悠山人の新古今

日本初→新古今集選、紫式部集全、和泉式部集全、各現代詠完了!
新領域→短歌写真&俳句写真!
日本初→源氏歌集全完了!

117 引きこもりしている

2005-11-30 04:00:00 | 新古今集

 家にこもって書を読んだり書いたりしていたら、知人から京都白川の花見へ行こうと誘われた。そこで初めて、世の中は花見の春だと知る。貴人は広い家に住み、公務私事に携わることで、十分に時間が過ごせた時代である。時はゆっくり流れる。
 ひらかなy117:ひきこもり しているまにも ときはすぎ
          きょうははなみの はるなのだなあ
 ひらかなs1457:いさやまた つきひのゆくも しらぬみは
          はなのはるとも けふこそはみれ
【略注】○今日こそは見れ=(もう花見の春だと)きょう初めて知ったことだ。
    ○源師光(もろみつ)=大納言師頼の子。
☆memo-pl : styczeń luty marzec kwiecień maj czerwiec 
lipiec sierpień wrzesień październik listopad grudzień
☆☆ポーランドの写真ブログに紹介されている、原宿の少女たち、白糸の滝など。最新版。
日本人、初訪問?
  http://www.fotoblok.blog.pl/


116 昔見た春は

2005-11-29 05:45:00 | 新古今集

 業平の古今・恋歌を、深養父は加齢の嘆きに読み替えた。現代詠の前半は、全くそのまま。後半はいろいろに読み替えて、楽しめそう。新古今は、相当部分が本歌取りで成り、そのいくつかはこの歌のように、換骨奪胎とする。
 ひらかなy116:むかしみた はるはむかしの はるだけど
          わたしはめっきり おいてしまった
 ひらかなs1449:むかしみし はるはむかしの はるながら
          わがみひとつの あらずもあるかな
【略注】○あらずもあるかな=昔の自分(の肉体)のようではない。
    ○清原深養父(ふかやぶ)=清少納言の祖父(曽祖父?)。洛北補陀落寺を創建。
    なお補陀落を名乗る寺(廃寺を含む)は、京都だけでなく、全国各地に散在する。

短歌写真2005-1128 こころ入れ

2005-11-28 06:30:00 | 短歌写真

 『オペラ座の怪人』のパイプ・オルガン演奏中に、ふと天井をみると、怪しい影が見えた。演出ではなく、照明の加減らしい。きのうの、ある演奏会で。
【写真】カラーのモード変更機能で、フル→ハーフ・トーン→フル(実質はモノ)とした。左席のため、あまり目立たない程度に、変形機能で基線を補正。撮影の包括禁止措置はない。
 ひらかな:こころいれ をとめのおるがん ひくかみに
       あやしきかげの おほきなるみゆ


115 雪が降りたとえ

2005-11-27 05:15:00 | 新古今集

 世の中、小人ばかりが闊歩する。時代をまとも導くものはいないのか。この歌は『和漢朗詠集』と関連している。
 恋歌がようやく終わって、これからしばらくは雑歌(ぞうのうた、ぞうか)。巻第十六(雑歌上)は、1435 から 1585 まで。
 ひらかなy115:ゆきがふり たとえばいかが かくれても
          うぐいすだけが みわけるのだね
 ひらかなs1441:ふるゆきに いろまどはせる うめのはな
          うぐひすのみや わきてしのばん
【略注】○うぐひす=鶯は、前歌(1440)との関係で、賢者を暗示。
    ○分きてしのばん=見分けて鑑賞するのだろうか。
    ○菅原道真=悠 046(08月20日条)既出。


