極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

こうしてパンデミックははじまった②

2020年06月29日 | 時事書評



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救った
と伝えられる "招き猫”と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦
国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編成のこ
と)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクター。愛称「ひこに
ゃん」


                                         
14 憲 問 けんもん
-----------------------------------------------------------------
「士にして居を懐(お)うは、もって士となすに足らず」(3)
「貧にして怨むことなきは難く、富みて馴ることなきは易し」(11)
「古の学者はおのれのためにし、今の学者は人のためにす」(25)
「君子は、その言のその行ないに過ぐるを恥ず」(29)
「人のおのれを知らざるを患えず。おのれの能無きを患う」(32)
-----------------------------------------------------------------
1 原憲(げんけん)
が、君子の恥とすべきは何かとたずねた。孔子は
答えた。「有道の時代には仕官して大いに活躍するがいい。しかし、無
道の時代でも一向平気で官途につく、これは恥ずべき生き方だ」
〈有道、無道〉

憲問恥、子曰、邦有道穀、邦無道穀、恥也。
Yuan Xian asked about shame. Confucius replied, "You can serve a
country when it is in order. It is shame to serve a country when
it is in disorder."
【ウイルス共生描論29:こうしてパンデミックははじまった②】
🖰オンライン化で盆施餓鬼供養!

  あかもん 宗安寺チャンネル



 新型ウィルスの流行で、ご不自由な毎日ではと、お察し申し上げま
 す。宗安寺も感染防止を考え、本年はお盆のお施餓鬼法要を寺内僧
 と役員でお勤めし、法要はインターネットで配信することに致しま
 した。そして、お塔婆(とうば)はお申込みされた方に返信封筒を
 つけてお送りし、十八日の法要で読み上げるように致しました。例
 年と違う仕方で執り行い、御面倒なことと存じますが、何卒ご理解
 の程、お願い申し上げます。八月十八日(火)午後四時~八時に寺
 方で奉修法要はパソコン・スマホで拝めます。 
               盆施餓鬼(ぼんせがき)のご案内 

この案内で、宗派領域で「デジタル社会」の進展を実感する。神道、仏
教など大きく影響していくことを確認する。
        


ところで、ドナルド・トランプ大統領は、新型コロナウイルス(正式名
称は「SARS-CoV-2」)のことを「見えない敵」と呼
んだが、このウイル
スの直径は0.000003インチ(約0.0000076cm)。英国の物理学者ジョゼフ・
ジョン・トムソンは1897年、あまりに小さく測定不可能な粒子である電
子を発見し、30年後、科学者たちは電子が粒子であると同時に波でもあ
り、磁石を使うことでこの波を曲げられたことが発見され、電子顕微鏡
の誕生し、ぼやけた顕微鏡写真を通してウイルスの世界を垣間見ること
が可能になる。現在のウイルス学者たちは、病原体が細胞に襲いかかる
ところまで観察できるようになった。


2種の生物に由来する「複合体」の可能性
新型コロナウイルスのゲノムデータの解析によって、コウモリとセンザ
ンコウの両方に由来する「複合体」のウイルスである可能性が高いとい
う研究結果が公表された(新型コロナウイルスが、2種の生物に由来す
る「複合体」の可能性:研究結果から明らかに、 WIRED.jp)。

長きにわたる単純な疑問がある。ウイルスの発生源は、いったいどこな
のだろうか?これまで人間に感染したことがないと思われるウイルスが、
いかに突如として人類の細胞に侵入し始めたのか。しかも、わずか数カ
月で中国から世界中へと拡散する上で必要な能力を備えて。新型コロナ
ウイルスのゲノム解析の結果は曖昧だった。現地に生息するコウモリを
発生源とする分析もあれば、野生生物の取引によってこの地域に持ち込
まれた可能性があるセンザンコウとの類似性を強調するものもある。よ
り不確かな情報としては、研究室から流出した、あるいは生物兵器が漏
れ出したという説まであるが、米国に拠点を置く研究チームが、ウイル
スのゲノムデータを大量に収集して詳細な分析を進めている。その結果、
新型コロナウイルスの進化は複数の部分から構成されており、その大部
分はコウモリ由来であるが、センザンコウの関連性を解明したという。
⛨ Emergence of SARS-CoV-2 through recombination and strong puri-
fying selection,
Science Advances、cience Advances  29 May 2020

