ゴルゴ13総合研究所『俺の背後に立つな!』

ゴルゴ13の全ストーリーを解説

ゴルゴ13第41巻-1蒼狼漂う果て

2007-01-25 03:37:52 | 第041巻~第045巻

■蒼狼漂う果て(第145話) 発表1979年1月

評価     ★★★★★

依頼人   ユダヤ国民基金ジュネーブ支部長 五島政之

ターゲット  五島秀之の警護

報酬     不明

今回弾丸発射数      8/ 通算弾丸発射数 937

今回殺害人数        8/ 通算殺害人数   833

今回まぐわい回数    0/  通算まぐわい回数  71

<ストーリー>
中国・ソ連・アフガニスタン国境で被爆した遊牧民が保護された。その遊牧民は2.26事件の生き残り。果たして彼はゴルゴの父親なのだろうか・・・

<この一言>
・・・それがユダヤ的発想というものか・・・”氏より育ち”とはよくいったものだ・・・

<解説>
『日本人・東研作』(第14巻-1)『芹沢家殺人事件』(第27巻-1)『おろしや間諜伝説』(第36巻-1) に続く、ゴルゴ出生の謎に迫る「ルーツもの」第4弾。

中国・ソ連・アフガニスタン国境で被爆した遊牧民がモサドに保護された。彼の名は「シエイク・ゴトー」、本名「五島秀之」。核実験の証拠を隠滅するために中国は秀之を抹殺にかかる。モサドより連絡を受けた息子の「五島政之」は、ユダヤ国民基金ジュネーブ支部長。政之は、父・秀之を自身の屋敷に匿い、ゴルゴに警備を依頼する。ゴルゴが中国系工作員の攻撃をブロックする中、政之は父・秀之の波乱に満ちた人生と別れた兄「貴之」のことを聞かされる。この場に同席した日本人ジャーナリスト「竜造寺」は、、先輩ジャーナリスト「長田」にゴルゴの活躍を聞かせるが、長田は、五島貴之こそがゴルゴ13ではないかとの疑念を持つ。
         
[五島貴之プロフィール]
1936年  五島貴之の父「五島秀之」少尉、2.26事件に参加。
       父・秀之は自身の出自が中国人の母と日本人の父であることを知る。
       父・秀之、満州にわたり、馬賊の群に身を投じる。
1937年頃 父・秀之、ロシア ロマノフ王朝末裔の「ソフィア」との間に「貴之」をもうける。
1944年頃 貴之、拳銃の射撃を始める。初めての戦闘で10名を殺害。
不明    その後、父・秀之とともに、イスラエルに渡る。
       父・秀之はスペイン系ユダヤ人「クラチナ・メンデス」との間に「政之」をもうける。
       貴之、ニューヨークに渡った後、行方不明

※五島貴之=通算弾丸発射数10/通算殺害数10/通算まぐわい回数0

五島貴之のエピソードとして、「乗馬・射撃・格闘技に天賦の才を持って」おり、「7歳から射撃・乗馬を始め」たことが記されている。ルーツ的には、日本人の血(1/4)+中国人の血(1/4)+ロシア人の血(1/2)であり、日本軍人と清朝とロマノフ王朝の血筋を継いでいるのが、いかにもゴルゴの出自に合致しているような気がする。

ゴルゴは原則として「警護」業務を引き受けない。ゴルゴ=「五島貴之」であるとすれば、今回の依頼は自分の弟「政之」からの依頼で父「秀之」の警護を引き受けたことになり、原則を曲げたことの理由付けとなる。依頼を引き受ける際のセリフ「・・・それがユダヤ的発想というものか・・・”氏より育ち”とはよくいったものだ・・・」というのも、思わせぶりだ。さらに「五島(GOTO)」と「東郷(TOGO)」がアナグラムになっていること、英語風の発音「takaYUKi」と「DUKe」の発音が近いことも、ゴルゴ=五島貴之説を裏付けているのではなかろうか。ゴルゴの出自を探りに行った竜造寺が消息を絶ったのも怪しい。

しかし、ゴルゴはたとえ血縁関係のあるものであっても、自身の出自を知る者は生かしておかないであろう。今回の例でいうと、もし、ゴルゴ=五島貴之であれば、父・秀之が過去を語る前に始末をしてしまうに違いない。
考えれば考えるほど謎の深まる本作。信憑性も高いのだが、決定打にも欠ける悩ましいルーツものだ。

