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西東京市・北海道富良野の森林を舞台にした遺伝,育種,生態などに関する研究ノートの一部を紹介します

ヤチダモ収穫

2007-08-31 | フィールドから
・昨日はアカエゾマツの現地調査で土壌調査。採土円筒で各サイトの土壌サンプルを採取する。これまで土壌にあまり注目することはなかったが、環境による土壌の違いの明瞭さに驚く。これは確かに地上の植生にも強い影響を及ぼしているはずであろう。とりあえず、湿地は確かに湿めっており、27林班は乾いている(砂質)、という当たり前のことがよく分かった。これが数値となって現れるとどうなるか、楽しみである。



・本日は、苗畑に植栽していたヤチダモの収穫、測定、サンプル処理を行う。もはや60-70cmの高さに成長しているヤチダモの2年生苗を惜しげもなく収穫。ユンボで掘り取り、根についた土を払い落とし、高さと根元径を測定した後、地上部と地下部に切り分けて乾燥重量を測るために袋に入れる。さらに、葉面積測定用に一枚(といっても羽状複葉だけど)の葉を採取する。

・苗畑スタッフ全員+高橋さんに手伝ってもらったので、苗畑での作業はがんがん進むが、写真撮影が追いつかない。北村さんと飯島くんにも手伝ってもらい、スキャナー、デジカメ2台を駆使して作業をする。完全に撮影機械となって、淡々と写真撮。一人200枚は撮影しただろうか・・・。微妙に葉が重なってしまうのを少しずらしたりするのに意外と時間がかかる。たまに何も手を加えないでも写真を取れるのが来ると妙に嬉しかったり・・・。しかし、冷静になると、1200個体もの面積を計算させるだけでも大変である。いつの間にか、またもや力技的な研究になりつつある・・・。



食欲の秋

2007-08-29 | フィールドから
・アカエゾマツの合同調査。今回は土壌サンプルの採取と紫外線測定、ならびに大麓山山頂付近の個体の樹冠幅測定と球果採取という内容である。今日は、大麓山の仕事を一気に片付けることに。登山道に、リスのものと思われるハイマツの食痕。これはいいエネルギー源だよねえ。人間が食べたっておいしそうだ。よく見ると、枝の上にも饗宴の後が・・・想像するとかわいい。



・6月末の調査であれほど花が咲いていた大麓山山頂の集団だが、思ったよりも球果が目立たない。開花スコアのデータと見比べてみても、それなりに咲いたはずの個体で数個しかなっていないものも・・・。よく見ると、花が傷害を受けたのか、球果になりきらなかったものが相当に多い。やっぱり厳しい環境なのだなあと改めて実感。



・少し下がった1350m付近の集団では、球果の”なり”が少し良い。資源が多いと良くなるということであろうか。”持って帰った球果を母樹ごとに並べると、色や形が実に多様である。単純に面白い。


月食

2007-08-28 | その他あれこれ
・地がき論文の仕上げをした後、飛行場と機内にて、ようやく11月〆切の北海道の林木育種50周年記念誌の原稿作成にかかる。ずっと先送りしていたんだけど、このまま放置しておくと、本当にまずい、というわけで・・・。ヤチダモとアオダモ、カンバ3種が当方の担当なのだが、これらについてはほとんど育種がなされていないので、割り振られたページをこなせるかどうかが心配である。図表をどういう風に使うかが問題だな。

・”楽園”を読み始めたせいで、宮部みゆきの”模倣犯”を読み返したくなった。文庫本が出たというので、購入しようと思って本屋に入ると、分厚い本が5冊も・・・。うっ、5巻セットだったのか!しかも1巻の値段は781円。これって、単行本の方がもしかして安いんじゃないか、と思ったらそんなことはなく、単行本は上下で1冊が2000円ほどである。本の値段って、こんなに高いもんだっけ・・・。1巻目を手に取るのにかなり勇気がいった。

