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西東京市・北海道富良野の森林を舞台にした遺伝,育種,生態などに関する研究ノートの一部を紹介します

測定開始

2007-06-29 | 研究ノート
・高橋さんとアカエゾマツ葉の形態などの測定開始。最初なので、色々と手間取りながらの作業。測定項目について、飯島くんとぎりぎりまでやりとりしながら、できることとできないことを判別しつつ・・・。葉面積、葉寿命、葉形態、葉密度など間違いやすそうな測定項目が並んでいるので、説明している当方が混乱しそうになる。

・葉面積については、撮影シートをコピーして作ったので、どんどんできる形になった。こうした下準備は案外重要である。大麓山頂付近はさすがに葉が短くて、1300m付近とも全く違う形態をしているみたい。



・SHAPEでは、スケールの位置を固定しておいて、上もしくは左から順番に認識した方がいいので、こうして左上から右下に並べておくと間違いが少ない。後ろから光を当てると影が消えて問題が少ないが、マクロ機能を使わないと駄目みたいだ。また、青い文字で書いておいて、Blueモードで白黒化するとそのままでOKである。

・城田さんから調査した6サイトの詳細な記載をメールで送っていただく。あまりの丁寧さに感動。というよりも、普段、ちょこちょこ行っている割に自分はいかに現場をきちんと見ていないのかを感じさせられた。とにかく、感謝。

・一方、富田くんとはヤチダモ論文のモデルの定式化などについて議論。相変わらず鋭いコメントである。とにかく、散布カーネルについては、当方が理解できていないところがまだまだあることがよく分かった。これを機に、もう一度、理解を深めないといけませんなあ。

ハイマツの海

2007-06-28 | フィールドから
・いよいよアカエゾマツ科研に関する現地調査開始。森林総研の北村さん、北大の飯島くんに加えて、同じく北大の城田さん、東北大の富田くん、に当スタッフという実に多彩な混生チーム。まず、前山湿地林にて枝の採取方法などを城田さんの意見を聞きながら検討。と、ここでロガーがセットアップされていないことが判明。ということで、ロガー設置はやめて山頂付近の2集団のサンプリングに集中することに・・・。

・登山道までは車で行くことに成功。ということで早速登るが、蒸し暑いせいか、いきなりばてる。途中の見晴らしのよいカーブ付近からアカエゾマツ矮生個体が出現するので、再び、採取方法、測定項目の確認。横目で風雪に耐え忍ぶアカエゾマツたちを眺めつつ、この辺でサンプリングするかという大体の感じをつかむ。

・バテバテになりつつ山頂へ到達。大雪山系は雪渓が残っていて、実に雄大な眺め。と、山頂付近の集団ではなんだかアカエゾマツの雌花が目立つことに富田くんが気がつく。低山帯では今年は絶望的な着花状況だと思っていたんだけど・・・。ということで、山頂ではどうせなら花がついている個体を選ぶか、という感じになる。



・アカエゾマツはもちろん風媒なんだが、雄花をよく観察していると虫がうろうろと集まっている。こうした高山帯では貴重な餌資源だったりするのかも・・・。案外、風媒だけではなかったりして。針葉樹ではあまり聞いたことないけど。



・いざ、サンプリングを始めると、過去のマイクロサテライト用のサンプリング個体のピンクテープが眼に入り、ついそこまで行ってみたくなる。しかし、この付近ではハイマツがわんさかと生えていて、ハイマツの海を泳ぐといった風情。この綱渡り的歩行に皆さん大苦戦されていたようで(当方もその一人だが・・・)、わずか20個体をサンプリングするのが実に大変であった。



・帰りがけに、今度は目をつけていた歩道沿いとそこから少し奥に入った個体をサンプリングしていく。標高差は100m前後だが、山頂とはまた明らかに違った個体の雰囲気となる。個体サイズや樹形も結構違うので、想像以上に環境差は著しいのであろう。混生チームでは、それぞれが違う観点から高山帯やアカエゾマツたちを見ているので、今までには聞いたことのないような新鮮な意見が聞けた。これをどうやって具体的な研究項目に活かしていくかが問題なんだが、ともかくこうしたベクトルの異なる意見は貴重だ。

チューリップの木

2007-06-26 | その他あれこれ
・部屋からはユリノキの大木が真正面に見える。現在、黄色い花が見事に咲き誇っている。この木は、チューリップ・ツリーという別名がついているのだが、なるほど遠くから見るとチューリップが咲いているように見える。それにしても、今年もまたユリノキの花の季節になってしまいましたか・・・。シーズン前半、一体全体、何ができたのか。とりあえず、執筆中の論文2本を早めに投稿したいところだ。



