【ヒトリシズカ・一人静】センリョウ科
ヒトリシズカを初めて見たのは、どこでだったのか、いつだったのか、憶えていないんですよ。
毎年のように東北旅行をしてた頃だとは思うんだけどね。
昨年紹介したフタリシズカとの出会いは、鮮明に憶えているんだけどな。
goro's 花 Diary を始めてからは、初めての出会いに間違いありません。
20cmほどの丈高で、1本の茎を立ち上がらせ、かなり照りのある濃緑色の葉っぱが、輪生状に4枚付けます。
4枚の葉が、花を守っているようにも見えます。
この花を見て、思い出すことはありませんか?
理科室、試験管、ブラシ。
試験管を洗ったブラシに似ていますよね。
ブラシを突っ込み過ぎて、試験管の底を割ったことがあったっけ。
ヒトリシズカには、萼も花びらもありません。
ブラシのように見える、3本の白い糸状のものがオシベで、根元の黄色く見えているのがメシベです。
このような花を、裸花といいます。
それにしてもヒトリシズカって、いい名前ですよね。
雅な「に・ほ・い」がしますよ。
しずやしず しずのおだまき繰り返し むかしを今に なすよしもがな
清楚で、それでいて凛とした風情も感じられる花姿を、愛する義経を偲びながら、頼朝の前で舞った静御前の姿に見立てての命名です。
別名の「ヨシノシズカ・吉野静」も同じようなものです。
義経と静の最後の逢瀬が、吉野だったことに因みます。
ブラシのような花穂を化粧道具の眉掃きに見立てて、「マユハキソウ・眉掃き草」という名前もあります。
悪い名前だとは思いませんが、一人静の前だと、ひれ伏して退場するしかありません。
ひとりとは言ってますが、じつはひとりでいることは少ないそうです。
ヒトリシズカは、ほとんど群生しています。
地下茎を伸ばして繁殖するという、植物学的な理由があるのですが、面白い記述を発見。
奥州衣川で滅ぼされた義経主従が、天国で静と再会し亡霊となってこの世に現れた姿。
静と義経主従の亡霊がヒトリシズカの花になったともいわれている。
大勢の亡霊だから群生するのが当たり前なのである。
フフフですね。亡霊だから、大勢ってことなんだね。
とことん意味付けないと、気が済まないんでしょうか。