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wsj日本版から
米スタンフォード大学医学部の研究チームは4日、妊娠中の女性の血液サンプルのみを使って胎児の全ゲノムの塩基配列を解析できたと発表した。これは、子どもがどういう遺伝的状況で生まれてくるのかを知るため、従来のように母体侵襲、つまり妊婦の腹部と子宮の壁に針を挿入するような方法をとらなくてもいい方法を見つける取り組みで前進したことを意味する。この研究は4日付の英科学誌「ネイチャー」に掲載された。医学界では、現在実施されている検査にまつわるリスクなしに、速く、比較的安価で、しかも正確に遺伝的状況を予測する方法を見つけることに強い関心が集まっている。今回の研究は、こうした関心を反映している。例えば、胎児の遺伝的状況を得るために多用されている羊水穿刺(ようすいせんし)は、妊婦の腹部と子宮の壁を通じて針を挿入する必要があるため、わずかに流産のリスクがある。今回の研究には米国立衛生研究所(NIH)やハワード・ヒューズ医学研究所が出資した。
研究チームによると、今回の方法では父親のDNAが必要ないという。論文が引用した情報源によれば、米国では生まれてくる子どものうち推定3~10%は本当の父親が分からないとされている。それだけに、父親のDNAが必要ないのは利点だ。この論文の上席執筆者であるスタンフォード大学のスティーブン・R・クエーク教授(応用物理学・生物工学)は、「父親から必ずDNAを採取できると想定するのは現実的でない。父親が誰か当然分かっているとする想定もそうだ」と述べた。
この研究は、胎児が妊婦の血液にDNAを放出するという1990年代末の医学的発見から派生して実施された。クエーク博士が共同設立者となった2社を含む多くの企業は既に、分子計測技術を使って、母親の血液内の21番染色体が他の染色体と比較して多く存在するかを計測し、胎児がダウン症かどうかを判断している。同教授は、現在行われている研究はこの手法を採用し、「全ゲノムに適用している」と述べた。
ただし、ワシントン大学のジェイ・A・シェンデュラ准教授(ゲノム科学)は、こういった非侵襲的な全ゲノム検査を病院で実施する準備が整うまでには恐らくあと数年かかるだろうと述べた。同准教授はこの研究に参加していない。同准教授は先月「サイエンス・トランスレーショナル・メディシン」に掲載された似たような研究、すなわち母親の血液サンプルと父親の唾液を使って胎児のゲノムの塩基配列を解析した研究の筆頭研究者だ。
同准教授は、ゲノム解析の費用が近年下がってきたものの、妊婦の定期検診で行えるようにするためには、コストがもっと下がる必要があると指摘した。同准教授は「1人や2人ではなく、何千人もの妊婦を対象にしたいのであればコスト低下が不可欠だ」と述べた。
スタンフォード大学の研究チームは血液サンプルから解析する手法を2人の妊婦で試した。1人は健康な妊婦、もう1人はディジョージ症候群の妊婦だった。ディジョージ症候群は心臓などに問題を引き起こす恐れのある遺伝的疾患だ。同チームはディジョージ症候群の妊婦の胎児が母親の遺伝的状況を受け継いでいることを正確に特定できた。チームは臍帯(さいたい)から採取した血液中のDNAを使って、この結果を裏付けた。
米臨床遺伝学会(ACMG)のエグゼクティブディレクター、マイケル・ワトソン氏は、この技術を出産前に使う上で残る大きな問題の一つが、どういった遺伝子突然変異が重い病気を引き起こすのか、はたまた引き起こさないのかに関する情報量が限られていることだと指摘した。同氏は「われわれはこれを理解する段階で行き詰まっている」と述べた。同氏は今回の研究に参加していない。
記者: Amy Dockser Marcus
米スタンフォード大学医学部の研究チームは4日、妊娠中の女性の血液サンプルのみを使って胎児の全ゲノムの塩基配列を解析できたと発表した。これは、子どもがどういう遺伝的状況で生まれてくるのかを知るため、従来のように母体侵襲、つまり妊婦の腹部と子宮の壁に針を挿入するような方法をとらなくてもいい方法を見つける取り組みで前進したことを意味する。この研究は4日付の英科学誌「ネイチャー」に掲載された。医学界では、現在実施されている検査にまつわるリスクなしに、速く、比較的安価で、しかも正確に遺伝的状況を予測する方法を見つけることに強い関心が集まっている。今回の研究は、こうした関心を反映している。例えば、胎児の遺伝的状況を得るために多用されている羊水穿刺(ようすいせんし)は、妊婦の腹部と子宮の壁を通じて針を挿入する必要があるため、わずかに流産のリスクがある。今回の研究には米国立衛生研究所(NIH)やハワード・ヒューズ医学研究所が出資した。
研究チームによると、今回の方法では父親のDNAが必要ないという。論文が引用した情報源によれば、米国では生まれてくる子どものうち推定3~10%は本当の父親が分からないとされている。それだけに、父親のDNAが必要ないのは利点だ。この論文の上席執筆者であるスタンフォード大学のスティーブン・R・クエーク教授(応用物理学・生物工学)は、「父親から必ずDNAを採取できると想定するのは現実的でない。父親が誰か当然分かっているとする想定もそうだ」と述べた。
この研究は、胎児が妊婦の血液にDNAを放出するという1990年代末の医学的発見から派生して実施された。クエーク博士が共同設立者となった2社を含む多くの企業は既に、分子計測技術を使って、母親の血液内の21番染色体が他の染色体と比較して多く存在するかを計測し、胎児がダウン症かどうかを判断している。同教授は、現在行われている研究はこの手法を採用し、「全ゲノムに適用している」と述べた。
ただし、ワシントン大学のジェイ・A・シェンデュラ准教授(ゲノム科学)は、こういった非侵襲的な全ゲノム検査を病院で実施する準備が整うまでには恐らくあと数年かかるだろうと述べた。同准教授はこの研究に参加していない。同准教授は先月「サイエンス・トランスレーショナル・メディシン」に掲載された似たような研究、すなわち母親の血液サンプルと父親の唾液を使って胎児のゲノムの塩基配列を解析した研究の筆頭研究者だ。
同准教授は、ゲノム解析の費用が近年下がってきたものの、妊婦の定期検診で行えるようにするためには、コストがもっと下がる必要があると指摘した。同准教授は「1人や2人ではなく、何千人もの妊婦を対象にしたいのであればコスト低下が不可欠だ」と述べた。
スタンフォード大学の研究チームは血液サンプルから解析する手法を2人の妊婦で試した。1人は健康な妊婦、もう1人はディジョージ症候群の妊婦だった。ディジョージ症候群は心臓などに問題を引き起こす恐れのある遺伝的疾患だ。同チームはディジョージ症候群の妊婦の胎児が母親の遺伝的状況を受け継いでいることを正確に特定できた。チームは臍帯(さいたい)から採取した血液中のDNAを使って、この結果を裏付けた。
米臨床遺伝学会(ACMG)のエグゼクティブディレクター、マイケル・ワトソン氏は、この技術を出産前に使う上で残る大きな問題の一つが、どういった遺伝子突然変異が重い病気を引き起こすのか、はたまた引き起こさないのかに関する情報量が限られていることだと指摘した。同氏は「われわれはこれを理解する段階で行き詰まっている」と述べた。同氏は今回の研究に参加していない。
記者: Amy Dockser Marcus
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