悠山人の新古今

日本初→新古今集選、紫式部集全、和泉式部集全、各現代詠完了!
新領域→短歌写真&俳句写真!
日本初→源氏歌集全完了!

短歌写真009 つゆ晴れて

2005-07-31 06:15:00 | 短歌写真

2005-0731-yts009
つゆ晴れて見る甲斐のある朝顔は
気高き色の紫に咲く


○短歌写真、詠む。
○今回の掛詞と、最小限の解説は、いままで読んでくださった読者にお任せ。ただし一つだけ種明かしすると、源氏物語・藤葉裏(2005年8月、京都文化博物館で関連展示)に、夕霧の寝起きの顔(朝顔)は見る甲斐がある、と。
¶気高(けだか)き色(いろ)の紫(むらさき)=「昔は重要な紫色の染料とした。」(岩波版『広辞苑第五版』) 603年の、冠位十二階制による、最高位の色。
□短写009 つゆはれて みるかひのある あさがほは
        けだかにいろの むらさきにさく
【写真】南瓜(既出)の隣で撮影。


短歌写真008 ボウブラも

2005-07-30 13:05:00 | 短歌写真

2005-0730-yts008
ボウブラもナンカンもある花カボチャ
南の瓜の賑やかな名よ


○短歌写真、詠む。
○大都市の子どもたちには珍しいだろう。南瓜(かぼちゃ)の花を真上から写す。けさ、ささやかな畑で。大きな葉の下を見ると、もう玉になってきたのもある。その南瓜を「ボウブラ」とか「ナンカン」とかいう呼び方も、かなりあるらしい。関東人の口からは聞いたことがない。このぶんだと、まだ他にもありそうな気がする。例によって、電網検索で知り、知識がまた増えた。
□短写008 ボウブラも ナンカンもある はなカボチャ
        みなみのうりの にぎやかななよ


028 楢の木が大きく

2005-07-30 05:00:00 | 新古今集


■楢(なら)は古今集などの柞(ははそ)か。楢・橅(ぶな)などは良質水源に欠か
せない。よく育つと20m。人口の9割が都市生活をしているいまどき、楢の木を自
宅の庭に持つ家など、なかなか見られない。猛暑の中でこの原稿を書く悠山人に
は、たまらなく羨ましい。

【補注】○外面(そとも)=小学版は「戸外」、岩波版は「後庭」、新潮版は「外側」。
    ○恵慶=悠015参照。

* 「ブログスタッフのおすすめ」のトップに選ばれたことについて。
 きのう(7月29日)昼過ぎ。ブログ・トップを開くと、あれ、自分のとそっくりの写真
 だな、どういうことだ? ふだんあまり意識していなかったが、スタッフおすすめに
 選ばれたらしいと、すぐに気付いた。まさに、信じられな~い! 28万余のブロ
 グ(B)、しかもまるまる1か月程度、目立たない・・・いくら考えても分からない。
 ここは素直に、見つけ出してくれた goo のBスタッフに感謝しておこう。
 ほんの少しだけ自負出来るのは、記事内容に責任を持つこと、幸いにして皆勤
 であったこと、かな。あとは、日本短歌・短歌写真振興協会(架空)の短歌(と短
 歌写真)人口倍増貢献賞!?
 来訪されたすべての方に、心から感謝します。
 30日現在の 「編集メニュー」の写し。
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027 なつかしく訪ねて

2005-07-29 04:05:00 | 新古今集

■いまと全く違って、転居転住は非常に不便だった時代に、どういう「詠み人」が、
どういう事情で、どんな人を尋ねたのか。私は素直に、男が女を、とみる。現代詠
は「居なくなる」よりも「亡くなる」に傾いているので、再考の余地がある。さらに言
えば、花名は自分の好みにカスタマイズしたいところ。
目に見える花ではなく、見えない香りを「君の面影」とする、詠み人の心が伝わる。

【略注】○人はのきばの=岩波版・新潮版は「人は軒端の」。人は退き(いなくな
    り)、廃屋の軒端の、と掛ける。続く古い家、古里も。
    ○かをる=岩波版は「かほる」。「かをる」が正書法。だから源氏の薫君は
    「かをるのきみ」が正しい。この時代にはすでに両者の混乱は珍しくなくな
    っていた。現代の人名にも、「かほり」「かほる」がそのまま残る。
    ○橘=橘の花、花橘。懐かしい人を思い出させる小道具としてよく使われ
    る。

