このほど発表された調査結果によると、中国の富裕層の半分以上の人は外国移住を検討したり、実際に移住計画に乗り出したりしている。今年これまでの各種調査で明らかになった傾向が確認された形で、同国の急速な経済成長にもかかわらず、ビジネスエリートの間に生活の質や資産の今後についての不安があることがうかがえる。
イメージ AFP/Getty Images
中国銀行と同国富裕層の研究に当たっている「胡潤リポート」が10月29日に発表した、資産1000万人民元(1億3000万円)以上の中国人980人を対象にした調査報告によると、最も人気のある移住先は米国だった。
中国の経済成長は、ペースが鈍ったとはいえ、西側世界がうらやむ水準にあることに変わりはない。今年第3四半期(7-9月)の国内総生産(GDP)伸び率は9.1%で、国際通貨基金(IMF)は今年全体の成長率が9.5%になると予想している。
しかし、高いインフレ率やバブル的な不動産市場、外需の急激な鈍化など多くの問題によって、中国の成長が頓挫する不安が高まっている。
経済成長から利益を得た多くの中国人も、一人っ子政策、食の安全、環境汚染、汚職、貧弱な教育制度、未熟な法制度などの社会問題への懸念を強めている。
胡潤リポートの発行者、ルパート・フーゲワーフ氏は、移住を計画している人たちに最も共通した理由は子どもの教育で、次いで、より良い医療サービス、それに中国の環境汚染だと述べた。同氏は経済、政治的環境への不安を指摘し、「保険的要素もある」としている。
ただ同氏は、移住しつつある多くの個人は大方のお金を中国に投資したままにしていると答えているため、今回の調査結果が資本逃避を示唆しているのかどうかははっきりしないと述べた。
中国は資本規制をしており、富裕層が資金を国外に持ち出すのは難しい。ただ、そこには多くの抜け道があるのも事実だ。一部のエコノミストは、ここ数カ月に大量の資本が流出した兆候が見られるとし、世界的なリスク選好が弱まったことや、人民元の緩慢な上昇が予想されることによるのではないかと述べた。
中国銀行と胡潤リポートの調査は今年5~9月に、北京、上海、武漢、南京、大連、蘇州など18の主要都市で行われた。報告によると、1000万元以上の「個人資産」を持つ人は推定96万人おり、1億元以上は6万人いる。一方、中国招商銀行と米コンサルティング会社ベインは、1000万元以上の「投資可能個人」資産を持つ人は昨年時点で50万人、1億元以上は2万人と推定している。
今回の調査対象者の平均年齢は42歳、平均個人資産は6000万元だった。46%が移住を検討していると答え、14%が既に移住したか、申請をしたと答えた。フーゲワーフ氏によると、資産1億元以上の人の傾向はもっと顕著で、それぞれ55%、21%だった。
移住先のトップは米国(全体の40%)で、以下、カナダ(37%)、シンガポール(14%)、欧州(11%)の順。また、3分の1は海外に資産を持っており、28%は今後3年間に海外投資を計画している。海外に資産を持っている回答者の半分はその理由を子どもの教育だとし、32%は移住を理由に挙げた。投資先の人気トップは米国(42%)で、投資形態で最も多かったのは不動産(51%)だった。
記者: Jeremy Page
折パンフレットは会社広告、製品説明書などの営業
中綴じ冊子、無線綴じ冊子
お電話及びFAX・メールでの対応時間は営業時間
ttp://www.digitalprinting.co.jp/