極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

馬酔木と論語読み

2009年03月07日 | 時事書評


口論も続くとなにも 嫌になり きみが小さき正義の馬酔木哉




 


この不況が大半の経営者に予測できなかったことを聞く機会
があった。2009年問題があるにしても見通しの立たない
状態にあっては誰しも「聖」から「俗」へ転落する。一年前、
前職場では事業所のリニューアルでおおわらわだったからそ
の心理的な落差は、トヨタの経営陣と同様だろうと。それで
はどう対応すれば良かったのかは、ここでブログしたが、外
需依存を脱却すべきで、その具体的な行動は、所属する地域、
職場での内需の掘り起こしである。前職場の労働組合の執行
部が多少なりとも確りしていて、来る首切りに備え、闘争資
金を積み立て、地域回りして自活の手段を模索していた。そ
の経験が、その後も生かされ、早期退職者が募られた時には
高齢者の職場作りに奔走し内製化する職場を確保した。それ
を片目でにらみ、丸抱えで労働条件の劣化(賃金、処遇、福
祉)を防止するには、『集中と選択』一辺倒から、未来社会
に貢献する事業開発が必要として、定年前の10数年間はそ
の道筋を模索してきた。それは経営者側もわかっていて、最
終的に行き着いた太陽電池製造プロセスに纏わる‘ものづく
り’をサポートしてくれた。



池水に影さへ見えて咲きにほう 馬酔木の花を袖に扱入れな   大伴家持


この苦労がどんなものかわかりずらいと思う。話が飛躍する
が例えてみれば、大リーガの開拓者‘野茂英雄’だ。己の技
量を磨がけば結果がでる既存フィールドだ。己の技量が充分
通用すると思えば、新しい太陽電池の製造プロセスを考える
ことは他の企業の経営者のもとでも、また新たに資金提供者
を掘り起こし企業するのこともできるが、「ゼロ」からのス
タート(そのぐらいの覚悟との意)だ。無謀といえば無謀だ
が、いわば、既存の大リーグのリスラクチャリングである。
例えてみれば、野茂英雄と巨人のオーナをいっしょにやるも
ので誰しもできないと思うのが<常識>というもの。これを
すべてをひとり(+家族)が背負い込む、『ひとり戦略』と
称している。70年代の労働組合運動を通して手探りで構築
したもので理論化も出来ていない。敢えて言えば、<戦術>
を如何に、リスクを最小限に見積もる行動学と定義できると、
このブログを書きながらそのように定義できるのではと考え
た。そこで、依拠する言葉は、
鈴木啓示の草魂の「投げたら
あかん」
ということである。しかしながら最後は、わけあって
途中で投げ出す格好となった。已矣哉(やんぬるかな)、宜
(むべ)なりと。

♪〽 中島みゆき『ヘッドライトテールライト



本題に戻ろう。アジアの心性の特徴に排中論に走りやすいこ
とが指摘されるが、孔子の「中庸は徳の至れり」とい言葉も
あるではないか。目先の数字に追わ本質を見忘れた。特にグ
ローバリゼーションによる時価会計制度の導入がはじまった
ばかりの日本では一層そうであり、隣国の韓国、中国はなお
さらだろう。もっというと、経験主義、実用主義、功利主義
の欧米は、さっさとこれを修正してしまう可能性がある。馬
鹿を見たのは小泉純一郎と竹中平蔵だけではない。「盈つれ
ば食くる兆し」。「預言なき民は滅ぶ」(Where there is no
vison, the peope perish. )。この二つは評論でいられぬ重い言葉
である。いわば、経済活動の主戦圏から外れたからには、サ
ポートできることなど皆無に等し。しかし、そこは‘草魂’。
そして、これからの見通しを意見交換し家に帰ってきた。彼
に充分に伝わったかどうか分からぬが、ブログアドレスをメ
ールで伝えて暫くして返事が戻ってきた。“
I get a mail.これ
を意訳すれば、「わかった。」と



