goo blog サービス終了のお知らせ 

goto_note

西東京市・北海道富良野の森林を舞台にした遺伝,育種,生態などに関する研究ノートの一部を紹介します

アレッポマツの遺伝構造

2007-05-08 | 研究ノート
・樹木園直行。ブナ調査から1日開始。ずいぶんと開芽が進み、北海道・東北地方はほとんど芽が動き始めている。中にはステージ2(全体の20%以上が開葉)も出てきた。ブナの芽吹きは本当にきれいで、これに魅せられている研究者も多いのであろう。播種床のヤチダモも、いつまでも芽が動かないなあと思っていたら、よくよく見るとだいぶ開きそうな感じになっているものもある。最初の立ち上がりをきちんと捉えることは重要なので、引き続き注意深く観察する必要がある。



・職場に到着。喫煙所にて一服中の梶先生から、「花が咲くときには葉も早めに開くんだぜ」、という重要なコメントを頂く。現在観察している産地試験地以外にも、近くに植栽しているものがあるので、そちらも開花状況だけはチェックする必要がありそうだ。

・さて、トドマツ原稿修正。倒木数、子供数、子供の年齢などを結果に移す。そのほか、練さんから読んでみて、と言われていた論文にも目を通して、引用することにする。Troupin et al. (2006) Mol Ecolでは、イスラエルのPithulim山のアレッポマツ(Pinus halepensis)のデモグラフィックな遺伝構造を調べている。この集団は、天然集団とは5km、人工林からも最低1kmは離れている隔離集団で、元の起源が1944年時点ではわずかに5個体に由来するが、2000年にはあっという間に2000個体を超える集団に拡大したことが過去の航空写真から明らかになっている。

・アレッポマツは地中海沿岸に天然分布するが、乾燥抵抗性も持つ、荒地に強い先駆樹種的なヤツらしい。成熟するまでの期間はかなり短く、7-10年だという(カンバで言えば、シラカバ的と言えるか・・・)。このマツでは、Nathanらのグループの一連の仕事が有名だ。種子トラップ・データとMechanistic modelで推定された種子散布距離は平均20m以下で、風や動物による二次散布は報告されていない。また、アリやげっ歯類(ネズミ?)による密度依存的な捕食圧がかかること、実生間競争の影響により、距離依存的、密度依存的な死亡が確認されており、母樹からの距離が離れるにつれ、実生密度が低下するにつれ、生存確率が急速に高まることが示されている(Nathan & Ne'eman 2004).

・アレッポマツの場合、風散布型の針葉樹にしては種子散布距離が短いことから、繁殖個体が低頻度に分布する場合(すなわち、本論文で扱っている集団)、当然、若い集団では強い構造が認められるかと思いきや、実は初期(1960年)のコホートには構造がなく、ステージが上がるにつれて(1973年コホート)構造が強まる、という予想に反する知見が得られている。特に、なぜ初期に構造が生じないかというところが面白い。

・Troupinの修士論文で定着した稚樹の親子解析をやったところ、平均散布距離が100mを超えるという結果がある(n=47なので少々あやしい)。こうした結果と合わせて考察がなされており、種子散布距離だけではなく、定着に関わる密度依存的な捕食とか不均一な定着サイトの存在が遺伝子型をランダム分布させている、というような内容(だと見た)。いずれにせよ、この修士論文がどうにも気になるんで、イスラエルに向けて修士論文の別刷り請求をe-mailで出してみる。PDF化してくれていると話が早いのだが・・・。いずれにしても、アレッポマツ関連の論文についてはもう少しきっちりと読解する必要がある。

・昨日の宿題。なぜかプロット図の下に子供の数を標記させるのがうまくいかない、ということで再び飯島さんの手助けを借りる。データフレーム化ができていなかった、のが全ての敗因。データハンドリングまわりはまだまだ修行が足らん。重なっているところは後で修正する必要があるが、一応、完成に近づいたようである。いやはや、もう少し自由自在に操れるようにならねば・・・。

トドマツ論文改訂作業

2007-05-07 | 研究ノート
・まずは、モデル以外のトドマツ論文を固めてしまわないことには先に進めない、ということで、GW中に練さんから送ってもらった原稿を熟読しつつ、自分の意見を整理。午前中に電話でぎりぎりとした折衝。全体として、ばらばらに進みつつあるこの論文では、言いたいことがお互いにだいぶ食い違っているので、そこをじっくりと修正する。やっぱりこういうときに話し合うのが一番。本当は会って話をするのが一番いいのだが、メールなどよりも電話の方が理解が早い。

