モーツァルトのピアノ曲には、シンプルで分かりやすい
感じやすいものが多いと思いますが、ピアノソナタ8番は、
その典型的な曲ではないでしょうか?
第1楽章は、ある意味、とてもポップで小走りに走っていく様が
イメージできます。
ただ、演奏者によって解釈と言うか、シンプルな曲調の割には
表現方法もかなり違ってくるのも特徴としてあるような気がします。
1つは、鍵盤を強めに叩きながら元気のよさを出して
走り回る子供に言い聞かせている父兄の姿も浮かんでくるような演奏です。
また、もう1つは、鍵盤をなでるようにソフトに押さえ、音の連鎖によって
蔦のからまるようなイメージが湧いてくる演奏。
どちらもモーツァルトらしい曲作りだと感じますが、個人的には、
後者のほうが好きです。
時が移り変わり、過去から現在、そして未来へと、自然界の花も
植物も川も海もめくるめくように変化していく様が表現されていると感じるためです。
本来、自然の移り変わりは、ゆっくりだったり突然だったりと、さまざまです。
そんな営みが音で気持ちよく表現されていると感じるのです。
何でもいいと思います。目を閉じて、自分の中でイメージが湧いてくるものを
思い浮かべながら聞き入ると、楽しくなれる曲だと思います。