあり得ない最悪状況を作り出すというのが日本式意思決定の最大の弱点である。これの解消はデジタル化やIT化と無縁である。想像力の欠如が問題なの0であり、それが欠如したままデジタル化・IT化が進めば、もっと恐ろしいことになる。デジタル化・IT化が進めば、処理が高速化・大量化し、結果が出るまでの過程は目に見えないのだから。

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