ZARDの「負けないで」を聴きなおして・・・

2016-10-09 08:37:16 | 音楽の思い出

あのZARDの坂井泉さんの作詞が、

今強烈な印象となって残ってきます。

以前「負けないで」を聴いた時とは

違う感慨があるのです。

今は亡き(他界された)坂井さんの言葉に

込めた思いに感動しています。

おそらく言葉の持つ力を信じ、作詞活動で

その力を最大に発揮できるよう、適切で

心を揺さぶるワードを命を削りながら

探し抜き歌に魂を込めてきたような気がします。

そんな彼女がしたためた「負けないで」の歌詞には、

随所に、真剣に人を愛し

生きる姿が投影されています。

その中にこんな歌詞があります。

♪ 何が起きたってへっちゃらな顔して

 どうにかなるサと おどけてみせるの ♪

という1節があります。

この部分、私の心に深く刻まれました。

ここは、昔だったら単なる楽観主義で

いようよという逃避のメッセージにしか聞こえなかった

と思います。

しかし、今は、心に悩みや苦しみを抱えて

平静を装う難しさを感じながらも、それでいて

凛として笑顔を相手に見せられるくらいの強さを

演技でいいからしようよ、という風にとれました。

つまり、苦しさから逃げるのではなく抱え込んで

受け止めたまま、”おどけてみせる”姿勢を

見せるのが人として重要だというメッセージに

受け取れたのです。

こんな姿勢は、自分のためではなく、

相手(恋人など)にいい影響を与え

安心させてあげられるという心遣いから

きていると感動してしまいました。

おそらく坂井さんは、”おどけてみせる”という

言葉にたどり着くまでに、物凄い数の語彙を試して

あてはめてきたと想像します。

その中から選んだ”おどける”という言葉。

洗練されていて魂が込もっているなぁ、と

感心してしまいました。

うみの苦しみから探し抜いた言葉という

感じがしてなりません。

こころを込めて言葉を選び抜いているから、

感動が呼び起こされるのでしょう。

こころが込もっていなければ、ただの言葉遊びで

終わってしまいます。

このような彼女の熱のある作詞に織田哲郎さんの

曲がコラボし、名曲が生まれたんですね。

甲子園の高校野球全国大会の行進曲(開会式)にも

選ばれたエールの音楽となりました。

それとひとつ坂井さんの歌詞の中で好きな

表現があります。

それは、季節を表すのに、色(色彩)を

活用している点です。

「負けないで」の中では、♪パステルカラーの

季節に恋した・・・♪という詩があります。

単に夏と言わずに、パステルカラーといった

表現がイメージをかきたてますね。

夏の海辺のビーチパラソルを思い浮かべる

人もいるでしょう。スイカやかき氷を

思い浮かべる人もいるでしょう。

べたに夏と言わずに、想像を掻き立ててくれる

詩はお洒落ですね。

最後に、「負けないで」というタイトル。

これにも深みを感じました。

相手に勝ったり、壁を乗り越えるのではなく、

自分に負けないで! という応援メッセージに

した点です。

人生諦めたり、自分自身に負けることが一番の

不幸だというメッセージ。

エールを贈る彼女が、贈られる彼に対して

一番愛情を込めたメッセージだと思います。

苦しみながら諦めずに楽しむ・・・

そんな喜びと感動を巻き起こす人生哲学を

タイトルから感じ取れたのが嬉しかったです。

まだまだ書きたいことはありますが、

若くして他界された坂井さん。

素敵な詩を書かれ、名曲を残して 

いただいたことに「有難うございました」と

言いたいです。

こんな魅力があるから音楽から

離れられないんですよね。