入浴介助中。おばあちゃんとの会話。
「文藝春秋で、お笑い芸人さんの芥川賞受賞作を読んでいましたよね、面白かったですか?」
「面白かったよ。私、落語とか好きだから」
「そうなんですか。寄席とか行かれていたのですか?」
「ラジオで聴いていただけなの。」
「好きな演目とか、好きな噺家さんとか、おありですか?」
「そういうのはないの。ただ聴くだけなの。」
「あの~、今日、落語があるの、ご存じでしたか?」
「そうなの。行ってみようかしら。」
普段は、大概ベッドで休んでいるようなおばあちゃんが、なんと、開演1時間前であるにもかかわらず、エレベーターの前で待っていたのでした。
そんなわけで私は、内心こう思っていました。なぁ、可女次さん、こんなおばあちゃんだっているのだから、お願だから、つまんない落語だけは、やってくれるなよ。
送迎の時、会場の雰囲気、空気を、ちょっとだけ感じることができました。笑いが、いい按配に起きていました。うん、これなら心配なかろう、私は安堵したのでした。
「落語、どうでしたか?」
「うん、面白かったわよ」
私が言いたいのは、おそらく80歳は超えているであろうおばあちゃんが(ちなみに、我々の同業者の多くが、ご利用者さんの年齢を、あまり気にはしていないのではないでしょうか。というのも、肝心なのはADLなのです。ですから、年齢なんて、100歳を超えてようやく話題になるような、およそ、そんな感じなのです。)、若者の小説を面白く感じる感性を持ち合わせていることに、私は感動するのです。否、むろん、それだけではなく、落語を聴きに行かなかった彼だって、私の心の中のスーパースターだったりもする、そんな世界!
「文藝春秋で、お笑い芸人さんの芥川賞受賞作を読んでいましたよね、面白かったですか?」
「面白かったよ。私、落語とか好きだから」
「そうなんですか。寄席とか行かれていたのですか?」
「ラジオで聴いていただけなの。」
「好きな演目とか、好きな噺家さんとか、おありですか?」
「そういうのはないの。ただ聴くだけなの。」
「あの~、今日、落語があるの、ご存じでしたか?」
「そうなの。行ってみようかしら。」
普段は、大概ベッドで休んでいるようなおばあちゃんが、なんと、開演1時間前であるにもかかわらず、エレベーターの前で待っていたのでした。
そんなわけで私は、内心こう思っていました。なぁ、可女次さん、こんなおばあちゃんだっているのだから、お願だから、つまんない落語だけは、やってくれるなよ。
送迎の時、会場の雰囲気、空気を、ちょっとだけ感じることができました。笑いが、いい按配に起きていました。うん、これなら心配なかろう、私は安堵したのでした。
「落語、どうでしたか?」
「うん、面白かったわよ」
私が言いたいのは、おそらく80歳は超えているであろうおばあちゃんが(ちなみに、我々の同業者の多くが、ご利用者さんの年齢を、あまり気にはしていないのではないでしょうか。というのも、肝心なのはADLなのです。ですから、年齢なんて、100歳を超えてようやく話題になるような、およそ、そんな感じなのです。)、若者の小説を面白く感じる感性を持ち合わせていることに、私は感動するのです。否、むろん、それだけではなく、落語を聴きに行かなかった彼だって、私の心の中のスーパースターだったりもする、そんな世界!