・旭川に戻ってくると、既にナナカマドが色づいている。この一両日でまた進んだのだろうか。ところで、今日は月食である。午後7時過ぎに外に出てみると、よく晴れているせいか、近所の人たちも井戸端会議中である。月はどこかと探してみると、想像したよりもはるかに地平線の近くにいる。なるほどオレンジ色の月がかすんで見える。日食と違って、むしろ透けて見えているような感じであった。なんか切ない印象である。

池袋の雑踏

2007-08-27 | 研究ノート
・自主ゼミ参加のため、東京出張。本当は先週のとある編集会議にぶつけていたのだが、急な予定が入ってしまったので今回は1泊のみ。ゼミ前にオニグルミ論文の打ち合わせ。前回、自殖率に影響を及ぼすのはローカルな個体密度で説明できたと思ったのだが、使用しているデータを勘違いしており、実はその結果は幻であることが判明(そういえば、ヤチダモ論文のときにもそんなことがあった)。個体密度、開花の重複期間、母親のサイズなど結局有意な関係は見出せず。今回のようなデザインでは集団としての違いは見えても、個体ごとの違いは検出できないというのが実際のところか・・・。

・自主ゼミでは、アオキの生産と流通の過程で、本来のハプロタイプとは異なるものが植栽されることがしばしばあり、それが遺伝構造にどのような影響を及ぼすかという話。ちょうど、当方のブナの産地試験の話とよく似ており、比較しながら聞くと実に興味深い。ちょっと驚いたのは、採穂個体は生産者によって異なり、いわゆる品種化はしていないということであった。斑入りアオキですら、必ずしも品種というわけではないというのは驚いた。

・アオキを材料として用いることのメリットとして、これほどまでに自生種のハプロタイプにきれいな地理的傾向があり、しかもすでに地理的傾向を無視した植栽が長年続けられている、ということが挙げられると思うんだけど、それがうまく伝わらなかったようである。しかし、当方にとって、こういう研究分野って本当に好きだなあ、と改めて感じることになった。久留米では、田主丸の緑化業者とも付き合いがあったし、一面に広がる緑化苗木の畑を思い出す。

・異なるハプロタイプを植えてしまったときのパフォーマンスを正確に測定できると、今後の提言も含めて貴重なデータが取れるに違いない、と思うのだが・・・。ゼミでは、2倍体と4倍体の交雑や、九州地方に植栽された関東タイプのアオキの問題など、さまざまな面白いアイデアも飛び出したが・・・さてさて。


・ところで、今回の宿は池袋のサンシャイン・プリンスホテルである。どうして、こんな”らしくない”ホテルにしたかというと、旅行業者がミスをしたせいである。ホテルまでの通路は迷路のようで、人ごみの中をさまよってしまう。なんでこんなに人が多いんだ、と思ったら、本州ではまだ夏休みの最中なのであった。久しぶりの池袋はごみごみしてやっぱり好きになれなかったが、35階からの夜景は見事であった。

バスケ発、焼肉行

2007-08-26 | 研究ノート
・前日に引き続き、夏季大会で上富良野へ。第一回戦は同じ時間帯に、もう一つのHKチームと。よほど気合を入れられたのか、今日の相手チームの動きは昨日とは別人のようであった。しかし、ディフェンスがしっかりと機能して、51-6で勝利。



・二回戦は最終試合なので時間がある。蒸し暑い体育館で、まったりと過ごす。改めて試合結果のボードを見ていると、番狂わせというのがほとんどなく、順当である。バスケットはやっぱり実力で勝っているチームが勝つもんだ。

・さて旭川地区で一位のAチームとの対戦。最初、例によって、強いプレッシャーに慌てふためいた我らがFチーム。しかし、途中で盛り返し、それほど引き離されずに第1Qを終了。第2Qからじりじりと引き離される。やっぱりプレッシャーを受けたときのジャンプシュートの精度が全然違う。うちもいいシュートが何本もあったんだけど、慌てているねえ。