短歌写真007 あかつきに

2005-07-28 08:20:00 | 短歌写真

2005-0728-yts007
あかつきに風船花は折れもせず
嵐に堪へて早や咲きゐたり


○短歌写真、詠む。
○撮影は台風7号一過の昨早暁、5時。「あかつき」のあとが「あけぼの」。花は桔梗。学名は Platycodon grandiflorum。英語名は balloon flower。訳して風船花。これは鉢植えもの。人間さまの都合で、伸びたい花を鉢に閉じ込めておくことに、いささかの咎めあり。しかし何といっても鉢は管理しやすい。 それにしてもきのうの暑さは尋常ならず。 少しばかり横文字の話。学名 P. g. は、花図鑑を調べると、g_rum, _ra, _rus と、各種花盛り。語尾 _on にかかる形容詞は _um がふつう。この花の場合も、一般的な中性形なので、_um だと思う(未確認)。英名で balloon は、英米人でもかな
り baloon と書いていることが、このブログの下調べをしている段階で、分かった。
だから日本の図鑑に baloon flower とあっても、無理はない。
○さて、わが一か月。ブログ(B)は、HPよりは簡単らしい様子と聞いて始めたが、
意外と奥が深いような気がする。Bに関してはまだまだ、ま~だまだの域。電網世界に限っても、古典短歌(万葉や古今新古今)のHPは汗牛充棟のありさま、現代短歌(口語三十一文字)のHPも負けず劣らず。し・か・し、である。両者を結ぶHPについては寡聞。それではさびしいじゃないか、というのがきっかけで、浅学非才をかえりみず、悠山人が登場した。新古今って、あんがい面白いじゃないの。これなら俺にも出来そうだ、私も挑戦してみようかな。そういうところから願いはひとつ。短歌嫌いな人、とくに若い人、古典・伝統・文語短歌「も」好きになって?!
今夜はひとりロマコンで乾杯・・・まさか?
□短写007 あかつきに ふうせんばなは をれもせず
        あらしにたへて はやさきゐたり


026 亡き人を花橘で

2005-07-28 07:00:00 | 新古今集

■親しかった人を偲ぶ気持ちが、自分にはいくらあったところで、いざ自分が死ん
だら、だれがそんなふうに思ってくれるだろうか。俊成さん、杞憂に終りましたね、
800年経っても電網世界でさえ、ますます人気者ですよ。
ところで、かおる・におう・かぐ、の使い分けは?

【補注】○藤原俊成(しゅんぜい、としなり、両読み)=皇太后宮大夫(こうたいごう
    ぐう だいぶ)。60歳過ぎて出家、釈阿(しゃくあ)と号。入集は72首。
【補説】平安神宮に入ってすぐ、左右に花木が相対している。右近の橘の説明文
    にこうあった。(去年秋確認)
    「橘は、蜜柑の仲間で唯一の野生種であり、その実は/古くから『常世の
    国』の不老長寿の妙薬として珍重された。/さつき待つ 花橘の香をかけ
    ば/昔のひとの 袖の香ぞする」(振り仮名略。「かけば」表記はそのまま)
    この有名な本歌「五月待つ花橘の香をかげば 昔の人の袖の香ぞする」
    は、古今集(夏、、読人しらず)と伊勢物語(60段)に登場。伊勢では女性
    の改悛の場に使われている。
    すぐあとの 0240 式子詠は、またまた妖しい雰囲気。
      かへり来ぬ昔を今と思ひ寝の 夢の枕ににほふ橘
    さらに 0242 慈円の「夜半のうたたねに花橘」、0245 俊成の娘の「橘のに
    ほふあたりのうたた寝」も、申し合わせたように、橘(の花香)と夢を結びつ
    けている。ここにも新古今歌人の五感統合の意図が、はっきりと見て取れ
    る。

* ブログ開設して、きょうで満一か月。背伸びしすぎないように自戒。

短歌写真006 空蔽ふ

2005-07-27 06:55:00 | 短歌写真

2005-0727-yts006
空蔽ふ黒風白雨の夜は明けて
半月ひとつ中天に見ゆ

○短歌写真、詠む。
○きょうの新古今をULして、薄明の庭へ出てみた。台風一過、さわやか。すっかり濡れた足元のウッドデッキに、何か白いものがちらついている。おやまあ、月が写っているんだ。空を見上げると、ほぼ天頂に半月。これは歌になりそうと、あわててカメラを持ち出して撮影。ほんとうは水面に映る残月が欲しかったのだが、やはり無理だった。ただの「月ぽっかり」では面白くないから、二階の張り出しを入れる。このあとPCで、月だけを何倍かの比率で嵌め込んだのが、この一枚。つまり月は、位置を変えないで、大きさだけを変えた、ということ。台風に変化をつけた言い方を、辞書でさぐる。(学研版「ことば遊び辞典」) 「台風」ではなくて「暴風雨」で、出るわ出るわ、雨脚・淫雨・陰雨・煙雨・・・と際限ない(実際は数十語)ほどに。黒風白雨(こくふうはくう)はそのなかから選んだ。「半月ひとつ」とは何だ、月は一つに決まっているじゃないか、という批評は想定内。調子をととのえるために、よく使われる手法である。
□短歌写真006 そらおほふ くろかぜびゃくうの よはあけて
           はんげつひとつ ちゅうてんにみゆ


