goro's 花 Diary

東京の街を彩る花たちを追っかけています。

可憐なエクボ

2008年04月17日 | 08 花たち



【シジミバナ・蜆花】バラ科

もっとあってもいいと思うんだけど、なかなか出会えないのがシジミバナです。

マイ花マップには数ヶ所の登録がありますが、満足度の高いシジミバナの木に、ようやっと巡りあいました。

ユキヤナギが盛りの時期に入り、白い固まり花の姿をみせてくれる頃、シジミバナの開花が始まります。
おじさんの花フィールドではと、断りを入れておきましょう。

八重咲きのユキヤナギだと思ったことや、名前の不憫さについては、各サイトでいわれています。
おじさんんも同じ意見でした。

緑がかった小さな白い花は、なんとも可憐です。

バラ科の花だということは、蕾や咲き始めの姿を見れば頷けます。
花柄はユキヤナギよりも長く、ぶら下がったように咲いているのが目立ちます。
ユキヤナギよりも花数が少ないせいもあるのかな。

中国原産の落葉低木で、耐寒性にも優れています。
日本には江戸時代、長享(1487-88)の頃にやってきて、観賞用の庭園花木や盆栽、切り花としても用いられていたようですよ。

日本にやってきたときは「ギョクリュウ・玉柳」と呼ばれていましたが、その後「ギョクセン・玉屑」「ハゼバナ・爆花」などとも呼ばれたこともあるそうで、今では「シジミバナ・蜆花」に落ち着いてしまってます。

蜆貝(の中身)に似ていますかね?
白くてふっくらとしたところですか?
当初の玉柳に比べると、イメージが悪くなっているような気がするんだけどな。
シジミバナだと主張したかたの声が、余程大きかったのかな、ブツブツ・・・

「コゴメバナ・小米花」との別名もありますが、今だとコゴメバナはユキヤナギの別名ということになっているようですよ。

花頭がくぼむように咲く姿から、原産地の中国では「エクボバナ・靨花」と呼ばれています。
中国名そのままでよかったんじゃないかと、そう思いませんか?
なにも蜆の内臓に見立てなくてもね。
エクボバナのほうが、数倍しっくりします。

雄シベも雌シベも退化してしまい、種子は出来ません。


 


不思議空間の花 餅の葉

2008年04月17日 | 08 花たち



【サルトリイバラ・猿捕り茨】ユリ科

初めての紹介になりますが、初登場という訳ではありません。

文字では既に登場してもらっています。
おじさんが出会ってみたいと思っている植物の筆頭として、過去の記事に登場しています。
サルトリイバラの赤い実には、あこがれを持ち続けております。

さりげなく、こんな写真をアップしたこともあります。


06/9/21より再掲載

赤い実に出会ったときに記事にするぞと思っていたのですが、不思議空間で花との出会いがありましたので、今回紹介いたします。


おじさんにとっては、幼き日から馴染み深い植物なのです。
胸弾むような、嬉しい記憶とともにある植物です。

サルトリイバラのことを、村では「モチノキ・餅の木」と呼んでいました。
モチノキの葉は、餅を作るときの必需品です。

普段なら親のいいつけには嫌々ながら従っていましたが、餅の葉を採って来るという手伝いには、いそいそと出かけます。
出来るだけ大きく(大きいものだと、15㎝ほどあったと記憶しています)、虫食いの無いきれいな葉っぱを選び、頼まれた以上の枚数を、両手一杯にして持ち帰ったものです。

「餅」とは言ってますが、杵搗きのあの餅のことではなくて、せいろで蒸し上げる饅頭のことです。
主に初夏から秋口にかけて作ること多かったのかな。
モチノキの葉以外のものを使って「餅」を作ったことはなかったので、冬場に作ることはまずありません。
サルトリイバラは落葉樹ですから、餅の葉は冬場には姿を消してしまいます。

餡子入りの饅頭を丸めて、下側に餅の葉をくっつけます。
肉マンを思い起こしてください。薄紙にくっついていますでしょう?
その紙の部分が、餅の葉、サルトリイバラの葉だったのです。

今回サルトリイバラについて調べていたら、関西以西では、サルトリイバラの葉っぱを柏の葉と同じように使い、餅を包んでいたという記述を見つけました。
厚くてしなやかで破れにくい葉は、表面が無毛で光沢があるので、包んだ餅がくっつきにくく、剥がしやすかったせいで、使われたようです。

柏の葉の代用として柏餅を作ったのではありませんでしたが、サルトリイバラの葉を「餅」に使ったことは、共通しています。

緑色の葉っぱは蒸気を当てられ茶褐色に変わり、かすかにではありましたが「餅の葉」の香りもしたあの饅頭は、郷愁の彼方にしか存在しておりません。

今でも「餅」を作ることは、あるんだろうか・・・


雌雄異株ですが、紹介しているのはすべて雄花です。

名前の由来は、「猿捕り茨」という文字を見れば想像つきますよね。

硬い刺のある茎は、巻き毛を枝から枝へと絡みつかせながら蔓を伸ばし、藪を形成します。
猿が追い込まれると、敏捷性を誇るさしもの輩も、身動き出来なくなるほどの茨になるということから、サルトリイバラ・猿捕り茨と名付けられました。
さしずめ、有刺鉄線としての働きでしょうかね。

確かに取り扱い注意の、強烈な刺を持った蔓性植物です。

サンキライ・山帰来という別名があります。
中国原産の薬草のサンキライに由来しますが、本物のサンキライは日本には生育していない熱帯植物だそうで、漢方の世界では「和の山帰来」と呼ばれているそうです。

赤い実は、蔓も含めてリース素材として利用されます。
この分野では、サンキライの名前が使われています。

あこがれ続けているの赤い実です。
再会のときはやってくるのでしょうか。

不思議空間にサルトリイバラがあることは、しっかりと把握しました。