■G資金異聞 潮流激る南沙（第363話） 発表1994年4月
評価 ★★★★★
依頼人 なし
ターゲット フォスター
報酬 なし
今回弾丸発射数 1／ 通算弾丸発射数 2,023
今回殺害人数 4／ 通算殺害人数 4,178
今回まぐわい回数 0／ 通算まぐわい回数 100
＜ストーリー＞
南沙諸島の領有権を巡り、『Ｇ資金』を後ろ盾とした開発話が流布される。Ｇ資金とは・・・？そして、ゴルゴの思惑は・・・？
＜この一言＞
Ｇ型トラクターについて”面談”とは、思わせぶりな呼びかけだ・・・
＜もう一言＞
俺のルールは知っているはずだ・・・依頼人に二度会うことを・・・俺は好まない！
＜解説＞
中国・台湾・ブルネイ・ベトナム・フィリピン・マレーシアが領有権を主張する南沙諸島。南沙諸島には世界消費量５０年分に相当する石油が埋蔵されていると言われ、各国が領有を目論み軍備を増強する動きを見せていた。この動きの背景には、『Ｇ資金』なる特定の国家に紐付かない２００億ドル（約２兆円）相当の資金の存在があり、領有権を確保した国家にＧ資金が投資されるという。
この噂を聞きつけた丸菱物産「山岸常務」は、かつての部下「藤堂伍一」に対し、ゴルゴに接触し噂の真偽を確かめて欲しいと依頼する。藤堂伍一は第54巻-2『穀物戦争 蟷螂の斧』、第54巻-3『穀物戦争 蟷螂の斧 汚れた金』に登場した人物で、ゴルゴとは因縁浅からぬ仲である。アメリカの新聞に『Ｇ型トラクターの設計・使用に面談の要有り』との広告を出した藤堂は、ゴルゴとの接触に成功。ゴルゴに噂の真偽を問う。
ゴルゴは『G資金投資案件』について自ら調査に乗り出し、武器商人「フォスター」がＧ資金をちらつかせて南沙諸島に隣接する国々に働きかけていることを突き止める。フォスターは南沙諸島の領有をネタに、東南アジアの緊張を高めることで武器需要を創造し武器利権を貪ると同時に、石油利権を確保しようと画策、さらにはゴルゴの支配をも視野に暗躍していたのである。
ゴルゴはＧ資金の消失をアピールするために、国連に対して”すべてを捨てし者”の名前で全財産２００億ドルを国連に寄付し、２００億ドルの寄付があったことを速やかに発表させ、資金の全てを自然環境保護活動に充てるよう通達する。
Ｇ資金の消失を知った各国首脳は、南沙諸島の独占をあきらめ、石油採掘を共同事業化することを決定。藤堂にはゴルゴより1億円の振り込みがなされる。全てを捨てたゴルゴは静かに姿を消すのであった・・・
ゴルゴ最終回として考えられたのでは？と思わせるほどの完成度を誇る作品。Ｇ資金なる架空資金（その資金が実在するところがまた凄い）をテーマに、練りに練られたストーリーが素晴らしい。２兆円をポンと捨て去るゴルゴの潔さも最高だ。藤堂とゴルゴの邂逅シーンも秀逸で、緊迫感溢れる両者の対話にしびれ、「Ｇ型トラクター」の新聞広告に思わずニヤリとしてしまう。トビラにある過去作の名場面集、最終項の点描で描かれた切ないゴルゴの去りゆくシーンを見れば、本作がゴルゴ最終話と言われても何の違和感もない。異色作でありながら名作の誉れ高い作品だ。
ズキューン
<script type="text/javascript"> </script> <script type="text/javascript" src="http://pagead2.googlesyndication.com/pagead/show_ads.js"> </script> <script src="http://www.google-analytics.com/urchin.js" type="text/javascript"> </script> <script type="text/javascript"> _uacct = "UA-792331-1"; urchinTracker(); </script>
巻掲載
巻（最新刊）
通算握手回数も載せると面白いかも。。。
記憶では初期に一度、インドのコンピューター技師がゴルゴに復讐する話で一度、ひょっとしたらもう一度あったかも知れません。
南沙諸島領土問題はいま注目の案件ですが、
これだけの先見性も示したことは面目躍如でしょう。
寄付の２兆円ですが、ゴルゴにとって痛くもかゆくもないはずです。
だってこれから稼げばいいだけですから。
ゴルゴは別に金を稼ぎたくて狙撃屋になったわけではありません。
もしそうなら、大赤字覚悟でタンカーや戦闘機を買ったりしません。
費用より仕事の達成が第一。
これこそゴルゴが超一流でいられた秘訣でしょう。
＞天然ガス換算で50年分の資源が確保
原子力に代わるエネルギーの調達が喫緊の課題ですね。日本近海に眠る資源開発となると、領土・領海問題の解決も必要です。いろいろとハードルが高い・・・