・ほぼ妥協点を見出せた感じなので、多少の懸案事項はあるものの、とりあえずはこちらの作業を進める。午前中一杯は、パソコンに触らずに、書き込みしながらじっくりと考える。で、午後から改訂作業。書き直し、移動、削除などがりがりと削っていく。自分の作成した文章はどこに行ったのか・・・という感じもするが、いい方向に改善されていさえすれば、全然問題なしだ。3時過ぎに練さんにいったん返却。作図の宿題が残ったが、これもRでやってしまう予定(処方箋は既に久保さんから頂いている)。

・ということで、引き続き、査読作業。コメントに対する返信の冒頭は、Thank you for much for your invaluable comments・・・なる文章で、一瞬、”invaluable”が「価値のない」という意味かと思ってびびる(だとすると、とんでもない皮肉!?)。が、そんなことはもちろんなく、「価値の測れない、測れないほど貴重な」という意味でした(それはそれで大げさだけど)。あー、びっくり。だいぶ改善されたのだが、表現などはまだまだ・・・。ということで、手助けしすぎのような思いを抱きつつ、細かく添削・指摘をしていく。全体的な指摘の作文も終わったので、もう一度だけ確認して明日提出できそうだ。

・会議から戻ると練さんからチェック終了後の改定稿が既に届いていた。早!今まで、トドマツ論文については、二人のスケジュールがなかなか合わずに滞っていたのだが、ついに固まりそうな予感。あさってには、久保さんにお渡しすべく、再度チェックをしなければ・・・。おっと、そういえばRの宿題が残っていた。tapply関数、rbind関数まではうまくいったみたいだが、行列を逆にするのはどうするんだっけ?しっかし、あっという間に忘れちまうもんだなあ・・。

オタマジャクシ

2007-05-06 | フィールドから
・実にさわやかないい季節である。GW最後の本日は、家族に付き合ってもらって、樹木園のブナ開芽調査。ここのところの暖かい日和に誘われて、東北・北海道グループは一気に開芽が進み、ついに1個体は完全に緑の葉が展開した。福井の辺りの開芽が早いのも昨年と同じ傾向と・・・。



・梶先生収集のブナの方も青森産の芽が動き始めた。全体的にはまだまだである。てっきり、こちらの方が早いと思っていたのだが、ちゃんと調べてみないと分からないもんだなあ。



・お、キタコブシが開花、と。そういえば、通勤途中でもいくつか開花が見られている。キタコブシは何年かに一度、花がとても綺麗な年がある(つまり豊作)のだが、今年はそんな予感。ちなみに、ヤチダモの雄花も膨らみ始めており、当方の中では、ヤチダモも今年は久しぶりの大豊作と予想されている。



・帰りがけに池の辺りに立ち寄ると、水芭蕉の花。



・子供達と池の中の水生昆虫など観察。昨日名前を覚えたばかりのマツモムシはここにもいる。と、ひしめきあうオタマジャクシを上の子供が発見。まだ孵ったばかりですごい数。このうちどのくらいカエルになるのだろうか・・・。


子供が主役

2007-05-05 | その他あれこれ
・本日は春季リーグ最後の日。今日の勝敗によって、最終的な成績が決まるのだが、最終試合はそれなりに強豪のKチーム。1Q、2Qは1ゴール差で負けるものの、何とか突き放されずにとどまった。その後も一進一退で、3Qもじりじりした展開。4Qの終わりについに逆転。再逆転されそうになった場面もあったが、集中力が途切れることはなく、ディフェンスをよく頑張った(ベンチも必死に応援していた)。最終的に、26-23で接戦を勝利。こちらも応援のし過ぎで声が枯れた・・・。保護者はみな涙に・・・。本気になってこそ、スポーツは楽しい。しかし、連休最終戦を勝利で飾れたのは何とも気持ちがよかった!強くなったもんだ。

・試合終了後、会場となったA小学校で下の子供と校庭で遊んだ。小さな池らしきところで妙な虫を発見。つがいで行動していたが、ゲンゴロウやガムシとは明らかに違い、もちろんヤゴとも違う。気になったので、家に帰ってから学研の図鑑「昆虫」で調べてみると、どうやら”マツモムシ”というヤツらしい。北海道から九州まで分布するらしく、そういえば名前は聞いたことがあったが初めて見た。カメムシの仲間か・・・。うかつに触ると刺されてかなり痛いらしい。あーよかった触らなくて・・・。

