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goro's 花 Diary

東京の街を彩る花たちを追っかけています。

錦の実 ‐赤い実同盟レポート‐

2007年12月05日 | 「赤い実同盟」

唐突ですが、世界三大紅葉樹ってご存知ですか?
えぇ~、そんなものがあるのかよって、そう思われるかたのほうが多いでしょうね。
三大○○という概念はあらゆるジャンルにありますので(特に日本人は好きですよね)、紅葉にもあっていいのかなとも思いますが。
取り敢えず紹介いたしますね。

①ニシキギ②スズランノキ③モミジだと言われています。

ただね、①と②はどこのサイトでも記されていますが、③については別の樹木が揚げられていることがあります。
アメリカハナノキ、ニッサ・シルバティカ(アメリカヌマミズキ)などと書かれているサイトもありました。

でも日本人にとって紅葉とは「モミジ(カエデ)」でしょう。
それぞれ生まれ育った地域を代表する紅葉はあることでしょうが、モミジは全国区の紅葉じゃないでしょうか。
「コウヨウ」も「モミジ」も、漢字だと「紅葉」ですものね。
そのくらい、目にも文字にも、「モミジ」こそが「紅葉」を代表する樹木であることは、衆目の一致するところでしょうね。

疑問がうまれてきませんか?
世界三大紅葉樹って、誰が決めたんだよって。

おじさんはね、スズランノキが怪しいと睨んでいます。
未だ出会ったことのないスズランノキのことをとやかくいうのも何ですが、あまりポピュラーでもないこの木が選ばれていることに、園芸関係者の思惑が見え隠れすると思ってしまうのは、うがち過ぎでしょうかね。

与太話はともかくとして、本日はニシキギの紹介です。

こちらが世界三大紅葉樹に選ばれていることには、何の異論もございません。


【ニシキギ・錦木】ニシキギ科

名前の由来にもなっている、ニシキギの紅葉です。
美しく真紅に紅葉することから、豪華な錦の織物に見立てての命名です。
この木の名前がニシキギだとわかったとき、えらく納得したおじさんです。
錦の木、よくぞこの名前を授かれたことよと、命名者に感服した憶えがあります。

ニシキギを称するときに、紅葉の美しさと並び必ず言われるのが、翼(よく)のことです。
写真でもおわかりですかね、枝に、コルク質の翼があるのが。
よく似たマユミやコマユミとの見分けは、この翼のあるなしで簡単につきます。

「ヤハズニシキギ・矢筈錦木」や「カミソリノキ・剃刀の木」は、この翼を矢筈(矢羽根)や剃刀に見立てたことの別名です。

そうそう、ニシキギは、「科名の花」でもあるんですよ。
goro's 花 Diary では、ニシキギ科の「ツルウメモドキ」や「マユミ」の赤い実を、今年は紹介してきました。

ニシキギは、どうしても紅葉の美しさに目がいきがちですが、れっきとした「赤い実同盟」の会員さんでもあります。

ニシキギの紅葉はすっかりお馴染みですが、赤い実にはなかなかお目にかかれません。

おじさんの花フィールドでも、公園をはじめ、道路脇の植栽のなかにと数多のニシキギを見ることが出来ますが、実を付ける個体は、ほんの僅かしかありません。

あまりにも実を見かけることが少ないので、もしかしたら雌雄異株なのかなと思って調べてみましたが、一部そんな記述も見かけはしたのですが、明確な結論には辿り着けませんでした。

ニシキギの実は、ふたつ並んでいることが多いです。
花柄の先で朱赤の実が揺れてます。

写真の枝には翼が見られませんが、上の紅葉と赤い実が写っているのと同じ株なんですよ。
翼が無いのは、お年寄りってことなのかな?