025 飽きないで見て

2005-07-27 03:00:12 | 新古今集


■題詞に「五月(さつき)五日、薬玉(くすだま)を遣はして侍りける人に」。たっぷ
り楽しんだ春の花が散って、すっかり夏になった。と思ったら、おや、君の袖の薬
玉に色とりどりの花(造花)が残っているじゃないか。
結句を「袖の薬玉」としたあと、視覚・聴覚への効果を期待して、薬玉をコサージュ
としてみた。ブローチでもブーケでも花柄模様の服でも、現代の雰囲気が出る。あ
るいはまた、薬玉を残して夢の風景とする?
なお、コサージュはフランス語 corsage 由来だが、日本語では発音・意味ともに変
わっている。念のため。

【略注】○花のいろいろ=many colors + colored flowers と掛ける。
    ○源経信=大宰権帥(だざいのごんのそち、~そつ、両読み。九州地方
    副長官)。律令制では大宰府、今は太宰府などと表記。父は通方、子に
    俊頼。「博学多才ぶりは…公任とならび称された。」(小学版)
【補説】薬玉。①(小学版)「五月五日の[端午の]節句には、邪気・不浄を払うた
    めに、種々の香料を入れた美しい玉に、あやめの根を添え造花を飾り五
    色の糸の薬玉を、簾(すだれ)や柱や袖にかけた。」 ②(岩波版)「種々
    の香を入れた網の玉に菖蒲・蓬を添えた造花を結び、五色の糸を垂らし
    たもの。柱に掛けたり、腰につけ(糸を袖から肩に回して結ぶ)て邪気を
    はらう。」 [ ]内は引用者(悠山人)による。
    この風習が、「薬玉を割る」という慶祝行事として、現代に残る。
    さきほどのニュース(NHKラジオ、7月27日早暁)。米国の宇宙衛星打
    ち上げ成功、日本人飛行士の出身地では「クスダマを割って祝った」との
    報。

* 強力な台風7号。首都圏では、子の刻には一過無風。明日はこのブログ開
 設一か月。

024 気もそぞろもう

2005-07-26 04:45:00 | 新古今集

■世界史に名を残す才女が切ない愛を詠う、と設定する。また楽しからずや。

【補注】○時鳥=郭公(岩波版)、ほととぎす(新潮版)。不如帰。男に比すときは、
    浮気者。恋多き歌人たちの格好の鳥。字義どおりの鳥としても、Don Juan
    と見てもよさそう。新古今集では夏歌の巻に入っているが、「紫式部集」「千
    載集」では恋歌の扱いと。
    ○待ちぞわびにし=全集三本以外に、「待つぞわびしき」も。
    ○紫式部=藤原為時の娘。「源氏物語」の作者。その名に因んだ愛らしい
    紫の花木は、日本中の公園や家の庭で見られる。
【補説】源氏物語を電網で探る。そんな時代が来るとは、作者にとって夢のまた
    夢、にも出て来なかったはず。いま Google で、まず英語「Story of Genji」
    を入れると、なんと0.08秒で6万2千件余を検出したことが示される。その
    中に Tale of G., G_s Story, G_-Monogatari, なども入っている。次に独・仏
    語で「Geschichte Genji」「histoire genji」 と打ち込むと、Geschichte des(ま
    たは vom) Prinzen Genji, L’histoire de Genji , Le Genji Monogatari など、
    1万1千件。
    その中から一つだけ、珍しい国の最新ニュースを紹介しておく。
        http://www.rovaniemi.fi/?deptid=13343
    遠いフィンランドの Rovaniemi 美術館で、ことし4月から6月まで、「源氏
    物語-絵画と書道展」があった。(ロヴァニエミはラプランドの州都で、北
    極圏の入口の市。) これに合わせて茶席、書道・origami 指導なども催さ
    れたという。なんとも嬉しいかぎり。これなど、こうしてブログにでもしなけれ
    ば、マスコミからは全く伝えられなかった(知る限り)話である。

【資料】Chanson d'automne-P.Verlaine

2005-07-25 08:00:00 | literature

Chanson d'automne
  -Paul Verlaine

    Les sanglots longs
    Des violons
    De l'automne
    Blessent mon coeur
    D'une langueur
    Monotone.

    Tout suffocant
    Et blême, quand
    Sonne l'heure,
    Je me souviens
    Des jours anciens
    Et je pleure ;

    Et je m'en vais
    Au vent mauvais
    Qui m'emporte
    Deçà, delà,
    Pareil à la
    Feuille morte. 

http://www.toutelapoesie.com/poemes/verlaine/poemes_saturniens/
paysages_tristes/chanson_d_automne.htm


【memo】2006年10月17日条に ①「短歌写真234 ヴィオロンの」、②別URL 掲載。