■きのうの歌も、きょうの歌も、現代とはほど遠い和歌風景なので、いくら翻案とは
いっても、とても難しい。苦し紛れというのが、舞台裏で聞える声。本歌は、作者が
身内の服喪で一時帰省していたときに、仕えていた村上帝(天皇)に贈ったとされ
る。
【略注】○ほのか=「仄か」と「穂の香」。
○風、花薄(はなすすき)=風が主人、薄が自分(作者)。薄は風があっては
じめて生き生きとするのだから、少しでも風が吹いてほしい(私になびいてほ
しい)。
○むすぼほれつつ=「風でもつれもつれして。」(岩波版)
○徽子(きし)=女御(にょうご、にょご、両読み。皇后候補の女官)。徽子女
王(全集三書とも読みは「きしじょおう」だけ)が通名。
一面の松葉牡丹の絨毯は
いや増す夏に淡き紅して
図書館の庭で。松葉牡丹は葉先が尖っているのに対して、ポーチュラカは丸くな
っている、というのが、いちばん分かりやすい見分け方だとか。
色の呼び方には頭を悩まされる。今回の色名の選考過程は、伝統色名(二件既
出)のうち、チャートから選んだ鴇色(または朱鷺色)が、いちばん近かった。念のた
め広辞苑で確かめると、「ときいろ(鴇色)=鴇のような色、すなわち淡紅色。」とあ
った。