＞ゴルゴは、ジャーナリストとしても一流
ゴルゴは何をやらせても一流ですね。それにひきかえ、私と来たら・・・（苦笑）
それは、日本の近海に眠っているメタンハイドレートを掘り出す計画で、うまく掘り出すことができれば、天然ガス換算で50年分の資源が確保できるそうです。
＞不審に思う
確かにそうですね。
＞夫婦仲がギクシャクしなければ良いのですが
夫婦仲がギクシャクしてもいいので、100,000,000円の入金こないかな～（笑）
藤堂伍一氏は奥さんに一億円の出所を説明したのでしょうか？
普通に考えて、一般家庭にある日突然に一億ものカネが振り込まれたら、喜んだり感謝したり
するよりもまず、不審に思うのではないかと思います。事情を知らない奥さんからしてみれば
「このひと、もしかして何か悪いことでもやっているのでは…」と疑いの目でみても不思議は
ないと思います。
とはいえ出所はゴルゴ。藤堂氏は、いかに妻が相手でも説明はできないでしょう。
これが原因で夫婦仲がギクシャクしなければ良いのですが…w
＞゛テロリスト゛ゴルゴ１３が非暴力的手段で世界の秩序を守る、というクライマックスが実に良いです。
同感です。静かなエンディングが、最終回を想起させます。
＞藤堂さんとこの作物に舌鼓を打っているはず
ゴルゴは健康志向ですから、あり得ますね（笑）
゛テロリスト゛ゴルゴ１３が非暴力的手段で世界の秩序を守る、というクライマックスが実に良いです。
話は変わりますが…私はこの作品から、「ゴルゴの好物」が推測できるんじゃないかと妄想しています。
本作では゛農家゛となった「藤堂伍一」がゴルゴと会っていますが……。ひょっとしてゴルゴは仲介者を通じて藤堂の作る野菜や米を買い付けて、例の診療船で調理させて食べてるんじゃないでしょうか？！
おそらく藤堂はゴルゴにとって数少ない「顔の見える生産者」になり得る存在です！きっと食べ物にも気を使っているだろうゴルゴのこと、安心安全な藤堂さんとこの作物に舌鼓を打っているはず！！！
ゴルゴのことだから、絶対金額は間違えないでしょうが・・・家の口座に振り込んでくれないかな～宝くじ当たるより難しいか・・・
本エピソードで藤堂の奥さんはちゃんと「ゼロが一、二、三…や、八つっ!!い、一億円よっ!!」と言っていますよ(笑)ひょっとしてヒノさんのお手持ちの本、乱丁じゃないですか？(笑)
あ！そういえば奥さんのセリフに「い、一億円よっ！」が・・・(笑）
私自身も含め、桁の多い数字、ましてや金額の読みには注意ですね（反省）
本編中の奥さんのセリフに「い、一億円よっ！」とも書いてありましたので、賛美歌13番様の間違いではありません。
どちらかというと…見慣れない金額の数字を奥さんが読み間違えた…ってところでしょうかｗ
（ゼロが9個ではなく「数字が9個」なら1億円になるんですがね…）
＞、「ゼロが9個」だと1億円ではなく10億円なのではないでしょうか…。
ご指摘ありがとうございます。
１０億ですね！あまりの高額に桁も数えられませんでした。恥ずかしい・・・。早速修正致します。
私もこの話が好きで、何度も読み返しているのですが、一点気になるところが…。
最後、藤堂氏の奥さんが振込通知のゼロを数えて驚いていますが、「ゼロが9個」だと1億円ではなく10億円なのではないでしょうか…。
まあ、2兆円と比べれば大きな違いではないかもしれませんが！
＞武本サブロー班が描いたエピソード
脚本家、脚本チームごとの分類できていないんです。文庫版には確か、脚本が誰か記されているんですよね。文庫版は揃えていないのですが、脚本のＤＢ作成のために文庫本も揃えようか・・・などと夢想しています（笑）
＞奥さんは「穀物戦争」で随分苦労したのかな
ナイス着眼点！相当苦労したのだと思いますよ（笑）
奥さんは「穀物戦争」で随分苦労したのかなとか、色々思ってしまいました。
＞情報と、環境守った、２兆円
本文では触れませんでしたが、ゴルゴが環境問題に関心があるとは意外です。その割にはタバコのポイ捨てなどいただけない行いも目立ちます（笑）
２兆円ですか・・・ゴルゴンはどんな働き方をしているのでしょう？依頼料が１億だったとしても、２兆円稼ぐには２万こなさなければいけない・・・などと考えてはいけませんね。恐らく、世界各地に投資した資産の運用に大成功したのでしょう。
＞２兆円をポンと捨て去るゴルゴ
ゴルゴンにとっては、２兆円よりも“注目されることによって、自分の情報が広く知れ渡る事を防ぐ”方が重要だったのでしょう。
また、藤堂に“お礼”を忘れないところも良いですね。
本日の一句「情報と、環境守った、２兆円」