ある旅人の〇〇な日々

折々関心のあることや読書備忘を記録する

島津藩の琉球侵略400年目

2009年03月22日 | Weblog
島津藩の琉球侵略(1609年)から400年目、今年はその関連の出版物を期待している。陳舜臣の「琉球の風」や池上永一の「テンペスト」のような長編小説でもいい。あるいは島津琉球入りを防ぐための戦略を述べたもの、それを防げたら琉球王国はどのような歴史を辿ることができたかを推測するものでもいい。シナの侵略によるチベット化もありえただろう。
沖縄では今月29日に「薩摩の琉球支配400年を問う シンポジューム・大激論会」というのが開催される。
案内文は次のようになっている。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 
 沖縄よ! どこへ行く?

 今年は薩摩が1609年に琉球王国を侵略・支配してから400年、明治政府が琉球処分(廃藩置県)してから130年の節目の年になります。現在、沖縄を取り巻く問題は山積していますが、政府が進める道州制をはじめ、自治州、現状維持、独立、東アジア共同体本部を設置した独立国、非武装中立国などいろいろな自立の動きがあります。

 さて、何がよいのだろうか?

 薩摩侵略・琉球処分についての研究者の講演から学ぶと共に、宮古・八重山・奄美大島で苦難の地域史を研究している方々を講師に招いて討論いたします。後半は参加者と専門家、パネラーとの激論の場と致します。
 わが琉球の未来を県民自ら考えると共に、世界の人々との平和、共生のための道をさぐる激論会です。ぜひ、多くの県民が参加されますようご案内申し上げます。

第一部 シンポジューム

基調講演  豊見山和行氏(琉球大学教授)*新聞に薩摩侵略・琉球処分などの論文
パネリスト 下地和宏氏(宮古歴史研究者)*苦難の宮古島の歴史を研究、論文化
      砂川哲雄氏(八重山歴史研究者)*苦難の八重山の歴史を研究、論文化
      薗博明氏(奄美民衆史研究家)*琉球王国、鹿児島との関係など研究

第二部 大激論会(参加者と専門家、パネラーとの激論)


琉球生け花、空手、古武道の琉球文化芸能も披露します。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

このイベントの呼びかけ人や役員は、松島泰勝、仲里効、知花昌一、高良勉、石原昌家、新川明、安里英子などの面々である。沖縄の歴史学、特に琉球王国の研究の第一人者である高良倉吉先生は関わっていない。
どうやら、薩摩の琉球入り400周年をかこつけた政治思想的活動みたいである。「日本/沖縄」という二項対立を展開している面々の主催といっていいだろう。

同じ関連のサイトでは「薩摩の琉球支配から400年・日本国の琉球処分130年を問う会」と表示されている。そこでは次のように書かれている。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今年2009年は、1609年の薩摩による琉球侵略から400年にあたります。ヤマト(日本)による琉球弧 (奄美諸島、沖縄諸島、宮古諸島、八重山諸島) の植民地支配の先駆けとなったこの痛恨の歴史事実を風化させることなく、この機会に改めて掘り返すことにより、琉球人としての自己確認を鮮明にしたいと考えています。
この自覚に立って、1879年に始まり、今なお続いているヤマト国家による琉球処分にもメスをいれなければなりません。
この際「琉球弧が日本国の中に組み込まれていること。また沖縄県と鹿児島県奄美諸島に分断されていること」が問答無用の常識とされている現実を、疑ってみる必要があるのではないでしょうか。そうすれば、その深みから何か“本物”が見えてくるのではないかと期待しているわけです。
琉球人としての自尊心を大きく失い、自治・自立さえ危なくなっている今日の琉球の現実を克服するために、今年を契機に、適切な行動を展開していきたいと考えております。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

沖縄タイムスでは、この会の結成集会について「沖縄社会の自決権を確立するための活動を展開することを確認・・・・・。今後、国連や日本国への要請行動のほか、県内各地での講演会の開催、薩摩侵攻や琉球処分で亡くなった人々の慰霊祭、戦跡フィールドワークの実施などの活動を継続して行う方針・・・」と記事にしている。沖縄タイムスは数年前、シナの原子力潜水艦が領海侵犯したときも「日本政府の慎重な対応が望まれる」というように他所の国のできごとみたいに報道していたことを思い出す。
沖縄では、まだまだ「日本/沖縄」という二項対立の人々がいることを知っておくのもいいだろう。