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勘違いしない 枯れ木のにぎわい

2016-02-14 | 勘違いしやすい日本語
勘違いを起こす国語調査から、勘違いしやすいというので、勘違いをしないために思うところを書く。
国語に関する世論調査平成16年度、枯れ木も山のにぎわいの意味は?

勘違いしやすい日本語コラム
2016-01-28 06:32:22 | 勘違いしやすい日本語


ないよりはましと言うほどのことだったろうに、枯れ木が、つまらないものとなってしまったのはなぜだろう、どうしてだろう、いつからだろうか。
広辞苑の解釈が広めている、言葉の捉え方であったが、謙遜であったのを、それはようほうとして、ちがってきたようである。

枯れ木を老人に喩えて若者に交じることに、謙遜で使われる、それを敬語の用法が反転して、にぎわうことが強調される。
枯れ木に風景があり、枯れ木の用途は重要だし、枯れ木の味わいは捨てがたく、枯れ木の生命とでも言い出したくなる。

10年を経ての調査に、使い方が変わって来たような捉え方であるが、それはそうではなくて、人が集まる様子の意味内容をしっかりと表現としているとのことだから、むしろ、勘違いを起こした説明にしてしまうのは、勘違いを起こしやすい。

なぜなら、本来の意味で使う人々は、10年前も今も変わらないのである。
枯れ木も山の賑わいと申しますから、と、老人が言うのを耳に残したに過ぎない。

もっとも、最近には、高齢者は枯れ木にはとても見えなくなってきているようで、この表現効果は微妙な意味合いになりつつある。


プログレッシブ和英中辞典
かれき 【枯れ木】
〔枯れた木〕a dead [withered] tree; 〔落葉した木〕a bare tree
【慣用表現】
枯れ木も山の賑(にぎ)わい|Anything is better than nothing./The more the merrier.


デジタル大辞泉の解説
枯(か)れ木(き)も山(やま)の賑(にぎ)わい
《枯れ木も山に風情を添えるのに役立つ意から》つまらないものでも、ないよりはましであることのたとえ。

[補説]文化庁が発表した「国語に関する世論調査」で、「つまらないものでも無いよりはまし」と、「人が集まればにぎやかになる」の、どちらの意味だと思うかを尋ねたところ、次のような結果が出た。
  平成16年度調査 平成26年度調査
つまらないものでも無いよりはまし
(本来の意味とされる) 38.6パーセント 37.6パーセント
人が集まればにぎやかになる
(本来の意味ではない) 35.5パーセント 47.2パーセント


http://prmagazine.bunka.go.jp/pr/publish/bunkachou_geppou/2011_11/series_08/series_08.html
「枯れ木も山のにぎわい」の意味
文化部国語課

 「枯れ木も山のにぎわいですから,是非パーティーに来てください。」 ……人を招待するときに,このような表現を使うのを聞いたことはありませんか。この場合「枯れ木も山のにぎわい」は,参加者が多くいた方がにぎやかになっていい,という意味で使われているようですが,本来の意味とは異なっています。「枯れ木も山のにぎわい」の本来の意味を確かめてみましょう。

問1 「枯れ木も山のにぎわい」の本来の意味を教えてください。
答 「枯れ木も山のにぎわい」の本来の意味は,「つまらないものでも,ないよりはましである」という意味です。
まず,「枯れ木も山のにぎわい」の意味を国語辞典で調べてみましょう。

・「広辞苑」第6版(平成20年 岩波出版)
 枯木も山の賑にぎわい 枯木も山の風致を添えるものである。転じて,つまらない物も数に加えておけば無いよりはましであることのたとえ。

・「大辞林」第3版(平成18年 三省堂)
 枯れ木も山の賑にぎわい 枯れ木でも山に趣を添える。つまらぬものでも無いよりはましであるという意。

 辞書が示す「枯れ木も山のにぎわい」の意味は,つまらないものでもないよりある方がまし,という意味です。木が生えていない土ばかりの山では殺風景である。たとえ枯れてしまったつまらない木であっても,多少の趣を添えることができ,ないよりもあった方がにぎやかになってよい。……「枯れ木」は「つまらないもの」の例えですから,人を招待するときや目上の人に対して用いるのは失礼になります。本来は,招待を受けた側が,「私のような者がお招きにあずかるのは畏れ多いことでございますが,「枯れ木も山のにぎわい」と言いますから,是非参加させていただきます。」などと用いる言葉なのです。

 続いて,近代の小説から,「枯れ木も山のにぎわい」の使い方を見てみましょう。林不忘はやしふぼうの「丹下左膳ぜん こけ猿の巻」の中の一部分です。
 二重三重の剣輪が,ギッシリ左膳をとりまいている。こうなってはいかな左膳でも,空を翔かけ,地にもぐる術のない以上,一本腕のつづくかぎり,斬って斬って斬りまくらなければならない……。
「ウフフ,枯れ木も山のにぎわいと申す。よくもこう木偶でくの坊がそろったもんだ」
 刀疵きずの影深い片ほおに,静かな笑みをきざませて,左膳は野太い声でうめいた。

(林不忘「丹下左膳 こけ猿の巻」昭和9年)

 ここに示されている「枯れ木も山のにぎわい」は,取り巻く剣陣の数は多いのに,左膳一人も倒すことのできない相手陣を見下してのせりふの一部分です。ここでは,「木偶の坊」がそろっている状態について,「枯れ木も山のにぎわい」と捉えた上で,「弱くてつまらない者でも,いないよりはいる方がましと言うからな。」と笑っているのです。

 この言葉については,本来の意味である「つまらないものでも,ないよりはまし」という意味で使うと答えた人の方が,本来の意味ではない「人が集まればにぎやかになる」を選んだ人よりも多くなっていますが,両者の差は,3ポイントと小さく,年代別の結果を示すグラフからも分かるとおり,60歳以上ではほとんど差がなく,30代では後者を選んだ人の割合の方が1ポイント高くなっています。
 「枯れ木も山のにぎわい」が「人が集まればにぎやかになる」という意味として用いられるようになってきたのはどうしてでしょうか。一言で言えば,「枯れ木」=「つまらないもの」という意識がなくなってしまい,「人が集まればにぎやかでよい」というところだけに力点が置かれるようになったためだと考えられます。
 元々は,招待を受けた側が,「つまらない者でも,いないよりはまし」という謙遜の気持ちで使っていた言葉でしたが,そのことが相手に理解されなくなり,単純に「人が多い方がにぎやかでよい」という意味で受け取られるようになっていったのでしょう。それが,招待する側からも用いられるようになり,相手を「枯れ木」=「つまらないもの」になぞらえてしまっていることに気付かないまま,「人が多い方がにぎやかでよいので,来てください」という意味で使われるようになっていったのではないでしょうか。


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