・最後の第4Qで選手を入れ替えてきたが、そうなるとウチの方が実力で勝っているようだ。少し点差を詰めたところで、やはりまずいと思ったのか、ベストメンバーに変えて最後は勝負していた。最終的には、30対77で敗退。決勝リーグには行けなかったが、格段に成長した子供たちをみることができた。



・試合後、そのままバスでオリカへ。昨年から定例化しつつある、夏季大会後の焼肉パーティである。試合の敗戦のショックはどこへやら、子供たちは大盛り上がりである。切り替えの早さが、ウチのよさでもあるんだけど。なぜか最後に人間ピラミッドを作って記念撮影。体操部か・・・。

富良野の祭り

2007-08-25 | その他あれこれ
・バスケットの夏季大会ということで、上富良野へ。10時半すぎのオフィシャルに間に合うようにバスで会場に向かう。上富良野までだと、出発時間も遅い上に、バスに乗っている時間も短く、楽勝である。簡単にお昼を取った後、Hチームと対戦。いつもは出だしがもたつくわがFチームだが、今日はいきなりゴールでいい調子。その後も順調に得点を伸ばし、第4Qはベストメンバーを温存する余裕も・・・。最終的には15-58で快勝。ま、本番は明日ですな。

・今日は富良野神社のお祭りということで、市内には縁日が出ている。いまどき、スマートボールとか射的とか金魚すくいとか、昔ながらの出店が並んでいる。月曜日から東京出張なので、航空券をJR富良野駅まで取りに行く。しかし今日は暑い。30度を超えたかも・・・。自転車で行ったんだけど、あまりの暑さにへたる。今日、祭りで練り歩いた人たちは大変であったであろう。それしても、今日の”おでん”は厳しいねえ・・・。

新玉ねぎ

2007-08-24 | 研究ノート
・地がき論文の考察後半をさらに修正。ウダイカンバの資源管理も考察に加える。今回の修正では、だいぶ手ごたえを感じてきた。一通り、完成したようなので、飯島くんに送り、図表の改訂について少々お願いをする。そろそろ、別の角度からコメントを頂く段階にさしかかりつつある。

・晴天。完全に秋空だ。部屋の中の温度も快適で、すいすいと仕事が進む。今日は休みを取っている人が多いらしく、所内の人口密度が極端に少ない。久しぶりにトドマツ論文について練さんと電話で話す。忙しかったせいもあって、すっかり頭から抜け落ちている。実はこちらでやっておくべきことがあったことが分かり、実に久しぶりに久保さんに連絡したら、一瞬で対応していただいた(有難うございます)。

・Rで混合モデルを走らせた後、stepAICを行うとこけることがある。全く同じモデルでちょっとデータセットが異なるときに”こけるとき”と”こけないとき”があり、その違いが分からずにいる。データ数の問題であろうか・・・。しょうがないので、マニュアルで解析して、AIC比較を行ってみる。ま、これでうまくいけば特に問題はないか。自殖率に母樹周囲の個体密度が及ぼす影響を、母樹をランダム効果にした一般化線形混合モデルで解析しているのだが、低密度だと150m以上の範囲を設定してやらないと影響を抽出できないようだ。

・抱えていた2つの原稿を手直しして、それぞれに送る。と・・・、あれほど大量に溜まっていた原稿が一瞬、手元からなくなった。感動・・・と思ったら、一番重い、トドマツ論文が残っていた。トドマツ論文はPDF版でも53ページもあるので、文字通り”重い”。



・基線を通って帰る。とうもろこしや玉ねぎの収穫をしている。富良野は玉ねぎの一大産地である。いよいよ新玉ねぎの季節。下の写真は今か今かと収穫を待つ玉ねぎたち。美味しいんだよねえ、これが。


読書の秋

2007-08-23 | その他あれこれ
・コスモスが咲いている(ひまわりも咲いてるけど・・・)。本州の残暑をよそに、北海道では既に秋の風である。午前中、地がき論文改訂作業。細かい表現を修正しつつ、Discussionの第一パラグラフまで終了。だいぶ良くなったような気がする。Meadowにもだいぶ慣れて、LaTexもいい調子である。

