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語り

2014-02-09 | 現代日本語百科2025

日本国語大辞典
かた・る 【語】
〔他ラ五(四)〕
(1)物事を順序だてて話して聞かせる。物事をことばで述べて相手に伝える。話す。
*万葉〔8C後〕二〇・四四五八「にほどりの息長(おきなが)川は絶えぬとも君に可多良(カタラ)むこと尽きめやも〈武生国人〉」
*古今〔905~914〕秋上・二二六「名にめでて折れるばかりぞをみなへし我おちにきと人にかたるな〈遍昭〉」
*源氏〔1001~14頃〕夕顔「いひまぎらはして、また人なきさまをしひてつくり侍りなどかたりて笑ふ」
*更級日記〔1059頃〕「『それよりのち、火たき屋に女はゐる也』とかたる」
*書陵部本名義抄〔1081頃〕「談 カタル〔遊〕」
*徒然草〔1331頃〕二五「桃李もの言はねば、誰とともにか昔を語らん」
*天草本伊曾保〔1593〕蠅と蟻の事「アル ハイ アリニcatatte (カタッテ) ユウワ」
(2)文章に節(ふし)をつけて読む。朗読する様に述べる。
*源氏〔1001~14頃〕帚木「式部卿の宮の姫君に朝顔たてまつり給ひし歌などを少しほほゆがめてかたるも聞ゆ」
*大鏡〔12C前〕六・道長下「みやこにはまつらむものをあふさかのせきまできぬとつげややらまし、などたどたどしげにかたるさま、まことにをとこにたとしへなし」
(3)芸能としての語物を演ずる。
*徒然草〔1331頃〕二二六「この行長入道、平家物語を作りて、生仏といひける盲目に教へて、かたらせけり」
*ロドリゲス日本大文典〔1604~08〕「レンガ、ヘイケ、マイ イックヲ cataru (カタル)」
*説経節・説経苅萱〔1631〕下「おやこぢぞうの御ものがたり、かたっておさめ申、くにもふっきところはんじゃう、一ねんごしゃうは大じなり」
*俳諧・奥の細道〔1693~94頃〕末の松山「其夜目盲法師の琵琶をならして奥浄るりと云ものをかたる」
*咄本・聞上手〔1773〕義太夫ぶし「あるむすこ、義太夫がすきでうなる。〈略〉夜着引かぶってうなり出すと、おやぢきき付〈略〉『ヤイヤイたわけめが、又かたりをる。だまらぬか』」
(4)いつも語り合っているように親しくする。親しくまじわる。かたらう。
*御堂関白記‐長和二年〔1013〕正月一六日「春大夫年来間語人也」
*法華経音訓〔1386〕「和 カタル」
*浮世草子・武家義理物語〔1688〕二・一「何ともせん方つきて、気をなやみしに、其里の人、年ごろ別してかたり、殊更内縁のよしみ成けるが」
*浄瑠璃・曾根崎心中〔1703〕「気が違ふたか徳兵衛、われと数年かたれ共一銭借った覚えもなし」
(5)ある状態や性質などが、ある意味をおのずから表わし示す。
*行人〔1912~13〕〈夏目漱石〉友達・一九「的(てっ)きり冗談だらうと思った。けれども彼の眼は其反対を語(カタ)ってゐた」
*蓼喰ふ虫〔1928~29〕〈谷崎潤一郎〉一〇「若さに張り切って、二十二三─と云ふ歳頃をはっきり語ってゐるのである」
*故旧忘れ得べき〔1935~36〕〈高見順〉五「うすぎたない女給などを〈略〉どうあっても好きにはなれないところに、彼の育ちの語るヘンな優越感があった」

(6)(自動詞的に用いて) 仲間になる。
*病院の窓〔1908〕〈石川啄木〉「野村さんにも加担(カタ)って貰ふべいか」
【語誌】
発言行為一般をさす「いふ」、文字によって固定された物を声に出す「よむ」に対して「かたる」は一まとまりの叙事の伝達が中心となる。問うて答えるという相互的な場でなされる行為であるが、その原初の形態については「答える」「説明する」説と「問う」説が対立する。「万葉集」で「カタリツグ」の用例が多いように、時代を超えて伝達する行為であった。


日本国語大辞典
かたり 【語】
〔名〕
(動詞「かたる(語)」の連用形の名詞化)
(1)語ること。はなし。また、話のたね。語りつたえ。
*万葉〔8C後〕六・一〇六二「見る人の 語(かたり)にすれば 聞く人の 見まくほりする〈福麻呂歌集〉」
*万葉〔8C後〕九・一八〇一「葦の屋の 菟原処女(うなひをとめ)の 奥津城を 吾が立ち見れば 永き世の 語(かたり)にしつつ 後人(のちひと)の 偲ひにせむと〈福麻呂歌集〉」
(2)能で、出来事や由緒(ゆいしょ)などを節のない、抑揚の少ない詞(ことば)で物語ること。また、その部分。主としてワキが演じる。
*謡曲・隅田川〔1432頃〕「これについてあはれなる物語りの候。この舟の向かひに着き候はん程に語って聞かせ申さうずるにて候(語り‐不合詞)ワキ さても去年三月十五日、しかも今日に相当りて候ふぞや」
(3)狂言の台詞(せりふ)の中で、緩急抑揚をつけて語られる物語。また、その動作。
*虎明本狂言・夷大黒〔室町末~近世初〕「カタリ そもそもひえいざんゑんりゃくじは、伝教大師くゎんむ天王と御心をひとつにして、ゑんりゃく年中にかいひゃくし給ふ」
*大蔵虎明聞書〔1658~61頃〕「何方にても、太夫一人罷有候時、一曲舞候へとの所望候時、昔よりまふ事定り候〈略〉狂言はよろいのかたりを云べし。是は四季を云故に如此。脇も語也」
(4)平曲などの節まわし。かたりくち。
(5)歌舞伎脚本の内容の概略を、七五調で述べた文章。番付などの外題の上に書き入れる。
(6)女性をだます方法の一種。あらゆる機会をとらえて話しかけ、交際の糸口とすることをいう、不良青少年仲間の隠語。〔特殊語百科辞典{1931}〕
【語誌】
(1)単独で用いられることは能・狂言の用法以外は少なく、「神語(かむがたり)」「歌語(うたがたり)」「物語(ものがたり)」など語られる内容の語を冠した例が多い。

(2)儀礼化された「語り」は、もとは地方共同体での神話や伝承などを伝える行為であったが、中央集権化が進むにつれ大嘗祭に組み込まれ、「語部美濃八人」など語部の出身国や人数も固定されるに至って、地方の神話伝承は中央に吸収、支配された。→かたりべ(語部)。

(3)歌の来歴を伝えた「歌語」は、文字で記されることによって固定化され、「語り」本来の行為を失った文学となり、「物語」に成長する。一方、文字と結びつかなかった「語り」の本来的な行為は、琵琶や三味線を伴った「平家語り」「義太夫語り」へと、二分化して、それぞれに発展した。


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