11/3

こちらは別の場所で出会った赤い実です。

紅葉する前でしたが、赤い実が西陽を受けて、光り輝いておりましたよ。
こちらには、コルク質の翼も、びっしり付いておりました。



悪臭?芳香? ‐赤い実同盟レポート‐

2007年12月01日 | 「赤い実同盟」



【トベラ・扉・海桐花】トベラ科

今年は海辺に咲く野菊の仲間たち、ダルマギクハマギクイソギクを紹介してきましたが、「赤い実同盟」の新会員さんのトベラも、海岸線で頑張っています。

海浜植物(海浜に生育する植物。耐塩性・耐乾性が強い。葉は多肉質の場合が多く、根や地下茎を砂中に深くのばす)などの草本に続き、海岸性森林の最前線に位置し、低くて密な群集を形成する。

そういわれればって、思い出す光景はありませんか?
海岸の崖地に、50センチほどの低木がびっしり生えているのを、見かけたことありませんかね。
伊豆の海岸線などでは、よく見かけられます。
元来は、高さが3~5メートルの常緑広葉低木です。

潮風や塩害をまともに受ける海岸のフロントラインで成育出来るということは、都会の劣悪な環境にも耐えられるということで、道路の分離帯や側帯の植栽として使われています。
強選定されても、平気そうですものね。
観賞用としては、常緑でつやのあるたくさんの葉をつけることから、公園にも植えられています。

1~1、5センチほどの果実は3裂し、赤い実が登場します。
マユミ同様、赤い肉質は仮種皮で、このなかに種子がはいっています。

赤い実のまわりのネバネバ、画像からもわかりますよね。
アメ状で強い粘着力があり、小さな昆虫だと、くっついたら逃げられなくなるそうですよ。
食虫植物ではありませんので、虫を捕まえるのが目的ではなく、鳥の嘴などにくっついて、遠くへ運んでもらうためです。
もちろん赤い実自体も、鳥の大好物です。
中からと外からのダブル体制で、種子を拡散させる戦略なんでしょうかね。


枝葉を切ると悪臭がすることから、節分の日に、イワシの頭などと一緒に扉にはさみ、魔除けとして使われたことから「トビラノキ・扉の木」、省略されて「トビラ」になり、そこから「トベラ」へ転訛したのが、名前の由来とされています。
今でも地方によっては、「トビラノキ」「トビラ」と呼んでいるところもあるようです。

「トベラ・海桐花」は漢名からきています。

燃やすとひどい悪臭が立つため、火と竈の神である荒神様にえらく嫌われるとして、コウジンギライ・荒神嫌いとの別名もあります。

かなりリアルなエピソードですな。
どれほど臭いのか、嗅いでみたくありませんか?


5月に咲いてた花も紹介いたします。
こちらは、いい香りでしたよ。


【雄花】


【雌花】

雌雄異株です。

この画像からだと、雌花は黄色いのかと思われそうですが、そんなことはありません。
開花当初は白なのですが、咲き進むと黄色くなります。
これは雄花にもいえることです。



真弓さま ‐赤い実同盟レポート‐

2007年11月28日 | 「赤い実同盟」



【マユミ・檀・真弓・檀弓】ニシキギ科

果実が赤く姿を変えた途端、存在を主張する樹木たちがありますよね。
こんなところに、こんな木が植えられていたのかって。
大木ならそれだけで存在感がありますが、潅木系だとことにそんな傾向があります。

マユミも、そんなお仲間です。
5月頃咲く花も地味だし、姿にも目を引くような個性があるわけでもなし、赤い実になってようやっと目が行くようになります。

マユミの木、ご近所にありますか?
おじさんの周りでマユミの木を植えているお宅、見かけません。
今では様々な園芸樹たちに押され気味のようですが、マユミの木は古くから日本人に愛されてきたんですよ。
庭木や盆栽など、人間の生活の場で共に生きてきた植物です。

街なかで見かけることは滅多に無くても、公園だとそこそこの頻度で見かけることが出来ます。

潅木系とはいいましたが、落葉低木、または小高木に分類され、3~5メートル、大きいものは10メートル近くにまでなるものもあるようです。

材質は強く、よく撓るので、弓の材料として使われたのが名前の由来です。
マユミ・真弓とは、真(しん)の弓、まさにこれぞ弓ってことですから。

現在でも材の強さを利用し、印鑑、櫛、こけしや将棋の駒などの材料になっているそうです。

このピンクの外皮に包まれた赤い実こそが、マユミが愛され続けてきた理由のすべてでしょうね。

砂糖菓子のようなピンクの外皮が裂けて、朱色の実が顔を出します。
果実は、昼間開き、夜は閉じるを繰り返し、赤い実がぶら下がってくるともう開閉はしなくなるんでしょうね。
その後は、鳥さんたちのお世話になって、遠くに運ばれていくんでしょうか?