・最近、宮部みゆきの「楽園」の上巻を読み始めた。「模倣犯」から9年が経過したという設定で、一人のライターを主人公に物語が進行していく。宮部みゆきの著書で最初に読んだのは、「火車」が最初だったか・・・。あっという間に惹き込まれて、”参りました”という印象を持ったのを覚えている。今回も読ませますねえ・・・。

前山湿地林のナゾ

2007-08-22 | 研究ノート
・午前中ひたすら書き物。さらに、舞い込んできた査読も一気に片付ける。アカエゾの測定は、高橋さんがひたすら頑張ってくれて、ようやく生サンプルの処理が終わる。ということで、本日までに得られたデータを入力してみる。まずは、葉密度の結果を眺めてみる。

・サイトごとに1年生シュートの単位当たりの葉の数(葉密度)をプロットしてみると、標高が高いほど葉密度が高い傾向がある。しかし、前山の湿地林だけが標高630m程度にもかかわらず、山頂付近並みに高い値を示している。前山湿地林はC/N比、クロロフィル量でもおかしな挙動をしている。よほどストレスが強いのか、ナゾである。

・今日は飯島くんが各サイトの紫外線量を測定しに行ってくれていたのだが、途中、土砂降りになる。ちょうど大麓山登山中で悲惨なことになっているのかと思ったら、車の中でしばらく雨宿りをしたらうまく避けられたらしい。紫外線測定では、天候による振れが大きいらしく、信頼性の高いデータを取るのが大変そうである。何はともあれ、測定ご苦労さまでした。

・3時過ぎに戻ってきた飯島くんといくつか打ち合わせ。地がき論文については、ほぼ方針が固まったようだ。5時過ぎに小学校に行って、今度のバスケット大会の資料をホッチキスで綴じまくった。先生方にも手伝ってもらい、1時間程度で終了。

100年カラマツ

2007-08-21 | フィールドから
・樹木園裏のカラマツ林は植栽されて今年でちょうど100年を迎える。これほど高齢級のカラマツがまとまって植栽されているのは、北海道広しと言えども極めてまれである。ということで、みんなで一気に測定をすることに。140個体以上が残っているので、DBH測定、樹高測定、樹木位置図測量などいくつかの組に分かれる。数えてみると総勢10名以上のパワープレイである。



・当方の役割は、”アドバイザー”ということになった。アドバイザーというといかにもカッコいいが、結局、うろうろしているだけであんまり役に立っていない。唯一、作業風景やカラマツの写真をたくさん取ったのが唯一の”仕事”といえるだろうか。しかし、いつも概観しか見ていない100年生のカラマツを、改めて間近で見て回ることができたのは実によかった。100年生としては決して大きいとはいえないが、胸高直径は60cmを超えており、前回の93年生時に比べても2cmくらい成長している。樹高は35mを超えているものがあった。

・よくよく見ると、かならずしも林縁が大きいわけでもなく、むしろ手前側(林床がササではないところ)で樹高が急に低くなるようだ。個体ごとに見た場合、「横に太るか、縦に伸びるか」がこうした高齢級の人工林でどのように決まるのだろうか・・・。x軸にDBH、Y軸に樹高をとり、シンボルを林床タイプや林縁か林縁以外で区別してみるといいかも。

・ところで今回の樹木位置図も作成では、Timbertech社から2名ほど来ていただき、デジタルコンパスのデモンストレーションをしていただいた。当方のレーザーAce300を愛用していたのだが、この機種は斜面だと誤差が大きいらしく、こうした欠点をカバーする機種が次々と出てきている。個人的には、測定と同時にXYZの座標が出るソフトにかなり魅力を感じた。技術スタッフもこのシステムにはかなり手ごたえを感じていたようである。



・最後にカラマツ林を二つに分ける小さな沢を測量する。図面には載らないほどの沢であるが、こうした小沢はこの地域の山には無数にあるとは技術スタッフKくんの言。今回、小沢の右と左で何か違うものが検出されるだろうか・・・。ちょっと楽しみである。