では、異なる種を宿主とするウイルスの一部が、いかに組み合わさるの
だろうか。基本的には、一般的な生物学的プロセスをウイルスが独自に
発展させたものだが、その生物学的プロセスとは、遺伝的組換え。細胞
における遺伝的組換えは、遺伝において正常なプロセスである。2種類
のDNA分子に広範な類似性が認められれば、DNA分子はその一部を交換す
ることができる。その結果、片方の親に由来するDNAのひと続きに、別の
親からのひと続きが組み合わさったハイブリッド分子が生まれる。そし
て2種類の親分子の特徴のいくつかが混ざり合い、最終的な分子にそれ
ぞれの親からの特徴が発現することとされている。しかし、こうした組
み換えは、より単純な細胞でも起こりうる。このため、バクテリアのゲ
ノムに新たな遺伝子や変異させた遺伝子を組み入れる際には、主要なツ
ールになっている。また、組み換えする分子は特に対象となるDNA分子
を選り好みするわけではない。このためひとつの細胞に複数の種類のウ
イルスが感染した場合、細胞に感染したDNAウイルスに組み換えが起きる
ことがある。

ウイルスで組み換えが起きるメカニズムとは?
結論から言えば、RNAの一部を混合し、異なる遺伝子の組み合わせを形成
する別のプロセスが、本質的に同じ機能をもつが、インフルエンザウイ
ルスはゲノムを8つの異なる分子に分散している。このため複数のイン
フルエンザウイルス株に感染した細胞は、ふたつの株からの分子をラン
ダムに組み合わせたウイルス粒子を生成できるとされているが、新型コ
ロナウイルスのゲノムは長い単一のRNA分子であることから、組み換えは
機能しない、それでも組み換えが起こり、RNAゲノムを複製する酵素は、
片方の端から別の端まで移動しながら複製をするが、ときにはその酵素
が失速して複製中の分子から落ちてしまい、部分的に完成した複製にと
どまることがある
多くの場合で複製は単に中止されるだけだが、新しいゲノムにくっつき、
中断したところから複製が再開されることもあると言う。つまり、元よ
り短い遺伝子が生まれ2つのウイルス粒子が生成され、複製を再開する
際の新しい分子が、複製していた最初のものと同様のものである必要は
あるが、同一である必要はない。その結果、このプロセスによって、進
化の観点からは比較的遠い関係にあるウイルス間で組み換えが行われる
可能性があり、必要なことは同じ宿主に感染することにある。

43種のコロナウイルスを分析
組み換えが起きる可能性があることは明らかになったが、その証拠を探
すにはどうすればいいだろうか。ここで重要なことは、現在さまざまな
宿主からのコロナウイルスの多くの配列が公開データベースで参照可能
なことだ。これまで熱心な研究者たちが、そのデータベースを利用して
コウモリ由来の数十のサンプルを調査することで、パンデミックを引き
起こす能力をもつ可能性のある株を探してきたそこで研究チームは、人
間、コウモリ、センザンコウなどさまざまな種を宿主とし、新型コロナ
ウイルスと配列が類似することで知られる43
種類の異なるコロナウイ
ルスを基に、新しい分析を始めた基本的なゲノム解析によると、新型コ
ロナウイルスはコウモリ由来の数種類のウイルスと最も緊密な関連性を
もつことが確認される一方で、ウイルスの異なる部分は多かれ少なかれ、
コウモリ由来のほかのウイルスとも関連していた。つまり、コウモリ由
来のあるウイルスに最も類似した長いひと続きのRNAが、突如としてコ
ウモリ由来の別のウイルスに最も類似するように見えるので、こうした
パターンは、まさに組み換えから予想され。組み換えが起きた場所で、
ふたつの異なる分子の間の切り換えによってゲノム配列の変化が生じる。
つまり、両方の親分子からの相違点がゲノム全体に均一に広がっている
のではなく、いきなり配列が変化するこのコウモリ由来のウイルスの複
合体という調査結果には、注目すべき例外が存在した。ウイルス表面に
あり、人間の細胞に吸着するスパイクたんぱく質である。