・さて問題のユリノキだが、近づいてみると、その花は到底チューリップとは思えないような、派手な顔立ちをしている。ユリノキは葉っぱのかたちも変わっていて、庭木などでも時折使われているようだ。



・2時半過ぎ、予定通り、東北大の富田くん到着。近況、ジーンフローのモデルやMCMCについて色々と話を伺う。の話をしたり・・・。ヤチダモ論文で採択した2成分モデルの話になって、コードを確認しつつ実演。なぜか、カツラの話で盛り上がる。ううむ、これは使えそう。

綿毛

2007-06-25 | 研究ノート
・昨晩は9時過ぎに寝たにもかかわらず、なんだか頭が重い。疲れ気味なのか、低調。何をしたのか分からないうちに午前中が終了。昼休み、GPSを試してみる。事務所の周りはドロノキのものと思われる綿毛(種子)がふわふわと飛んでおり、幻想的なのはいいとして、ますます力が入らない。

・とりあえず、27日からのアカエゾマツ調査準備などを行う。今週も予定はぎっしりなんで、論文審査もしゅしゅっと済ませねば・・・。帰りがけに久しぶりに亀谷に寄って、クーラーや調査用具あれこれを調達。

・今日はバスケット練習もないので、家族全員で買い物に行った後、食事処”笑笑”に行く。見かけによらず(失礼・・・)、案外美味しいかも・・・。以前、ここにあったCafeはつぶれちゃったんだけど、この店は頑張って欲しいところだ。

赤いリボン

2007-06-24 | その他あれこれ
・幼稚園の運動会。予報では午後から怪しげな天気だったのだが、いきなり晴天で日焼けが心配になるくらい。一番の見所、かけっこから始まる。昨年はひたすら泣きっぱなしでかけっこどころか、参加するのが精一杯だった。今年の練習では一番だったという本人談だが、果たして本番は・・・。おっいい出だしだ。そのままリードを守って激走(?)。見事、一着である。一着を意味する赤いリボンが誇らしげに肩に光っている。当方が幼稚園の時には、5位とか6位の記憶しかないんだけど・・・。

・その後、親子で参加するレースとかダンスなどもあり、参加したり、撮影したりと案外忙しい。と、気がつけば、あれほど暑かった天気だったのだが、いつの間にか雲が多くなり、おかしげな天気である。ついに小雨が降り始め、午後に行う予定だった年中さんのリレーまで一気に行い、やや時間を延長して午前中で終了。



・帰りがけに、”富良野へそ祭り”の看板を発見。誰がデザインしたのか、なかなかカッコいい。今年は幼稚園とバスケットのチームで出ることになりそうで、例年になく熱い夏になりそうである。

スポーツの夏

2007-06-23 | その他あれこれ
・再び当麻小学校へバスケットの試合についていく。当麻小学校はデザインも今風である。当麻森林組合寄贈の木のベンチがなぜか目に付く。前回の大会でぎりぎりで逆転勝ちしたKチームとの対戦。今回は応援も少ないので、特別張り切って声援を送る。第1Qは2点差で競り勝ったが、第2Qは2点差で競り負ける。各クォータの最後に点を入れられるという嫌な展開。必死で声を枯らすが、どうにも雰囲気にのまれているのか、普段の動きができない。第3Qは再び競り負け、第4Qへ。

・子供達は頑張っているのだが、相手チームがいいところでロングシュートが決まる。逆にこちらは焦ってゴールに嫌われるという展開で、最終的には11点差で負け。子供達も相当に悔しかったみたいだが、こちらはほとんど放心状態のまま、オフィシャルをこなす。ちょっと前まで弱かったチームが急に力をつけていたり、分からないもんである。

・やっぱり、もっとシュートの正確さを上げないと勝てないねえ。それより何より、当たり負けしない”気持ちの強さ”が欲しいところだ。帰ってきて、明日の幼稚園の撮影用ビデオテープを買いに行く。子供二人は自転車、当方は軽くジョギング。”一瞬の風”の影響かな。颯爽と走っているつもりなんだけど、帰りには既に息切れが・・・。

