■2万5千年の荒野(第223話) 発表1984年7月
評価 ★★★★★
依頼人 ①不明 ②ヤーマス発電所安全課長コモン・バリー技師
ターゲット ①G&E社会長 兼 NRC(原子力規制委員会)理事長リーバマン ②原子炉内パイプ
報酬 ①不明 ②$500,000
今回弾丸発射数 2/ 通算弾丸発射数 1,313
今回殺害人数 1/ 通算殺害人数 1,390
今回まぐわい回数 0/ 通算まぐわい回数 79
<ストーリー>
ロス北方80キロ-南カリフォルニアの原子力発電所でメルトダウン事故の危機。放射能漏れが危惧され一刻の猶予もない状況の中、ゴルゴが取った行動は・・・
<この一言>
なら・・・俺の仕事は終了だ・・・
<解説>
ロサンゼルス北方80キロの南カリフォルニアのG&E社のヤーマス原子力発電所。安全課長コモン・バリー技師は再三に渡り工事期間の延期を提言したが、政治的思惑が優先し期間延長は認められず、運転が開始された。運転開始直後から原子炉内の温度と圧力が異常上昇、原子炉は制御不能の状態に陥り、メルトダウン(燃料棒溶融)事故発生の危機を迎えた。メルトダウン発生の暁には、広島型原爆の200倍から400倍の放射能が放出され地表・川・海・大気を汚染、生物の住めない環境をもたらす。タイトル『2万5千年の荒野』は原子炉から排出されるプルトニウム239の半減期が2万5千年であることに由来している。
ゴルゴの神業的な狙撃を目撃したバリーは、メルトダウンを防ぐにため原子炉内のパイプを狙撃して詰まった蒸気を逃がすことを思いつき、ゴルゴへ原子炉内での狙撃を依頼する。依頼内容・環境条件は下記の通り。
・放射能のもれた原子炉の中で、厚さ40ミリのパイプの1点を撃ち抜く
・蒸気がたち込めていて、的がよく見えない
・被爆の可能性あり
・原子炉内の状況によっては1週間後に死ぬ確率は50%
・軽い被爆でもガンや白血病にかかる可能性大
・子孫にまで影響を及ぼす
ゴルゴは淡々と仕事を引き受け、バリーの仲間達が原子炉内で足場を作る作業を黙々と見守る。図面を頭に刻み込み、バリーとともに原子炉内に飛び込んだゴルゴは蒸気で視界が遮られたまま、記憶を頼りに見えないパイプを撃つ。狙撃の成功とメルトダウンの阻止を確信したバリーは、原子炉と共に命を投げ出すことを伝えると、ゴルゴは黙ってバリーのタバコに火をつける。ガイガーカウンターが鳴っているにも関わらず、命を賭した男に対し弔いを捧げるゴルゴの男気が熱い。
原発と政治利権の絡み、原発メーカーと原発規制組織が表裏一体であることの弊害、エネルギー政策・原発政策の在り方、ヒューマン・エラーへの警鐘など、今日もなお解決されていない問題が本作では提示されている。本作は1984年7月の発表であるが、1986年4月にチェルノブイリ原発事故が発生。あたかもチェルノブイリを予言しているかのような内容に驚かずにはいられない。
ズキューン
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ゴルゴの男気に感激!(管理人さんの文才にも感激)
この話はゴルゴの男気とバリーの熱血漢ぶりがいい味出してますね。銀行の金庫に受領証を置いていくバリーの誠実さも笑えます。
そうか、発表はチェルノブイリより前なんですね。
改めてゴルゴ13の社会性の高さに脱帽です。
>ゴルゴ13の社会性の高さに脱帽です
時事問題、国際政治問題はゴルゴで学びました(苦笑)
コメントいただきまして、ありがとうございます。
>この話はお気に入りの一つです
何回読み直してもいい話ですね(しみじみ)・・・
最後の博士?の言葉「では、私たちはどうすればいいのでしょうか?」の答えを私たち人類は見つけきれていない気がします。
日本でも、柏崎の原発は地震の後、まだ、止まったままですから。
それではまた(^O^)/~
>「では、私たちはどうすればいいのでしょうか?」
答えを出せないですね・・・。この作品の問いかけるもの、重いです。
同じくアメリカで起きた原発事故
(1979年スリーマイル島メルトダウン)よりはずっと後なので
読んだ当時はそう驚くことはなかった
描かれた時勢は社会党ブームが湧き上がっていた頃に該当し
原発そのものよりも
「米国がスリーマイル島以来原発開発を凍結したのになぜ日本はそうしないのか」という
日本政府を批判した創作の一点として受け取った
しかし
オウムテロが起き阪神大震災が起き
社会党は現実に対応できずあっさりと国政を追われ
日本政府は粛々と原発を維持し
石油が高騰し米国バブルがはじけたいま
日本の原発技術は世界のエネルギー危機を救う力として不可欠になりつつある
危険があるからといってそれだけで放り出すわけにはいかないことがある
人は知恵でその危険と向き合っていかなければならないのだ
>危険があるからといってそれだけで放り出すわけにはいかないことがある
人は知恵でその危険と向き合っていかなければならないのだ
上記に引用した文、心に染みいりました。”危険”を別の言葉、例えば”問題”、”悩み”などに置き換えると、背筋を伸ばして真摯に進まなくては、という気持ちになります。