ここで研究者が発見したのは、まさに初期の研究が示唆したものであっ
た。人間の細胞のどのたんぱく質に吸着するか決定するひと続きの重要
なスパイクたんぱく質は、組み換えを通じてセンザンコウのウイルスに
由来していた。つまり、初期の研究から示唆された考えは、両方とも正
しかった。新型コロナウイルスはコウモリ由来のウイルスに最も関連し、
センザンコウのウイルスにも最も関連性が高い。ゲノムのどこを見るか
によって異なる。

もうひとつの情報は、ウイルスのたんぱく質における変異が許容される
場所について、ゲノム領域の変異が許容されない場合、ゲノムのその部
分でコードされているたんぱく質が重要な機能をもつ傾向がある。研究
ではゲノム領域の変更が許容されないケースの多くを特定したが、その
ひとつにセンザンコウウイルス由来のスパイクたんぱく質の一部が該当。
パンデミック中に分離された新型コロナウイルスのゲノム6,400個すべて
においてこの領域で変異が起きたのは、ひとつのクラスターから採取さ
れた8個だけであり、センザンコウ由来の配列は、ウイルスが人間をタ
ーゲットとする能力において重要なのである。

ウイルスの“ラボ”として機能する生物種の存在
この調査結果には、いくつか朗報が含まれる。①新型コロナウイルスが
生物兵器の実験から流出したという噂は、ゲノム配列が示す生物学的情
報に照らすとほとんど意味をなさない。②一方でより不安なのは、この
配列がわたしたちの周囲で行われているかもしれない巨大な“自然実験”
について示唆している点にある。つまり、定期的に遺伝情報を交換して
いるコロナウイルスが多数存在する可能性という。遺伝情報の交換は同
じ種に感染するウイルス間でより一般的だが、はるかに離れた関係のウ
イルス間で行われる可能性がある----異なる種を宿主とするウイルスが
明確な選択圧を受ける可能性があるという証拠を発見。だが、それによ
ってウイルスが新しい種に感染する際に、予測困難な結果が生じる可能
性がある。その新しい種を宿主とするほかのウイルスと情報を交換する
場合、予測はより困難になる。これらをまとめると、世界中に(わたし
たちがよく知らない多くのコロナウイルスも含めて)無数のコロナウイ
ルスが存在しているようであり、いくつかの生物種はウイルスが新たな
遺伝的組み合わせを作成する“ラボ”として機能している。

問題は次が「いつ起きるか」
いまのところ、人間と頻繁に接触する種がそのような機能を果たしてい
る可能性は部分的にしかわかっていない。この研究では、幸いなことに
大きなアウトブレイクが発生していないが、抗体に基づく研究によると、
人間は少なくともこれらのウイルスのいくつかに晒されてきたことが示
唆されるすべてを考慮すると、問題はこれから先に別のパンデミックが
起きるかどうかではなく、「いつ起きるか」であることである。これは
もちろん、中東呼吸器症候群(MERS)や重症急性呼吸器症候群(SARS)
後にすでに示唆され、一方で、こうした問題に世界全体としてリスクの
研究や治療法の開発、パンデミックに備えた計画などの取り組みは
ほと
んどされてこなかった
という(新型コロナウイルスが、2種の生物に由
来する「複合体」の可能性:研究結果から明らかに、WIRED.jp)。