磯の上に生ふるあしびを  手折らめど見すべき君がありといはなくに  
                                                  
                              大来皇女




アセビ(馬酔木 Pieris japonica subsp. japonica)は、ツツジ科
の低木で日本に自生し、観賞用に植栽もされる。別名:あし
び、あせぼ。本州、四国、九州の山地に自生する常緑樹。や
や乾燥した環境を好み、樹高は1.5mから4mほどである。葉は
楕円形で深緑、表面につやがあり、枝先に束生する。早春に
なると枝先に複総状の花序を垂らし、多くの白くつぼ状の花
をつける。果実は扇球状になる。有毒植物であり、葉を煎じ
て殺虫剤とする。有毒成分はグラヤノトキシンⅠ(旧名アセ
ボトキシン)。Grayanotoxin を含む植物を摂取した動物は嘔吐
や泡沫性流涎を起こし、軽症では沈衰、四肢開張、蹌踉(そ
うろう)、知覚過敏となる。重症では、四肢の麻痺、起立不
能、更に簡潔性の疝痛、腹部膨満、呼吸促迫、脈の細弱不整、
更に全身麻痺に陥る場合もある。ただし、回復は早く、致命
率は高くない。痙攣毒。



男女の分業の解消は急に変わらないと思ったのは二十歳のと
き。家事も出来るだけ分担しようとするが完全には無理。母
親の身の回りは彼女任せ。それがストレスとなり諍いになる。
そんな日常をアセビの象徴と生態の対照性を今日は詠んだ。
花言葉は「犠牲」「献身」。ところで、聖書の訳文がそうで
あるように、文語体と口語体との微妙な韻律の違いが厳然と
残るように、短歌もその時折のニュアンスで詠を変えていく
つもりである。


grayanotoxin grayanotoxin:グアイヤノトキシン

馬酔木の名は、馬が葉を食べれば苦しむという所からついた
名前であるという。 多くの草食ほ乳類は食べるのを避け、
食べ残される。そのため、草食動物の多い地域では、この木
が目立って多くなることがある。そのため、あせびの抽出成
分を農薬としての目的で利用され、昆虫、線虫、菌類などを
が駆除する生物農薬として使う。因みに、天敵を利用する場
合を天敵農薬、微生物を利用する場合を微生物農薬というこ
とがある。



カシノナガキクイムシの写真 カシノナガキクイムシ

ナラ枯れが北上している。ナラとは、ブナ科 Fagaceae コナ
ラ属 Quercus の木のうち、落葉性の広葉樹の総称。古くは
ハハソ(柞)とも。本州の日本海側を中心に、ミズナラやコ
ナラなどのナラ類が集団的に枯損する現象(森林被害)が、
2004(平成16)年度の被害面積は全国13府県、約1,100haに
達しており、徐々に拡大している。ナラ枯れの原因は、カシ
ノナガキクイムシが媒介する病原菌(ナラ萎凋病菌)とされ
、ナラ類を枯死させる菌として、Raffaelea quercivora が知られ
ている。カシノナガキクイムシが属するナガキクイムシ科の
ほとんどの種はアンブロシア菌と総称される共生菌を培養し
て摂食しているが、R.quercivora もアンブロシア菌の1種であ
る。この菌が繁殖することで、辺材部で通水機能が低下し、
樹木が枯死する。1930年代に宮崎、鹿児島各県で被害が
報告された後、新潟や福井、兵庫などで確認されたが、80
年代までは計8県と散発的で、被害も短期間で終わっていた
が、その後、拡大に転じ、昨年までに23府県に広がってい
ることが各地の研究機関の調査などから分かった。木材や炭
に利用されることが減って伐採されなくなったり、公園整備
が進んだりし、カシナガが好む太い木が多く残ったためとみ
られる。地球温暖化の影響でカシナガの活動範囲が広がった
のが一因との指摘もある。カシナガが出すフェロモンやカシ
ナガを誘引する木のにおいを使い、殺菌剤を注入した木に大
量におびき寄せる「おとり木」を採用。森林のどの位置に、
何本設置すれば被害を抑えられるのかを実地研究。また、被
害地の木の種類のほか、標高や気温、降水量などを調べ、発
生しやすい場所を分析し、次の発生地を予測する手法も開発。