赤い実って言ってきましたが、この赤い部分は仮種皮で、ほんとの果実は黒いんだそうです。

名前といい、ぶら下がった赤い実の姿かたちといい、なんとも可愛いマユミちゃんですが、実は有毒植物です。

マユミの実を食べると、吐き気、下痢、虚脱症状などを起すそうです。
有毒な成分は、赤い仮種皮の部分に含まれています。
新芽は、隠れた山菜といわれるくらい、美味しいらしいんだけどね。

毒を持つ小悪魔たち、どこの世界にも存在します。
気を付けましょうね。

無責任に、鳥さんがどうしてって書いちゃいましたが、有毒な赤い実を食べる鳥は、いるんでしょうかね?




ピンクの濃淡のマユミは見たことはあったのですが、今年はこんなおかたとの出会いも果たしましたよ。

真っ白なマユミちゃんです。
ピンクのマユミちゃんは文句なく可愛いですが、こちらのマユミちゃんには、可愛さとともに、純潔さを重ねてしまいます。

とはいいながら、出て来た仮種皮は赤でした。
やっぱりあなたも、毒をお持ちなのですね。

当たり前か・・・



毒のある新人 ‐赤い実同盟レポート‐

2007年11月24日 | 「赤い実同盟」



【ミヤマシキミ・深山樒】ミカン科

こちらのおかたも、先に紹介したツルウメモドキに続き、「赤い実同盟」の新会員さんです。
それも「赤い実同盟」史上、最も強力な毒を持つ、脅威の新会員さんです。

ミヤマシキミは「全体に有毒アルカロイドのシキミアニンを含み、誤食すると痙攣(けいれん)を起こし止まりません」なんて、物騒な記述がありましたよ。

雌雄別株の常緑の低木で、1~1、5メートルほどの高さにしかなりません。

葉に毒があるため、草食獣も食べないので、鹿などに樹木を食い尽くされている場所では、かえって繁栄し、勢力を拡大することがあるんだそうです。
鹿の食害で禿山になってしまったというニュースはよく耳にしますが、ミヤマシキブにとっては、新しい成育場所が出現したことになるんでしょうね。

シキミと名乗ってはおりますが、仏前に供える本家のシキミとは、縁も所縁も御座いません。
シキミはシキミ科、ミヤマシキミはミカン科です。

共通点は、どちらも有毒植物だということです。
シキミの名前は、「悪しき実」からきているほどですからね。

有毒だと思ってみると、この赤い色が、いっそう毒々しく見えてきます。

山の奥に生え、葉がシキミに似ていることから、ミヤマシキミ・深山樒と名付けられました。

オクリョウという別名もあります。
「赤い実同盟」の会員さんでもある千両、万両たち、その上の億両という具合です。

鳥さんにも食べてもらえない赤い実は、春先まで見ることが出来ます。



秋色花材 ‐赤い実同盟レポート‐

2007年11月22日 | 「赤い実同盟」



【ツルウメモドキ・蔓梅擬】ニシキギ科

この赤い実にも、前回紹介した「枸杞の実」同様、多摩川で出会いました。
こちらは「赤い実同盟」の新会員です。
自生しているのに出会ったのは、初めてです。

ツルウメモドキは花材、とくに秋を活けこむ素材として使われるので、デパートのディスプレイなど、大き目のアレンジメントなどで見かけることがあります。
ウメモドキの赤い実と、ツルウメモドキの黄色い実を、一緒に使っているのも見かけますよね。

太い蔓だなというのが、最初に思ったことです。
蔓というより幹でした。

ツルウメモドキは地中から勢い良く茎を伸ばす。数mもまっすぐな茎を伸ばすので、この段階ではツル植物とは思えないかもしれない。伸び上がった茎が上層の枝などに達すると茎は細く柔軟になって、枝に巻きつき始める。この段階でツル植物になるのである。

こんな記述を見て、えらく納得した次第です。


木に絡んでいるんだけど、どれがツルウメモドキの蔓か、
見分けがつかないでしょう?

先日紹介した、ウメモドキに似た美しい実を付ける蔓性植物というのが、名前の由来です。

おじさんが出会ったものは、外皮が緑色っぽかったんだけど、もっと黄色のが普通なんですよ。
3つに裂けた黄色い外皮と、オレンジがかった朱色の実のコントラストは、鮮やかですよ。

雌雄異株で5~6月頃に花が咲くのだそうです。
花を見るチャンス、訪れるかな?