✔ 尚、人工的な改変のの可能性について残件扱いとする。
⛨ 新型コロナウイルスは、いかに感染し、そして重症化するのか? そ
のメカニズムが研究で明らかになってきた。(新型コロナウイルスは、
いかに感染し、そして重症化するのか? そのメカニズムが研究で明ら
かになってきた、 WIRED.jp



“見えざる敵”新型コロナウイルスを、医師でCGクリエーターの瀬尾
拡史が感染症やウイルスの専門家に独自取材し最先端CGで可視化。感
染や発症、治療薬開発の謎に迫る。「見えないから怖い」。私たちが新
型コロナに抱く不安や恐怖は、相手が電子顕微鏡でしか見えない“謎多
きウイルス”。そこで、東大医学部卒の医師で医療CGクリエーターの
瀬尾拡史氏が感染症やウイルスの専門家に独自取材し、科学的知見をも
とに“見えざる敵”の正体をCG技術で可視化。世界初の映像で、新型
コロナの“謎”に迫る。感染や増殖、劇症化、治療薬のメカニズムが
“目で見て分かる”科学ドキュメンタリー。NHKスペシャル「“パンデ
ミック”との闘い~感染拡大は封じ込められるか~」(3月22日)は、
厚生労働省が2月25日に感染症の専門家ら約30人を集めて作った「新型
コロナウイルス クラスター対策班」に、メディアとしては初めて密着
取材を試みた。中国・武漢市と湖北省から始まった、ウイルスの第1波
に対しては政府、自治体と保健所などの現場、そしてクラスター班の不
眠不休の活動によって、オーバーシュートは食い止められているが、欧
米や中近東のオーバーシュートの第2の波が日本に打ち寄せたらどうな
るのか。

3つの観点から構成されている。第1は、新たな感染ルートである。接
触感染と飛沫感染に加えて、咳や会話を通して微小な形でウイルスが飛
び散る「マイクロ飛沫」がクラスターを拡大している可能性。NHKと京
都工芸繊維大学との共同研究の結果は「マイクロ飛沫」の恐怖を物語る。
教室ほどの広さの部屋に10人ほどが集まる。1人が咳をすると、約10万
個の飛沫が飛び散る。大中のものはしばらくすると、落下する。マイク
ロ飛沫は、5分、10分が経過しても空気のよどみのなかにあり、20分間
も浮遊する。防止策は、窓を開けて空気を入れ替えるしかない。マイク
ロ飛沫は、ふたりの間で漂い続けてなかなか消えないと、舘田一博日本
感染症学会理事長が指摘する。

第2は、感染経路をたどれない患者が大都市を中心に発生している点で
ある。「クラスター対策班」のメンバーである、東北大学教授の押谷仁
氏は、感染経路が特定できない患者のうらに「未知のクラスターの存在
がある可能性がある。我々が見逃しているということである。これがオ
ーバーシュートにつながりかねない」と指摘する。新型コロナウイルス
は、感染者が重症化しないうちにウイルスを広げる、生存戦略に優れて
いる。SARS(重症急性呼吸器症候群=2002年に中国で発生)よりも、よ
くできたウイルスだと語る。3月19日、政府の専門家会議は、大都市に
おいてオーバーシュートが起きる可能性について触れた報告書を発表。
クラスター班のメンバーである、西浦博北海道大学教授は、人と人の
接触を避ける、無駄な接触を避けることをしないと日本でも80%と
か90%の人が感染する。人々の行動様式を変えなければいけない。
専門家だけではなく、皆で向き合っていかなければならない。また、
オーバーシュートが、日本で起きる可能性はどうなのか。見えないク
ラスターが連鎖して、メガクラスターになる。そうすると、医療崩壊
が起きて、院内で感染が発生する。
欧州のような爆発的なオーバーシュートが起きる。クラスターを追う
だけでは、対処できなくなる。世界の都市がやっているように、都市
の断絶、都市の閉鎖が必要になる。番組の最後の大きな柱は、ワクチ
ンと治療の特効薬の課題である。ワクチンの開発に1年かかるか、あ
るいはできない可能性も指摘されている。理化学研究所が、感染症に
効果ある、1200種類の薬品について新型コロナウイルスに効果を試み
たところ、4種類の薬品が、治療薬として候補にあがっている。この
なかでは、実際の治療に使われているものもすでにある。オルベスコ
は、喘息の治療薬で副作用が少ない。インフルエンザの治療薬のアビ
ガンも有力が候補である。中国ではすでに効果がある、とされている。
次に、HIV(後天性免疫不全症候群、エイズ)の特効薬である、カレト
ラである。また、エボラ出血熱の治療薬である、レムデシビルも候補
にあがっている。