わが背子に  わが恋ふらくは奥山 あしびの花の今盛りなり   万葉集



新聞を読んでいると、
田中秀征が景観政策に軸足を置いた財
政出動のあり方にについて論評していた(3月5日朝日新聞)。
このブログでも書いたが(「立金花と風見鶏
」)、『全国電
気通信配線等埋設化計画』を具体例として挙げていた。故宮
沢喜一が論語の『文質淋淋』(ぶんしつひんぴん)つまり、
形容が旨くバランスしている様を指すらしい。‘うさぎ小屋’
の改善に熱意を示していたことや実物資産の充実に向かわず、
金融資産の膨張に向かったことの経緯に触れていた。権力の
中枢にいた者たちの言葉だけに重い。

Human Gateway entry clone

ここでは、内実の変容を考えてみた。『デジタル革命』の中
核に半導体技術の進歩があった。しかし、生活目線からする
と何とも無機質なクールな商品以前(或いは超商品と言って
も良いが)だったものが深く浸透し、DNA解析技術を進歩
させていた。それは、分子レベルを対象として光の干渉レベ
ル(200μm)以下の小さな世界の産業化に大きく貢献し
ていた。それは、それまでのシリコン系一辺倒の半導体から
複合系、有機系の半導体に裾野を広げていくと共に、20世
紀の物理学の原子力一辺倒の行き詰まりからの脱却、‘バイ
オミミクリ’(Biomimicry:自然模範)の基軸を確かなものと
するとして、実は『バイオ革命』の胎動を促していた。そし
ては、それは『ナノテクノロジ』を媒体として様々な生活素
材のインターフェース(表面)に出現することを意味してい
る。将来には、一見するといつもの変わらぬ家の外壁が、環
境に対応し太陽光エネルギを変換蓄積しつつ、或いは外壁に
付着した汚れを自動クリーニングしたり、或いは硝子窓の様
に透明になったり、または遮光したりする植物型ロボットに
生まれ変わる日が来ることも夢でなくなる。その様に考える
と、これからの財政出動の内実が時代の要請を受け、土木工
学主体が、電気電子工学を主体とした『文質淋淋』へのチェ
ンジなのだとすれば腑に落ちる。
 




理化学研究所が、紫外線に比べて光子のエネルギーが約半分
の赤外線に注目し、10兆分の1秒という極めて短い時間で
照射できるレーザー装置とレンズによる集光効果で光子の密
度を高め、狙った場所のイオンが2つの光子を同時に吸収で
きるようにした実験で、銀のイオンが含まれた水溶液にレー
ザーを照射すると、狙った場所だけが金属化し、立体的な銀
製部品を生成できた。界面活性剤で加工精度を高めることに
も成功した。田中拓男・准主任研究員は「半導体の配線修復
や超高感度の化学センサーの開発など幅広い分野に応用でき
る。赤外線を用いた世界最小レベルの立体的な金属加工に成
功した。水溶液に含まれた銀のイオンから、4本脚で立つ高
さ約
500分の1ミリの銀製部品などを生成したことが報道
された(
2009.3.2 08:22)。

ブリュースター角(Brewster's angleまたは偏光角


これは、ほんの一例にすぎない。理化学研究所では「バイオ
リソースセンタ
」「植物科学研究センタ」をはじめとした、
20近くの研究センタから構成。脳科学、ゲノム、生命分子
等の
『バイオ革命』の中核センタを担っている。僅か10年
の間に学んだことは、この国の‘進歩’が世界のより確かな
未来を切り拓くという、‘極東(ごくとう)の蒼氓(たみ)’
であるという自惚れた確信であった。‘米国産金融資本主義
の危機’はそういった意味合いから言えば小さな歴史的現象
に過ぎないと、これまた大法螺を吹きつつ、大風呂敷を広げ
三味線を弾くことには違いないが、話半分と聞き流していた
だければこれに過ぎたることはない。


河蝦(かわず)鳴く  吉野の川の瀧の上の 馬酔木の花ぞ  
                                末(はし)に置くなゆめ  万葉集
      








 

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주식디비 (주식디비)
2021-04-05 10:14:36
‘米国産金融資本主義
の危機’はそういった意味合いから言えば小さな歴史的現象
に過ぎないと、これまた大法螺を吹きつつ、大風呂敷を広げ
三味線を弾くことには違いないが、話半分と聞き流していた
だければこれに過ぎたることはない。주식디비
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