・子供の日ということで、旭川のイオンに買い物に行く。春季リーグの余韻に浸っていたためか、子供の買い物をして満足し、上の子供の自転車を購入するという肝心の目的を家族全員が完全に忘れていた。アホだ。それにしても、イオンは人が多かった。仮面ライダー電王ショウもあり、子供達はかなり本気になって応援していた。GW気分を満喫した後、富良野に戻って久しぶりに”酒菜屋”へ。色々と注文して美味しかった。ご馳走様でした。

日直

2007-05-04 | 研究ノート
・今日は山火事当番ということで、事務所にて日直。当機関では、GW中も山火事防止活動として、日直が湿度・風の強さ等を定期的に測定すると同時に、山火事予防宣伝車(?)で山火事防止の呼びかけをしながら、周囲をパトロールしている。何しろ、富良野市の大部分の面積を預かっていることもあり、こうした活動には長い歴史があるようだ。

・で、本日はというと、曇天だが、風が強い。湿度は49%からのスタート。湿度は時間とともに徐々に下がり、10時過ぎに警報発令を依頼。パトロールカーとも連絡を取り、終日、待機といった状態。その後、案外、湿度は下がらず、42%の付近をうろうろとしている。

・ということで、実に静かな環境の下、総研北海道支所でやらせていただく(つもりの)プレゼン準備。今年度から始まる科研Bでは、森林総研の北村系子さんと共同で、アカエゾマツ個体群の適応に関する研究を展開することになっている。その打ち合わせをしに初の羊が丘入りを目論んでいるわけだが、その際、「せっかくならばセミナーを」というお誘いを内々で頂いているというわけである。当初は、トドマツ相互移植試験ネタを使い回すかと思ったのだが、アカエゾネタで改めてプレゼン準備。

・プレゼンは二部構成とし、一部では集団遺伝学的研究(現在、執筆中)、二部では科研で行おうとしている研究計画、としてみる。これなら北村さん、新たに参画していただく飯島くんの二人にも今までやってきたことを理解してもらえるし、その後の打ち合わせがうまく進むのではないか、さらに聴講していただいた方々から何かアドバイスをもらえれば言うこと無し、って算段である。



・こうした環境で落ち着いてプレゼン準備するのはなかなかよろしい。標高、土壌タイプ、見かけの集団サイズと各遺伝的多様性パラメータとの関係もRで作図しなおしてみると、自分自身の理解(思い出し)を助けてくれる。さらに、科研のポンチ絵なども作り直しているうちに、これからの研究計画の全貌(というか、危ういところ?)が見えてきた感じもする。

・午前中いっぱいかかって、ある程度進んで満足。と、ふと冷静になると、こんなことやってる暇があったら、講義準備した方がよいのでは?という内なる声(たぶんかなり正しい)に従い、午後からは講義準備を少々。途中、携帯電話でバスケットの試合結果の確認。今日は2試合とも快勝だったとのこと、総合成績は2位。上出来でありましょう。

・結局、本日もつつがなく山火事当番を終了。と、久保さんのブログ中に、セミナー案内なるものがあり、誘われるがままに見ていく。ふむ、2007.05.08 (火) 10:30 (A804) 江川さん講演、2007.05.11 (Fri) 15:00 (A804) Dr. Dillon Chrimes氏講演、と。国際的だねえと感心しているうちに、何か引っ掛かるものが・・・。あれっDillon氏って、もしかしてうちのPDでは?その頃は名寄に行っているじゃなかったのか??しかも講演内容は、当方もいつのまにか巻き込まれているプロジェクト(?)だったりして・・・。

スポーツの春

2007-05-03 | その他あれこれ
・GWは3・4・5日も全てバスケットの試合。今日は市内のスポーツセンターにて富良野カップなるものが開催されている。初戦は昨年優勝のNチームと対戦。1Qはうちのチームの得点パターンなるものがうまくでて圧倒。しかし、2Q,3Qはじりじりとした展開。4Qで再び突き放し、37-16で快勝。

・2回戦はMチームと対戦。初めて聞く名前だったのだが、実は超強豪。おとなしそうな顔をして当たりも強いし、ロングシュート(本当ならば3点シュートの位置?)が嘘みたいに決まる。が、こちらも頑張り応戦。しかし、実力差はいかんともしがたく、27-67で敗戦。実力ではもう少し差がついていたかも、強いチームはいくらでもあるもんだ・・・。