新コロナウイルス感染 世界全体で50万人超え
28日、米ジョンズ・ホプキンズ大の集計によると、新型コロナウイル
ス感染症による死者が、世界全体で50万人を超えた。中南米で急増する
など、世界各地で被害が拡大しており、沈静化の気配はまったく見えな
いままとなっている。感染者はに1千万人を上回った後も増え続けてい
る。国別の死者は、米国が群を抜いて多く12万5千人超で、次いで南
ブラジルが5万7千人台。西欧諸国では鈍化傾向にあるが、メキシコ
が2万6千人、インドが1万6千人と増加基調が続いている。中東のイ
ランでも1万人台に上っており、死者が1万人を超えたのは計9カ国。



北京近郊でロックダウン、50万人 武漢のピーク時と同措置
28日、新型コロナウイルスの新たな流行を封じ込めるために、首都北京
近郊の住民50万人近くを対象に厳格なロックダウン(都市封鎖)を課し
た中国は流行をおおむね抑制していたものの、北京で数百人が新型コロ
ナウイルスに感染し、隣接する河北(Hebei)省でも感染者が確認され
る事態となっている 保健当局は28日、北京から約150キロ離れた河北
省安新(Anxin)県を「完全に封じ込めて規制下に置く」と発表。今年初
めに武漢(Wuhan)市において流行がピークに達していた際に実施された
のと同様の措置が講じられることになる安新県の防疫対策委員会は、各
家庭から1人のみ1日1回、食料品や医薬品などの必需品を購入するため
の外出が許可されると発表した安新県での今回の動きに先立って、北京
では過去24時間で新たに14人の感染者が報告され、6月半ば以降の感染
者数は計311人に上っていた今回の流行は北京の食品卸売市場「新発地
(Xinfadi)」で最初に確認されたが、安新県の複数の事業者がこの市
場に淡水魚を出荷していたと、国営新華社(Xinhua)通信は報じた。



● 今夜の寸評:ウイルスと向かい合う①
ジンマー,カール[ジンマー,カール][Zimmer,Carl]
アメリカで最も人気があるサイエンスライターのひとり。イェール大学
で講師として自然環境などについて教える傍ら、多数の記事やエッセイ
を「ニューヨークタイムズ」紙や「タイム」「サイエンス」「ナショナ
ル・ジオグラフィック」各誌に寄稿。優れた科学読み物を集めて毎年出
版される「ザ・ベスト・アメリカン・サイエンス・ライティング」シリ
ーズにも掲載されている。インフルエンザが毎年流行するのはなぜ? 
人間のDNAはウイルスが入り込んで作られた?――知っておきたいウ
イルスの話!

プロローグ 「感染力をもつ生きた液」タバコモザイクウイルス
1章 「ただならぬかぜ」ライノウイルス
2章 「天の星々のしわざ!?」インフルエンザウイルス
3章 「角の生えたウサギ」ヒトパピローマウイルス
4章 「敵の敵」バクテリオファージ
5章 「ウイルスに充ち満ちた海」海洋ウイルス
6章 「ゲノムにひそむ寄生者」内在性レトロウイルス
7章 「新たな病魔の出現」ヒト免疫不全ウイルス
8章 「目指すは自由の国アメリカ」 ウェストナイルウイルス
9章 「新興感染症の予測」 SARSウイルス、エボラウイルス
10章 「長いお別れ」天然痘ウイルス
エピローグ 「冷却塔のエイリアン」ミミウイルス

