VW問題、排ガスの規制に対して検査数値を変えるコンピュータソフトのを不正していた、というニュースは衝撃的である。ディーゼルエンジンの排気ガスはガソリンエンジンと違って、ユーザーには、強い馬力があるけれど、騒音とガスの公害に悩まされるものであった。欧州と日本ではその効率の良しあしでエンジン搭載の普及度がことなるとしてとらえていた。米国での基準値に近い日本でそうであったから、米国での販売はいかにと思っていたのが、独メディアによるVWが宣伝してきた低公害のクリーンディーゼルという売込みだったろう。ドイツでは自動車産業に係わるのは、国民の7人にひとりの割合があるそうだから、その背景を考えると、ゆゆ式刑事あと社会問題に波及いしかねない。おりしも、BMWにもその不正があるかとニュースが騒ぎ始めている。
http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150926&ng=DGKKASGM25H75_V20C15A9EA2000
VW多難 独産業の顔、崩れたブランド 見えぬ対策費用
2015/9/26付日本経済新聞
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【フランクフルト=加藤貴行】欧州自動車最大手の独フォルクスワーゲン(VW)が経営体制の刷新に踏み切る。失った信頼の回復を急ぐが、悪質な不正問題は世界に波紋を広げ、収まる兆しが見えない。世界販売が1千万台、傘下に12ブランドを持つ「一大帝国」は自ら招いたブランド力の毀損で生産・販売の落ち込みが避けられず、新経営陣にはいばらの道が待つ。(1面参照)
「ダーティーディーゼル(汚いディーゼル)」。独メディアはVWが宣伝してきた低公害の「クリーンディーゼル」をもじって批判を強める。
ドイツ語で「国民車」を意味するVWは品質を重視する独産業の顔であり、誇りだった。それだけに裏切られたとの思いが国民の間に広がる。
欧州市場でVWグループのシェアは25%。大衆車から高級車まで幅広い車種構成が強みだ。だがディーゼル車の不正は発端となった米国だけでなく欧州でも発覚した。
独メディアによるとドブリント独運輸相は25日、VWの不正車両は同国内だけで280万台に上ると述べた。米国のリコール(無料回収・修理)対象の6倍近く、世界の対象車1100万台の多くを欧州が占めそう。お膝元でのブランドイメージ悪化が避けられない。
さらに不正の是正対策の引当金として65億ユーロ(約8700億円)を積んだ「技術的な措置」でどこまで対応できるかも不透明だ。問題になった違法ソフトのプログラムを正しく変更するだけなら費用負担は限定的だ。
ところがVWは試験時だけ排ガス低減装置を作動させ、実際の走行時には燃費向上を優先して装置を停止させていた。その設定を変えると今度は通常走行時の燃費が悪化し、二酸化炭素(CO2)排出量が増えてしまう恐れがある。搭載されたディーゼルエンジン自体の交換を求められれば費用はさらに膨らみ、そこに法令違反の制裁金や消費者らによる訴訟への対応費用が重なる。
6月末時点のVWの自己資本は962億ユーロ(約13兆円)と財務体質は強く、一時的な費用負担には耐えられる。問題は販売台数の減少だ。
新興市場で急成長したVWの販売はすでに頭打ちだった。工場の新増設を続けた中国は景気減速に直撃され、ブラジルでも不振に苦しむ。不正発覚で販売不振と業績悪化が長引けば、研究開発や設備投資に資金を回す体力を奪われかねない。
http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150926&ng=DGKKASGM25H75_V20C15A9EA2000
VW多難 独産業の顔、崩れたブランド 見えぬ対策費用
2015/9/26付日本経済新聞
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【フランクフルト=加藤貴行】欧州自動車最大手の独フォルクスワーゲン(VW)が経営体制の刷新に踏み切る。失った信頼の回復を急ぐが、悪質な不正問題は世界に波紋を広げ、収まる兆しが見えない。世界販売が1千万台、傘下に12ブランドを持つ「一大帝国」は自ら招いたブランド力の毀損で生産・販売の落ち込みが避けられず、新経営陣にはいばらの道が待つ。(1面参照)
「ダーティーディーゼル(汚いディーゼル)」。独メディアはVWが宣伝してきた低公害の「クリーンディーゼル」をもじって批判を強める。
ドイツ語で「国民車」を意味するVWは品質を重視する独産業の顔であり、誇りだった。それだけに裏切られたとの思いが国民の間に広がる。
欧州市場でVWグループのシェアは25%。大衆車から高級車まで幅広い車種構成が強みだ。だがディーゼル車の不正は発端となった米国だけでなく欧州でも発覚した。
独メディアによるとドブリント独運輸相は25日、VWの不正車両は同国内だけで280万台に上ると述べた。米国のリコール(無料回収・修理)対象の6倍近く、世界の対象車1100万台の多くを欧州が占めそう。お膝元でのブランドイメージ悪化が避けられない。
さらに不正の是正対策の引当金として65億ユーロ(約8700億円)を積んだ「技術的な措置」でどこまで対応できるかも不透明だ。問題になった違法ソフトのプログラムを正しく変更するだけなら費用負担は限定的だ。
ところがVWは試験時だけ排ガス低減装置を作動させ、実際の走行時には燃費向上を優先して装置を停止させていた。その設定を変えると今度は通常走行時の燃費が悪化し、二酸化炭素(CO2)排出量が増えてしまう恐れがある。搭載されたディーゼルエンジン自体の交換を求められれば費用はさらに膨らみ、そこに法令違反の制裁金や消費者らによる訴訟への対応費用が重なる。
6月末時点のVWの自己資本は962億ユーロ(約13兆円)と財務体質は強く、一時的な費用負担には耐えられる。問題は販売台数の減少だ。
新興市場で急成長したVWの販売はすでに頭打ちだった。工場の新増設を続けた中国は景気減速に直撃され、ブラジルでも不振に苦しむ。不正発覚で販売不振と業績悪化が長引けば、研究開発や設備投資に資金を回す体力を奪われかねない。