悠山人の新古今

日本初→新古今集選、紫式部集全、和泉式部集全、各現代詠完了!
新領域→短歌写真&俳句写真!
日本初→源氏歌集全完了!

短歌写真443 色たがへ

2007-08-31 00:20:00 | 短歌写真
2007-0831-yts443
色たがへむらさきの葉をつけたるも
貴有為の花のやがて咲くらん   悠山人

○短歌写真、詠む。
〇枝切りなどという生易しい作業では、とても間に合わない、キーウィー。これまた自由を謳歌している。よく見ると、同じ枝でもところどころ、異色の葉が着いている。圧倒的な緑の中の、絶対少数派(葉)に、わが身を重ねた。葉月尽日。
¶¶貴有為(キウイ)=kiwi(発音記号からは、[キーウィー]が近い)。日本での通用表記は「キウイ」。この漢字表記は、私の歌語。
短写443 いろたがへ むらさきのはを つけたるも
        キウイのはなの やがてさくらん
【写真】撮影は去る水無月、自宅。

俳句写真144 この世しも

2007-08-30 05:30:00 | 俳句写真

2007-0830-yhs144
この世しも
穏しくあれと
思ふのみ   悠山人


○俳句写真、詠む。
○復元城郭公園で、世の平安を思う

¶穏(おだ)し=前出『逆引き辞典』で、期待もしないままに「平和」を引いたら、「おだし(穏)」と出て来て、意外に感じた。安易な殺戮が、ますます横行している。
□俳写144 このよしも おだしくあれと おもふのみ
【写真】前出に同じ。


短歌写真442 復ち返り

2007-08-29 00:00:00 | 短歌写真
2007-0829-yts442
復ち返り千年のかみびといかがせん
皆既の月の食を見たれば   悠山人

○短歌写真、詠む。
〇古人は月には雲、と親しんだ。ニュートン力学などで、月食の予測が正確に算出される現代に、平安歌人が居合わせたら、どう詠うだろうか。文法上、苦しい一作。この皆既月食を眺めた人が百万人、短歌に詠んだ人百人、か?
¶千年(ちとせ)のかみびと(上人)=「千年の昔」と「貴人」を掛ける。

短写442 をちかへり ちとせのかみびと いかがせん
        かいきのつきの しょくをみたれば
【写真】昨夜、七年ぶりの皆既月食。色調その他、自動設定のまま。何枚か撮影した中から、雲のあるものを選んだら、皆食のあとのものになった。自宅。

短歌写真441 ひと茎の

2007-08-28 02:00:00 | 短歌写真

2007-0828-yts441
ひと茎の葦といはれし人の世も
悲喜哀悦に満ちてあるかな   悠山人

○短歌写真、詠む。
○このところ、他人のブログを拝見し、その人生模様に感じることが、非常に多い。私の読者の中にも、複数の方が、深い傷のなかにある。郊外のレストランで、写真のようなディスプレイを眺めながら、一挙にそのあれこれが溢れて来た。結句を「満ちあふれをり」とすると、前句と合わせて混雑し過ぎなので、おとなしく詠んだ。
¶ひと茎(くき)の葦(あし)=いうまでもなく、パスカルの名句である。
¶¶悲喜哀悦(ひきあいえつ)=私の創作四字熟語。

短写441 ひとくきの あしといはれし ひとのよも
        ひきあいえつに みちてあるかな
【写真】先日、レストラン亭で。
【memo】考える葦 Blaise Pascal の『Pensées』。英語の think-thought に対応して、仏語では penser-pensé になる。書名を英語風に読むと「パンジー」で、そのまま外来日本語の花名になった。本題の『パンセ』は、有名なわりには、全部読み切った日本人は、そう多くないと思う。というのも、私の考えによると、哲学者で神学者の文章である、思い浮かんだ言葉・文章が系統的でない、挿入・削除が非常に多い、成立史的に編者・学者の間で論争が絶えない、学者特有の外国語(仏語以外)も多い、他に残らない史実なども注釈なしで頻繁に出て来る、などなどの理由による。私が車のひとつに,いつも
入れておいて、時折り眺めるのは、中公文庫版(前田陽一・山本康 訳)だけれど、訳注などを含めて六百ペイジを遥かに超える。
「考える葦」の章句は、中公版で断章347番の前半。例によってわが青の時代に、その前田さんの仏文テクストを完璧に暗誦しておいたので、下に掲げる。悠山人による、お気楽訳は、機会があれば、としよう。
L'homme n'est qu'un roseau, le plus faible de la nature; mais c'est un roseau pensant. Il ne faut pas que l'univers entier s'arme pour l'écraser : une vapeur, une goutte d'eau, suffit pour le tuer. Mais, quand l'univers l'écraserait, l'homme serait encore plus noble que ce qui le tue, puisqu'il sait qu'il meurt, et l'avantage que l'univers a sur lui, l'univers n'en sait rien.