 コロナウイルスが危険な正体をあらわしたのは、21世紀になって
 からである。2002年11月、中国広東省で305人の住民が急
 激な肺炎にかかって病院にかつぎこまれ、それが重症急性呼吸器症
 候群(Severe Acute Respiratory Syndrome)とみなされ、略称SA
 RSと命名されたときからだ。このときも潜伏期は2日間から1週
 間、最初に発熱や悪寒がきて、2週間をこえると非定型肺炎などに
 なり、下痢もおこった。5カ月で世界32国に広まり、8000人
 が罹患して、916人が死亡した。その後、風邪のような症状をお
 こすウイルス4種、重症肺炎を発病させるウイルス2種、動物から
 感染するウイルス1種の、計7種のコロナウイルスが確定された。
 ウイルスの遺伝子になんらかの突然変異があったか、あるいは耐性
 変異があった(人体感染を通過しているうちにウイルス自体が強化
 された)のである。ウイルスはしだいに変異するのが当たり前なの
 だが、その形質がいつまでも定位しないこともある。そのせいで、
 いまだに治療薬はない。ワクチンもつくれていない。

 MERSは2012年9月にサウジアラビアで発病した患者から感
 染したロンドンの患者の検査で発見されたコロナウイルスで、中東
 呼吸器症候群(Middle East Respiratory Syndrome)と呼ばれる。
 潜伏期間は14日間で、中東とヨーロッパに拡って死者800人を
 こえた。こちらもいまなお治療法がない。

        737夜『ウイルス・プラネット』カール・ジンマー、
                     松岡正剛の千夜千冊

そして「鳥インフルエンザや新型インフルエンザとの類縁性もほとんど
言及されてこなかった。2009年の新型インフルエンザがパンデミッ
クをおこしたときも(メキシコ東部が発祥源)、感染者や死者がべらぼ
うに多かった。1600万人が感染し、2185人の死者が出た。日本
は麻生太郎内閣のときで、やはり右往左往が目にあまった。こちらはさ
いわいワクチンやタミフルなど治療薬が出回ったので、ワクチンも治療
薬も開発できていない新型コロナでは話題にしにくいのだろうと思うが、
それでいいのかどうか」と松岡氏は反質しつぎのように述べる。

 どうもウイルスを甘く見ているようだ。いまさらながらの話だが、
 ウイルスが細菌とは異なるものであること、細胞をもっていないこ
 と、宿主(ホスト)を選んでそこに寄生して増殖をくりかえすこと、
 感染が拡大するうちに遺伝子に変容がおこること、こういうことが
 根本的に甘く見られているような気がする。
 もっとさかのぼっていえば、ウイルスが生きものなのか非生物なの
 かという決着がついていないということそのことが、平時の社会思
 想としてもとびきり重大なのに、そうは思われていないところが問
 題なのである。
 おそらくウイルスのことだけでなく、ウイルス・細菌・寄生虫・真
 菌などによる、つまり微生物全般による感染症(infectious dis-
 ease)の全体が「知」にも「情」にもなっていないのだろうと思う。

         737夜『ウイルス・プラネット』カール・ジンマー、
                     松岡正剛の千夜千冊

と、手厳しい。そして、パンデミックはすべて感染症の世界的拡大なの
だが、それはウイルス学の山内一也がずっと警鐘を鳴らしているように
「人獣共通感染」(zoonosis)の大問題でもあって、これは有事のとき
に慌てて急に考えることでなく、社会の流動的インフラの中に組み込ま
れるべき「情報感染」という大問題の根底に疼いている由々しさなので
あると回顧し、また、ジンマーの著書----『進化の教科書』全3巻(講
談社)、長谷川眞理子訳『進化』(岩波書店)、O157を含む大腸菌
の悪役イメージを刷新させる『大腸菌』(NHK出版)、寄生生物のヒ
トとの共生を扱った『パラサイト・レックス』(光文社)、『水辺で起
きた大進化』(早川書房)などの著書を推奨----いずれも構成や展開
がうまく読ませるという。