二次林の撹乱規模と遺伝構造

2007-06-22 | 研究ノート
・朝起きると胃が重い感じ。昨晩最後にふらふらと吸い寄せられた博多ラーメン(由丸)のせいか・・・。アカエゾマツ針葉を横から撮影した画像を用いた解析を試みる。SHAPEの操作もだいぶ慣れてきた。スケールのポジションはかなり重要で,きちんと場所を決めておかないと後が面倒だ。対称,非対称に分けない場合,2つの成分が大きく効いている。対称成分のみで解析すると,最初に厚み,次に先端部のとがり,3番目に針葉基部の尖りが表現されるようだ。この2成分で散布図を描くと,これまた見事に個体ごとに分離している。しかし,非対称成分の第一成分が曲がり角度と方向になっているみたいなんだけど、どうして方向が大きく2つ分かれてしまうのかがどうも解せない。ということで,岩田さんに結果の報告と質問メールなど。



・北方林業原稿をもう一度,書き加えていく。少し詳しく説明したりして,2800文字くらい。このぐらいが限界であろうか・・・。刷り上り3ページになんとかして欲しいということなのだが,後は図表と引用文献で何とかなるかな。次いで,北海道林木育種原稿も修正。いずれもエゾマツの資源保続に関わるもので,最後は当方の主張で結んでみる。この辺で中国故事なんかの引用ができるとカッコいいんだが,そうした素養がないのが痛い。

Cespedes et al. (2003) Restoration of genetic diversity in the dry forest tree Swietenia macrophylla (Meliaceae) after pasture abandonment in the Costa Rica. Mol Ecol 12, 3201-3212を読む。二次林の攪乱規模と遺伝構造の関係に関わる論文を探しているわけだが,果たしてこれはどうか・・・。この論文はマホガニーの遺伝構造を5つのSSRで調べたというものである。調査地はコスタリカのSanta Rosa 国立公園内で6,9,15,20年前の攪乱によって生じたスタンドと100年間は撹乱が生じていない成熟スタンドを比較するという手法をとり、各サイトあたり20個体の遺伝子型を決定している。

・結果はというと,そもそもマーカーの多型性があまり高くない(合計21アレル)ので,あまり詳細な解析ができていないような・・・。サイトによって遺伝的多様性が有意に違い,撹乱から時間が長いサイトの多様性が低いと書いてある。が,表を見る限りではどれもこれも同じようにも見える。FSTも0.063とあまり高くなく,サイト間のジーンフローは盛んと結論されている。考察では,少々断片化が進んでもジーンフローがかえって促進されるために,多様性はそんなに落ちないというやや的外れな議論が展開されている。結局最後まであまり面白くなく,なんでこんな論文が掲載されているのか不思議。もうちょっと”いい論文”に出会わないといけない感じですなあ。

赤門にて

2007-06-21 | 研究ノート
・東京出張。機内にて”一瞬の風になれ”の第3巻を読む。つい目頭が熱くなってしまうので少々困る。久しぶりにはまった小説だが、こうした小説が終わりを迎える時って、なんか独特の寂寥感がある。小説の悲しい(?)ところで、残りページが少ないことが自然と分かってしまうんだよねえ。

・ああ、終わってしまった。いい小説だった。スポーツ小説ということでは、宮本輝の”青が散る”とつい比較してしまうが、また違った躍動感、キャラクターの個性、みずみずしさがこの小説の魅力だろう。それにしても、本屋大賞の様々なコメントの中で、”思わず駆け出したくなる”という意見が多かったのもうなづける。本当にお勧めです。

・さて本業。本日は、とある講習会に参加するために上京したのだが、会場は医学部本館である。ということで、”赤門”から入る。赤門付近では修学旅行らしい高校生と先生が記念撮影をしている。弥生にはよく来るのだが、意外と本郷は遠く、実は赤門から中に入ったのは初めてである。医学部本館の3階には、歴代名誉教授(?)の肖像画や銅像がならんでいて、一種異様な雰囲気をかもし出している。さすが、医学部。農学部とはまた違った雰囲気である。



・ところで、昨日のアカエゾマツ針葉のSHAPEの解析では、不必要な欄をチェックしてしまい、どうやら結果が間違っていたらしい。かたちの変異の大きな部分は対象成分(縦横比)で、次いで非対称成分となった。その他の対称成分は極めて寄与度が小さく、無視できそうである。ということで、散布図を描かなくても、縦横比の成分だけで山頂と他の集団は明確に分かれている。それにしても、正面から撮影した画像は形解析には向かない気もしてきた・・・。むしろ、横から撮影した画像の方が意味があるかもしれない。もう少し検討しよう。

イネ科おそるべし

2007-06-20 | 研究ノート
・樹木園に直行。7月初めのブナの葉面積測定作業の打ち合わせ。流れ作業でやれば一日で終わるであろうとの、心強いお言葉を頂く。みんな手際がいいから、下準備をきちんとやっておかねばなるまい。ナラ試験地の奥のちょっとしたスペースを見に行く。奥に行くともはやイネ科雑草が繁茂している。車で通ると花粉がぶわっと舞い上がり、精神衛生上、よろしくない。