・試合終了後、下の子供と競技場でサッカー。雪のないグラウンドって久しぶり?昔はパスができなかったのだが、何となくそれらしき形に・・・。やっぱり体を動かすって、気持ちがいいね(叫んでばっかりいるよりも・・・)。天気予報に反して実に暖かい日となった。芽のふくらみも目立ったきた感じ。
・ふと殺気を感じると、そこにはパンパンに膨らんだ雄花をつけたシラカバが・・・。今年のシラカバは全般には花粉飛散量は少ない見込みだが、中にはやっぱりこんなヤツもいるのか・・・。一応まだ花粉は飛散していないが、見ているだけで何やら目がかゆくなってきた。花粉症の皆さん、そろそろご注意を・・・。


ブナ開芽始まる

2007-05-02 | 研究ノート
・今日は雨。それもかなり激しく降り続いた(のは久しぶり)。いくつか連絡調整などをすると、4月末もそれなりに予定が入っており、不安要素が増しつつある。早めに片付けるべきことをやっておかねば・・・。

・先のCJFRオンライン投稿システムについて、飯島くんから再び目からうろこのアドバイス。そうか、図表はテキストにまとめて、図表ファイルなしでPDF化すればよかったのか。早速やってみると特に問題なさそう・・・。最後に、引用文献記載でまだミス(というかEnd-note打ち込みミス)が発見されたので、それを修正し、完了。分かってしまえば早かった・・・。先達の意見は本当に助かる。

・小降りになった2時過ぎからブナ開芽調査。昨日・一昨日の高温に反応してか、一気に動き出した感じ・・・。だが、今年のブナたちは寒暖のペースがつかめないのか、芽の開き具体が分かりにくく、開芽判定に苦労する。おっと、ついに開芽初期の判定を下すべき初個体がいくつか。北海道よりも若干東北の方が鋭敏に反応している感じ・・・。一方、年代の若い太平洋側産地のブナは少し遅めのスタートとなりそうで、200個体くらいの中でわずかに2個体のみが開芽初期の判定となった。これからどう推移していくか楽しみだ。

・調査終了後、樹木園スタッフと見本林整備相談などしながらのそぞろ歩き。再び、フキの花が気になる。ところで、先日、フキと繁殖で検索したら、やっぱりちゃんと研究している方がいた。フキには性的に3型があり、雌雄の花の形態もかなり複雑であった。さらに調べると、3倍体問題とかも絡んできそうで、これは相当に複雑なことになっているらしい・・・。さらに、先日、雌だと思っていたものが実は雄ではないかという疑いまで出てきたりして。ううむ、フキ、おそるべし。

今年の風邪はおなかに来ます

2007-05-01 | 研究ノート
・GW真っ只中の30日に風邪でダウン。突然寒気がしたと思ったら、すでに風邪を引いていたわけだが、珍しくおなかの調子も崩していたのがイタかった。だいぶ寝ていたせいか、ようやく復活しそうな予感。病院に行ったら、風邪と思しき人々が大勢詰めかけていた。休日明けということもあるのだが、案外気温の変化が激しい時期なので、皆さんもご注意を。

・先日Annals of Forest Scienceに投稿したヒノキ論文がいきなりエディター段階で却下されるという悲劇。ローカルな話題なのでうちの雑誌には合いません・・・と。内容をちゃんと読めよって言いたいとこだが、審査されて断られたわけではないので「がっかり」というよりも「なんで?」って感じ。いずれにしても、引きずっていても仕方ないので、さっさと雑誌を変えて投稿する段取りをする。せめてもの教訓に、タイトルだけは変更し、少しでも一般的な雰囲気を持たせる工夫をしてみたり・・・。こうなったら負けないぞ!

・ということで、Canadian Jouranl of Forest Researchのオンライン投稿システム(OSPRAY)とやらに挑んでみる。著者を一人一人登録したり・・・と案外面倒。Instruction to authorsには10分で完了できる簡単システムなどと書いてあるが、明らかに誇大広告である。ファイルもいちいち別にアップロードせねばならんし、横長の表は2ページに分断されるという悲惨な状況に・・・。ということで、いったん、作業を停止してここまでのところを保存、と。おそらく一筋縄ではいかんでしょう、という当方の予感は当たり、これからオンライン投稿システムとの格闘が始まるというわけだ・・・。

・とりあえず、表が分断されるのをどうするか・・・。いったんパワーポイントに貼り付けて、90度反転してからjpeg化でもしてみるか。なんだか不毛な努力ですけど・・・。