ズキューン

ゴルゴ13 (41) 巻掲載
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21 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
初めまして。 (ゴルゴ30)
2007-01-28 17:38:24
初めまして。
僕もこの「蒼狼漂う果て」が一番信憑性の高いものだと思っています。
あと、ゴルゴ13が日本名を使ったときに「東郷鷹司」と名乗っていた(はず)こと、何巻か忘れましたがゴルゴのルーツを調査した研究者たちが出した結果が「日本・中国・ロシアの血を引いている」ということ(これも曖昧ですが・・・)から考えて、僕はゴルゴ13は「五島貴之」であるのかと思います。
乱文ですが、コメントとさせていただきます。
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ゴルゴ30さん、こんばんは。コメントありがとう... (賛美歌13番)
2007-01-29 00:13:02
ゴルゴ30さん、こんばんは。コメントありがとうございます。

ルーツものはどれも「それらしい」話ばかりで、やきもきさせられます。ゴルゴ=「五島貴之」説とすると、本作のゴルゴの行動は肉親に対する思いがにじみ出ているような気がします。う~ん、悩ましい・・・
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この作品を初めて読んだ後に「うわっ!これが正解... (パトリック三平)
2011-02-22 17:18:09
この作品を初めて読んだ後に「うわっ!これが正解だ…」と思ってしまいました。ルーツものの中でも一番信憑性が高いと…。
ゴルゴが掟破りのボディーガード、「氏より育ち」発言、行方不明になる龍造寺…。
しかしながら政之は殺されたという記述は無いし…そもそも龍造寺は行方不明であってゴルゴに消された確証も無い…。
否定するにも肯定するにもヒントがあって本当に複雑な気分にさせられます。
しかしながら私は本作が正解だと思い込むことにしています。証拠にはなりませんが、依頼を遂行した後のゴルゴが秀之達のいる部屋を見上げている時の表情。そして帰国後、長田と話す龍造寺の背後に浮かぶ、秀之・政之・ゴルゴの揃いのアップが、この三人の血縁関係を静かに主張している気がしてたまらないからです…。
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パトリック三平さん、こんばんは。 (賛美歌13番)
2011-02-27 22:08:40
パトリック三平さん、こんばんは。
いや~、このルーツ編、悩ましいですね。何度読んでも飽きがきません。
>、秀之・政之・ゴルゴの揃いのアップが、この三人の血縁関係を静かに主張している気が・・・
意味深ですね~
久方ぶりに新しいルーツもの発表して欲しいです!
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こんばんは賛美歌13番さん、脚本分析家のマリヨ... (マリヨ神父)
2011-02-27 23:20:59
こんばんは賛美歌13番さん、脚本分析家のマリヨ神父です(笑)
本エピソードとは全然関係ないのですが、新しいルーツ編情報を一つ(笑)
本誌451話『亜細亜の遺産』本誌452話『亜細亜の遺産その後』(単行本未収録、別冊ビックNO164収録)と言うルーツ編が恐らく次の単行本160巻あたりで登場すると思います。どちらかと云うと『おろしあ間諜伝説』的な感じで、あとは見てのお楽しみですね(笑)
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うーん、今晩も寝つきが悪いマリヨ神父です(笑) (マリヨ神父)
2011-03-04 03:46:57
うーん、今晩も寝つきが悪いマリヨ神父です(笑)
ハハハ!4月発売の第160巻のタイトルは『亜細亜の遺産』だぁ!
予言ピッタリ(笑)
返信する
マリヨ神父さん、こんばんは。 (賛美歌13番)
2011-03-06 22:11:10
マリヨ神父さん、こんばんは。
コメントが遅くなり、申し訳ありません。
うおっ!あらたなルーツものが読めるんですか!
しかもタイトル的中!!
マリヨ神父さん、実は関係者?(笑)
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こんばんは賛美歌13番さん、マリヨ神父です (マリヨ神父)
2011-04-15 23:39:28
こんばんは賛美歌13番さん、マリヨ神父です
おっこのエピソードへのコメント三回目だ!そろそろ脚本分析家らしい事を書かねば(笑)
そもそも五島秀之が発見されたのは、某国の核実験か原子力発電所の事故(!)による被爆(!)です
ここには裏のテーマとして核による被爆への問題提起があります。
安易な核の利用による多方面へ影響、こういう核の問題提起が好きな脚本担当は勿論きむらはじめです。
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マリヨ神父さん、こんばんは。 (賛美歌13番)
2011-04-18 23:44:52
マリヨ神父さん、こんばんは。
>安易な核の利用による多方面へ影響、こういう核の問題提起が好きな脚本担当は勿論きむらはじめです。

おお!核・細菌兵器のみならず、ルーツ編も脚本作成しているとは、きむらはじめ氏は着想が豊かですね。
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apple のパソコンが倉庫に山積みになっていた話を... (kk)
2011-10-06 12:01:50
apple のパソコンが倉庫に山積みになっていた話をご存知でしたら、教えて下さい。パソコン創世記の頃だと思います。メールを頂けたら幸いです。よろしくお願いいたします。
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