・帰りがけにスギ試験地を見るが、明らかに枯れているものが30個体はあろうか・・・。耐寒性の前に乾燥にやられるとは、やはりあの根の状態と保水剤をつけていなかったのが厳しかったようである。居室に戻ってなにやら連絡調整しているといつの間にか11時。なーんにもやっていないんですけど。朝一番で浴びた花粉のせいか、どうにも調子が上がらない。最近は鼻とか目というよりは、息苦しくなるような感じで末期的症状である。

・今更ながら岩田さんにSHAPEの使い方(面積の計算の仕方や主成分分析の結果の見せ方等々)をお聞きする。だいぶ思い出してきた。早速、アカエゾマツの画像データでやってみる。形については対称成分と非対称成分に分けた方がいいかもしれないというアドバイスを頂いた。そういえば、ヤチダモのときも分けて解析したんだった。今回の非対称成分は、アカエゾマツの葉をまっすぐに置かなかった(置けなかった)、という人為的なエラーによるものが大きいように思われる。

・葉面積の箱ひげ図を描くと、それなりに集団差(この場合は個体差)がありそうである。やっぱり低標高のヤツは長い葉をしているからねえ。しかし、高山帯よりはむしろ湿地帯の方が1枚の針葉の面積は小さい、と・・・ふうむ。各個体の採取高さや日当たりを揃えるようにしないと、こういう指標はかなりばらつくのであろう。物理的な問題(枝が高すぎて取れないとか・・・)がどれくらい生じるかが問題だな。



・針葉の形について、対称成分と非対称に分けて、主成分分析を行う。やはり非対称成分がかなり大きなウエイトを占めてしまう。が、対称成分のわずかな違いも楕円フーリエ記述子は見事に表現している。第一主成分と第二主成分で散布図を描くと、集団ごと(というか、今回は個体ごと)に結構きれいに分かれている。一方、非対称成分はといえば、当然、こうはならずにばらばらである。やっぱり”かたち”は面白い!これらのかたち成分が適応度にどう効いてくるかについては、今のところ全く不明だけど、かたちの微細な違いを見事に捉えるSHAPEってやっぱりすごい。


アカエゾマツ原稿再修正

2007-06-19 | 研究ノート
・ふたたびアカエゾマツ原稿改訂。昨日の修正原稿を読み直しつつ、新たに山岳地帯の針葉樹の文献とかも読みながら、用語の整理・統一などを行う。花粉分析関連の用語がどうにも弱い・・・。なかなか頭に入らないんだが、そろそろ慣れてこないといけないな。11時までパソコンに触らずに赤で修正を入れる。ようやくパソコンでの入力作業。

・言い過ぎたところを削ったり、元に戻したりと、なかなか大変。コレで何とかいいだろうという状態になった(文献のところとかはまだだけど・・・)のは3時過ぎ。ということで、共著者にメールで改訂のポイントを書いて送信。とりあえず、しばらくは必要なさそうな文献はファイルに戻したりしながら、ふうっと一息。

・おっそういえば、エゾマツ研究会に参加した紀行文(?)の原稿を書かないとならないのであった。すっかり(意識的に?)忘れていたんだけど、このへんで書いておかないと本当に忘れてしまうので、こちらはパソコンでいきなり入力。話題提供はなかなか面白かったのだが、肝心のエゾマツに関しては、現場での感動ってのが実はあまりなかった(社長さん自体は面白い人だったけど)ので、なんか非常にあっさりと終わってしまった。現在2000文字程度だが、これを倍に増やすってのはちょっと難しそう・・・。こういうときには写真でスペースを埋めるのかもしれないが、写真もあまり撮っていなかったりするのである。



・高橋さんに測定してもらったアカエゾマツの針葉の調査データを入力し、Rに持ち込んで眺めてみる。標高と2年生シュートの単位長さ当たりの葉の数(葉密度)の関係はなかなか興味深い。何しろ1個体しか対象としていない上に、個体あたり3本のシュートしか測定していないので(今回は測定方法の検討が目的なので・・・)、もちろんなんとも分からないが、標高が高いほど葉密度が高そうな傾向が見事に出ている(ちょっと嘘っぽいくらい・・・)。葉をたくさんつけて厳しい寒さをしのいでいるって感じがいかにもするんだけど、とにかく何かしら違いは出そうということでまずは一安心。本格的な調査と解析が楽しみである。