山内一也:1931年生まれ。北里研究所、国立予防衛生研究所、東京
大学医科学研究所教授、日本生物科学研究所主任研究員などを経る。東
京大学名誉教授、日本ウイルス学会名誉会員、ベルギー・リエージュ大
学名誉博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載)

ウイルスのことを病気の原因で、危険なものとばかり考えていないか?
実はあなたが胎児だったとき、ウイルスはあなたを守る大切な役割をは
たしていたのです。地球上には膨大な数のウイルスが存在し、生物の行
動や生命の進化に大きな影響を与えていることがわかってきた。これま
での常識をくつがえす、ウイルスの存在意義を考える。

序章 あなたはウイルスに守られて生まれてきた
1 ウイルスはどのようにして見いだされたか?
2 ウイルスは生きているか?
3 人のウイルスはどこから来たか?
4 生物界を動きまわるウイルス
5 病原体だけではないウイルスの意外な役割
6 病気を治すウイルスの利用
7 広大なウイルスの世界

⛨ 日本獣医学会 人獣共通感染症連続講座INDEX https://www.jsvetsci.jp/05_byouki/ProfYamauchi.html   
                         
                         この項つづく 

【ポストエネルギー革命序論 187:アフターコロナ時代⑥】
現代社会のリスク、エネルギー以外も「分散の時代」

全固体電池実用化の鍵となる革新的な正極材料を開発―低融性の
リチウム塩を用いた非晶質化によって酸素の酸化還元を伴う大容
量充放電を実証



全固体電池の大容量化を実現する電極材料
22日、大阪府立大学は全固体電池の高エネルギー密度化に有用な正極
材料を開発。低融性のリチウム塩を添加し、酸化物系正極活性物質を非
結晶質化したもので、これを用いバルク型の全固体電池において酸素還
元を利用した大容量充放電の実証にも成功している。従来型の全固体電
池の電極活物質には、リチウムイオン電池で用いられている結晶性の遷
移金属酸化物が転用されているが、リチウムイオンの正極活物質の高容
量化に必要な遷移金属と酸素の両方の酸化還元による電荷補償が全固体
電池に適用された例はない。また、従来の全固体電池の場合、固体電解
質を大量に混合しなくてはならない点が、エネルギー密度の低下要因と
なっていたこれらの背景には、全固体電池は従来の電解液を用いる電池
と比べて、電極と電解質の間の良好な接触が困難であることに加え、リ
チウムイオン伝導経路の構築が困難であることが関係。また、全固体電
池の作動には、電極―電解質界面の構築が非常に重要であり、全固体電
池に適した新規な電極活物質の開発が必要になる。そこで研究グループ
では、全固体電池の高容量化と固体界面構築に着目し、低融性リチウム
塩を複合化させ非晶質化することで、全固体電池に最適な高成形性の正
極活物質の開発を試みた具体的には、硫酸リチウム(Li2SO4)をリチウ
ム過剰正極(Li2RuO3)に複合化し、Li-Ru-S-Oからなる非晶質材料の中
に数nmサイズのLi2RuO3結晶が埋まっているものを作製する。 



構造解析の結果、非晶質部分は電極活物質と固体電解質(イオン伝導体)
と固体の接触界面構築の二つの機能を発現していることが分かった。さ
らにこの材料を全固体電池の正極材料として用いて、その作動特性を評
価したところ、遷移金属であるルテニウム(Ru)の酸化還元反応に加え
て、酸素の酸化還元反応を伴う大容量充放電が生じていることが分かり、
本研究の成果はバルク型(粉末成形型)の全固体電池において世界初の
酸素の酸化還元を伴う2電子反応の高容量充放電材料の実証した。


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