114 男なら思いの

2005-11-26 05:05:00 | 新古今集

 おい、お前、男だろう? それなら身分はさておいて、思い切って告白しろよ、と自分に言い聞かせている男。身分が低いとはいっても、「五位の摂政」などとあだ名される貴族。思いを寄せる女は、さらに高根の花か。
 ひらかなy114:おとこなら おもいのうちを あけるのに
          みぶんちがいが きになっている
 ひらかなs1425:ひとならば おもふこころを いひてまし
          よしやさこそは しづのをだまき
【略注】○いひてまし=言ってしまうだろうに。
    ○よしやさこそは=たとえこのように。
    ○しづのをだまき=「倭文(しず)の苧環(おだまき)」。倭文は古代布、倭文を作る
    ための糸球が苧環。「賎(しず)」に掛ける。賎は、身分の低いこと・者を指す。補説
    参照。
    ○藤原惟成(これしげ、これなり、両読み)=雅材の子。花山院の寵臣。出家して悟
    妙。37歳で没。
【補説】倭文①「上代は<しつ>。唐から輸入された<綾(あや)>に対して、日本古来の織
    物の名。こうぞ・麻などの繊維から作った横糸を青・赤などに染めて、乱れ模様に織り
    あげたもの。」
    ②「奈良時代にはシツと清音。古代の織物の一。穀(かじ)・麻などの緯(よこいと)を
    青・赤などで染め、乱れ模様に織ったもの。あやぬの。しずはた。しずぬの。倭文
    織。」
    苧環①「績(う)み麻(お)(=つむいだ麻糸)を、内側を空(から)にして球状に巻いた
    もの。」
    ②「つむいだ麻糸を、中が空洞になるように円く巻きつけたもの。」
    二項とも、①は旺文社版『古語辞典』、②は岩波版『広辞苑』。


113 辛い世や嫌な

2005-11-25 06:00:00 | 新古今集

 恋のつよさとつらさは比例する。これまた素直な自己表出である。現代詠では、極力字余りを警戒しているのだが・・・。
 ひらかなy113:つらいよや いやなひとには たえられても
          こいしさだけは どうにもならない
 ひらかなs1423:よのうきも ひとのつらきも しのぶるに
          こひしきにこそ おもひわびぬれ
【略注】○憂き、つらき=小学版注には、それぞれ「辛いこと」「薄情であること」と。
    ○藤原元真(もとざね)=悠 023(07月25日条)既出。


短歌写真2005-1124 近づけど

2005-11-24 10:50:00 | 短歌写真

 薔薇は美しくてわがまま。だから、薔薇好きは口をそろえていう、薔薇こそ数ある花の女王と。素人が片手間に、美しく咲かせよう、というのは、しょせん無理だと納得している。何れかなりと美しきものそなへたる、すべての女性(にょしょう)にささぐる一首。
【写真】年間何種類か咲かせているが、美しい一輪がなかなか姿を見せてくれないから、これで手を打つことにした。さきほど、10時に撮影。芝も枯れて、日差しも穏やかな雰囲気が出た。発色は自動補正。
 ひらかな:ちかづけど なほとほかりし きみゆへに
       たふときはなよ ばんしうのばら

112 あの夜の梅の

2005-11-24 05:15:00 | 新古今集

 梅・梅の花は、作者そのものでもある。元歌の恨みを懐古にしてみた。
 子どものころの話。梅干の芯を食べるとき、大人たちに二説あって、天神さまだから「食べてはいけない」「食べると頭がよくなる」と、言われたのを思い出す。ますます肥満化している今の子どもたちは、こんな話を知らないかも。
 ひらかなy112:あのよるの うめのかおりに なったまま
          たよりもなくて ただなつかしい
 ひらかなs1409:うめのはな かをのみそでに とどめおきて
          わがおもふひとは おとづれもせぬ
【略注】○おとづれ=ここでは「便り」。小学版底本に「音信」と表記、と。
    ○在原業平=悠 077(10月07日条)既出。

111 あのひとの面影

2005-11-23 06:55:00 | 新古今集

 恋しくてやっと逢えたら、その後の沙汰が覚束ない。いっそ恋することなど、しなかったらよかった・・・。勝手にひたむき。
 ひらかなy111:あのひとの おもかげだけは そのままに
          こいしなかった ときがこいしい
 ひらかなs1393:おもひわび みしをもかげは さておきて
          こひせざりけん をりぞこひしき
【略注】○思ひわび=思い悩んで。
    ○藤原俊成=悠 026(07月28日条)既出。