■総統の揺りかご(第441話) 発表1999年6月
評価 ★★
依頼人 サイジル製薬エヴァンジェリン・ヒンクル副所長
ターゲット 研究所内コールドルーム内液化窒素タンクのバルブ
報酬 不明
今回弾丸発射数 2/ 通算弾丸発射数 2,382
今回殺害人数 15/ 通算殺害人数 4,680
今回まぐわい回数 0/ 通算まぐわい回数 109
<ストーリー>
ヒトラーのDNAから、ヒトラーのクローンが誕生する?ナチスを信奉するマッドサイエンティストの野望をゴルゴは・・・
<この一言>
俺の質問にお前は、まだ答えていない。
<もう一言>
冷静になれ・・・静かに話すのだ・・・
<さらに一言>
俺の”仕事依頼”に必要なのは・・・”真実”だ・・・
<解説>
ベンチャー製薬会社『サイジル製薬』は独自のインポテンツ治療薬を開発し、シェアを伸ばしていた。サイジル製薬研究所の副所長『エヴァンジェリン・ヒンクル』は、ゴルゴに接触、自社の研究所の狙撃を依頼する。
ゴルゴに狙撃理由を問われたヒンクルは、弱いアメリカへの絶望と強さへのあこがれが、極右思想へと昇華しナチス信奉が研究所ではびこっていることを訴える。ナチスに傾倒しているサイジル製薬社長『ダニエル・ドッジ』は、ヒトラー愛用のブラシを入手、ブラシに付着した毛根細胞からヒトラーのDNAを抽出に成功した。ヒンクルの卵子とドッジの精子を人工授精させた受精卵にヒトラーのDNAを組み込み、ヒンクルを母胎としてヒトラーのクローン誕生を目指しているというのだ。
しかし、ヒンクルは母性に目覚めドッジとの結婚を望んだが、ドッジはこれを拒否。ヒンクルをクローン誕生の母胎としか考えないドッジに失望したヒンクルは、受精卵とともに研究所を爆破することをゴルゴに依頼したのであった。ゴルゴは研究所の外部から、液化窒素のタンクを狙う。液化窒素が漏れて液化酸素に置換された後、二発目の弾丸を撃ち込み、研究所もろともヒトラーのDNAを爆破する。
クローン人間をテーマにした作品。ナチスとは因縁深いゴルゴであるが、ヒトラーのクローン製造を拒むとは・・・。出来れば、クローン・ヒトラーとゴルゴの直接対決を見たかった、と言ったら不謹慎か・・・。
ゴルゴが回転する換気扇の羽根と羽根の間隙を狙撃する際、必要となる弾丸の速さを速算しているが、検証してみる。
『直径30センチの換気扇の羽根が、1秒に2回転・・・』
→1秒間に720度 ・・・①
『羽根の隙間は10度、外周部を狙った場合にブレット(弾頭)がしめる幅は2度』
→羽根に当てることなく、隙間の両端に2度ずつの余裕を持たせると、
通過可能な隙間は6度 ・・・②
①②より、弾丸が通過する6度の隙間が動く時間をx秒とすると、
1秒:720度=x秒:6度
x秒=6/720=120分の1秒
『120分の1秒の間に、厚さ5センチの羽根を長径1.2センチのブレットが通過し終えればいい』
→必要なブレットの速さをy(センチ/秒)とすると
y=(5+1.2)/(1/120)=744(センチ/秒)
『秒速7.5メートル以上の速度があれば狙撃が可能という事か・・・』
→744(センチ/秒)≒7.5(メートル/秒)
(Q.E.D)
ズキューン
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ゴルゴンが行った計算・・・暗算でするのは、私にはキツいですが、ゴルゴンにとっては朝飯前でしょうね。
本日の一句「ヒンクルが、逃げなかったの、なぜだろう?」
>暗算でするのは、私にはキツいです
ゴルゴが言っていることを理解しようと、紙と鉛筆を手に1時間ほど考えました。
普段使わない脳みそを酷使したせいか、脂汗をかき、知恵熱が出ました(汗)
彼女は最初から愛するドッジ共々我が子(になるはずだった受精卵)と"心中"するつもりだったのでしょう。ある意味では、女性の情念とはかくも恐ろしいものかといえる話かも。
ところで、"ヒトラーのクローン"というのはクローン人間の危険性についての議論でよく出される仮定の一つだと思いますが、仮に本当にヒトラーのクローン人間を生み出せたとしても、それが史実の独裁者ヒトラーとまったく同じ人間に育つかというと必ずしもそうではないわけです。人間の個性や性格の形成は育った環境や与えられた知識等にも左右されるものだと思いますから。
本作はそこまでは踏み込んでいませんが、同じくクローン人間をテーマにした後発エピソードの『百人の毛沢東』では"クローン人間をオリジナルと同じに育てる"というテーマを奇想天外な筋立てで描いており、ある意味では本作の対比となる話かも。
ペロさんの疑問にお答えいただいて、ありがとうございます。
>女性の情念とはかくも恐ろしい
思い当たるフシあります(苦笑)
>『百人の毛沢東』では"クローン人間をオリジナルと同じに育てる"というテーマを奇想天外な筋立てで描いており、ある意味では本作の対比となる話
なるほど~鋭い分析です!
>人間の個性や性格の形成は育った環境や与えられた知識等にも左右される
クローンではなく、私自身の人生をもう一度違う環境でやり直したい!と思うことがあります(苦笑)
高嶋哲夫さんの『命の遺伝子』に登場してた…
ストーリー的にはいまいちな作品だけど、
雰囲気がゴルギー。