俳句写真143 処暑四日に

2007-08-27 00:40:00 | 俳句写真

2007-0827-yhs143
処暑四日に
ハワイアンいよ
はつみたり   悠山人


○俳句写真、詠む。
○スタバの新製品を、と、盛大なキャンペインを繰り広げていて、客寄せにハワイアン音楽の演奏をしていた。私はラムズベリーへ一票。処暑初日は8月23日(~9月7日まで)。皆既月食間近の昨夜、日付がかわるまで、朧に出入りする
待宵月を眺める。
¶はつ(弾)む=勢いづく。
□俳写143 しょしょよかに ハワイアンいよ はつみたり
【写真】きのう、昼。


俳句写真142 熟するを

2007-08-26 00:15:00 | 俳句写真
2007-0826-yhs142
熟するを
座して待つとや
富士林檎   悠山人


○俳句写真、詠む。
○菜園を見回ったら、もう少し待って、と林檎(富士)たちが合唱した。試食してみると、もういいよ、という感触。猛暑夏の故かどうか、ことしは百~二百個の当たり年。例によって手入れをしないから、小粒が多い。でも自家製、無農薬というのが、何よりの安心。
¶林檎(りんご)=少し調べてみた。『万葉集』には出ない。平安期以後、「りんごう」で文献に出るらしい。「林檎」の漢字は中国渡来で、現代発音では lin2 qin2、日本語で「りんきん」。 ただし、現代中国語では、「苹果(ping2guo3)(へいか)」。西欧では、旧約聖書(アダムとの関係)やギリシャ神話(パリスの審判)で、古くから知られるが、旧約で「善悪を知る木」とあるのを林檎としたのは、後のJ.ミルトンの『Paradise Lost』(失楽園)という説がある。(諸資料による)
□俳写142 じゅくするを ざしてまつとや ふじりんご
【写真】画面の切取りなし。この林檎が、下の枝に座り込んでいた。きのうの日没前、自宅。ストロボを日中同調。

短歌写真440 鄙びたる

2007-08-25 02:20:00 | 短歌写真

2007-0825-yts440
鄙びたる牛天神の絵馬見れば
学一文字の日日に復つるも   悠山人

○短歌写真、詠む。
○菅原道真は学問の神とされ、彼を祭神とする社が天神(社)。別に牛天神とも言う。この社は、NHK放映中の『風林火山』に出る、信玄の楯無鎧(たてなしの よろい。境内の由緒書きには、この「楯」の字が使われる)の、厳重な保管所としても、国宝の小桜韋威鎧(こざくらがわ おどしよろい)でも有名である。
¶学一文字(がくいちもんじ)=「学という一字」と「学の一筋」を掛ける。
¶復(を)つ=「元へ戻る。若返る。」(『古語辞典』)

短写440 ひなびたる うしてんじんの ゑまみれば
        がくいちもんじの ひびにをつるも
【写真】先日、風林火山の旅の、菅田(かんだ)天神社で。このときも、他の観光客の姿なし。絵馬も数枚。


短歌写真439 猛暑日の

2007-08-24 04:30:00 | 短歌写真
2007-0824-yts439
猛暑日のはたと絶ゆれば人影も
いづくにか消え秋しのび寄る   悠山人

○短歌写真、詠む。
○前日までの猛暑列島は鎮まり、急に涼しくなった。宿泊客専用の温水プールも、賑わいが一転して、ひっそり。昨夕のTV画面で、気象予報士は、列島温度別色表示から、赤が消えたことを示した。
¶はたと=『古語辞典』は、「<はったと>に同じ。」と送る。「はったと」は、もと、人・物を打つ擬音からで、第三義に「すっかり。まったく」が載る。
短写439 まうしょびの はたとたゆれば ひとかげも
        いづくにかきえ あきしのびよる
【写真】ホテルKで、きのう。

短歌写真438 スタインも

2007-08-23 03:20:00 | 短歌写真
2007-0823-yts438
スタインも途切れ途切れに弾かれては
さながら石の道行がごと   悠山人

○短歌写真、詠む。
○有名無名を問わずに、音楽会へも顔出しする。幼児・児童の演奏会には、隠れた宝石を発見する楽しみがある。しかし、このときは余りにひどかった。まだ着替え中に、そのままでいいから舞台へ出てごらん、というのと同じだ。これは百パーセント、指導側の問題だろう。cf,「短歌写真2005-0927 珍しき」(2005年09月27日)
¶スタイン=スタインウェイ(Steinway & Sons)のピアノ。始祖は、ドイツから米国への移民で、ドイツ名 Heinrich Steinweg(ハインリヒ・シュタインヴェク)を、米国人風に Henry Steinway(ヘンリ・スタインウェイ)と名乗った人。「Stein」(「石」)を「Stone」としなかったところに、生国への愛着を感じる。
¶石の道=ドイツ語の Steinweg は、「石の道」の意。独米合成すると、Steinway で、同じ意味になる。「スタインウェイ」に掛ける。
短写438 スタインも とぎれとぎれに ひかれては
        さながらいしの みちゆきがごと
【写真】先日、あるピアノ教室の発表会で。定席数は数百名ほど。

短歌写真437 蜻蛉は

2007-08-22 00:10:00 | 短歌写真

2007-0822-yts437
蜻蛉はあるかなきかのけふあすを
わがさまににてひとへにぞある   悠山人

○短歌写真、詠む。
○日中の狂気の如き暑熱も、朝夕は多少和らぐ
。早朝、内庭へ目を遣ると、一匹の蜻蛉が飛び回ってゐる。儚き時を惜しむさま、そのままわが日日なり。
¶あるかなきかの=藤原道綱母『蜻蛉日記』の名の由来になった名句。蜻蛉に、音読み「せいれい」、訓読み「とんぼ」もある。
短写437 かげろふは あるかなきかの けふあすを
        わがさまににて ひとへにぞある
【写真】先日、自宅。