■アンコールの微笑(第320話) 発表1991年3月
評価 ★★★
依頼人 ユネスコ
ターゲット 香港の貿易商「チョウ・イーソー」/盗掘一味のブレーン
報酬 不明
今回弾丸発射数 5/ 通算弾丸発射数 1,754
今回殺害人数 4/ 通算殺害人数 3,910
今回まぐわい回数 0/ 通算まぐわい回数 95
<ストーリー>
カンボジア・プノンペンのアンコール遺跡は、盗掘が繰り返され文化遺産が荒れる一方であった。遺跡保護を推進するユネスコは・・・
<この一言>
一つ、確認しておくが、標的のチョウに渡ったレプリカの罠は・・・間違いなのだな・・・?
<解説>
カンボジア・プノンペンから240キロ。そこには東洋最大の石造遺跡であるアンコール遺跡が遺されている。しかし、遺跡の風化、度重なる戦乱に加え盗掘が相次ぎ、遺跡は荒れるがままになっていた。
考古学者「モーア」教授は、ユネスコから派遣されアンコール遺跡の保護活動にあたっていた。旧友の「ジャマン」とともに遺跡保護にあたるモーアであるが、その間にも盗掘一味により貴重な石像が奪われてしまう。
ジャマンは盗掘一味の黒幕である香港の貿易商「チョウ・イーソー」を罠にはめることを企てる。その存在が記録されているものの、未だ発見されていない”東洋のビーナス”像が発見されたとの偽情報を流し、”東洋のビーナス”のレプリカをチョウに盗ませ、その一部始終を記録して公開する作戦にでる。しかし、ジャマンは作戦途中にチョウの部下によって殺されてしまう。ユネスコはゴルゴにチョウの殺害を依頼するが、モーア教授はゴルゴへの殺害リストに、チョウに考古学的知識を授けるブレーンの殺害を加えるよう進言する。
ゴルゴは屋敷に隠れたチョウを殺害した後、東洋のビーナスを発見したというモーア教授の息子「ジャレット」の会見場に訪れる。モーア教授らは東洋のビーナスのレプリカに赤外線に反応するクロロフィル溶液を塗ることで偽物の証拠を残していた。ゴルゴはジャレットが発見したという東洋のビーナスが、モーアの作成した偽物であることを確認した後、ジャレットがチョウのブレーンであると判断し、ジャレットの眉間を射抜く。モーア教授は実の息子の殺害依頼をしたことになったのである。
本作は1991年発表であるが、翌1992年アンコール遺跡は世界遺産に登録される。また、本作では新発見に重きを置いた考古学のスタンスに疑問を呈しているが、2000年に日本で「旧石器捏造」事件が発生。ゴッドハンドの異名を持ち新発見を連発させていた学者が、実は自分で埋めていた偽石器を掘り返して新発見としていた自作自演が発覚した事件は、記憶に新しい。いずれも、本作の内容を歴史が追従することになり、ゴルゴシリーズのテーマの広さが伺われる。
ズキューン
<script type="text/javascript"> </script> <script type="text/javascript" src="http://pagead2.googlesyndication.com/pagead/show_ads.js"> </script> <script src="http://www.google-analytics.com/urchin.js" type="text/javascript"> </script> <script type="text/javascript"> _uacct = "UA-792331-1"; urchinTracker(); </script>
考古学者に限らず、学者は新発見や新発明による“名誉”に目が眩むようなになってはお終いですね。
ジャネットに関して言えば、「もし盗掘の片棒を担いでいたことが知れ渡り、“生き恥”をさらすことになったら」ということを考えれば“死”という結末がよかったのかも知れませんね。
本日の一句「目の前の、成果に眩む、曇った目」
>目の前の、成果に眩む、曇った目
ペロさんの本日の一句、深いですねぇ。学者に限らず、私たちの日々の生活でも目先にとらわれてしまいます。「曇った目」になりがちな自分を反省!
回想シーンでジャマンが先進国による文化遺産の略奪行為を厳しく批判していますが,では文化遺産の保存はもともとの所有国に任せるのが全面的に良いかと言うと,そうとも言えないケースが少なからず見られますね。
文化大革命然り,今作で紹介されたアンコール遺跡の盗掘然り,日本においても高松塚古墳内の壁画の大規模な損傷等という例が見られることは残念です。
>遺産の保存はもともとの所有国に任せるのが全面的に良いかと言うと,そうとも言えないケースが少なからず見られますね。
なるほど~難しいテーマですね。確かに高松塚古墳内の壁画の失敗のニュースに触れたときは、”何をやっているのだろうか?”と思いました。一方で、例えば日本の寺院・神社の修復をを由緒ある宮大工に任せるのではなく、外国人の修復チームに任せるとなると、ちょっと違うよな~という感じを受けますね。