■裏切りのスワスチカ(第210話) 発表1983年11月
評価 ★★★★★
依頼人 ローゼン・マクシミリアン(元ドイツ第三帝国副総統ルドルフ・ヘス)
ターゲット 外務省安全保障担当補佐官リヒャルツ・ゼル(元チベット兵支援部隊隊長グルカ)
報酬 500,000マルク
今回弾丸発射数 2/ 通算弾丸発射数 1,295
今回殺害人数 1/ 通算殺害人数 1,371
今回まぐわい回数 0/ 通算まぐわい回数 78
<ストーリー>
ヒトラー日記は存在するのか?服役中の元ナチス副総統ヘスは替玉か?脈々と続くナチスの疑惑に迫る問題作・・・
<この一言>
わかった・・・依頼を引き受けよう・・・ルドルフ・ヘス・・・
<解説>
ドイツ外務省安全保障担当補佐官リヒャルツ・ゼルが襲われた。犯人はその場で射殺されたが、手の甲にはチベットのシンボル正鉤十字マーク「スワスチカ」の刺青が。後日再び襲われるゼルであるが、襲撃したチベット人の最期の言葉は「グルカ」であった。
ヒトラーとその側近ヘスの思想的指導者はミュンヘン大学のカルル・ハウスホーファーであったが、ハウスホーファーに影響を与えたのがチベットで修行中ゲオルギー・イワノのビッチ・グルジェフであった。チベットの正鉤十字スワスチカを元にナチスの逆鉤十字がデザインされたという。
第二次世界大戦末期、チベット人支援部隊はドイツにてソ連軍を迎え撃つが、隊長のグルカは敵前逃亡、チベット人兵1500人が全滅した。グルカはヒトラーの日記を持ち出し、戦後はゼルと名前を変え官僚として地位を固めていたが、チベット人に正体を突き止められ狙われていたのである。チベット人にゼル殺害の指示を出していたのが、ローゼン・マクシミリアンであるが、チベット人ではゼルを殺害できないと考え、ゴルゴにゼルの殺害を依頼する。別れ際、マクシミリアンはゴルゴに正体をヒトラー側近のヘスと見破られる。戦犯容疑で服役中のヘスは替玉で、本物のヘスは第三帝国復興を脈々と目論んでいたのであった。
ゴルゴとヘスの待ち合わせ場所がレンバッハ美術館だったり、グルジェフの予言「世界を操る裏切り者が東洋人の手によって地獄の報復を受けるであろう」が引用されているように、細かな演出が凝っている。ナチスの思想背景や歴史的考察もなされており、読み応えのある作品。ネオ・ナチとの闘争を繰り広げるゴルゴであるが、オリジナル・ナチスのヘスからの依頼を受ける本作は重要な意味を持つと言えよう。
ズキューン
ゴルゴ13 (61) 巻掲載
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