【インサイダー社会に終止符か?!】
米連邦検察当局は25日、ヘッジファンド大手SACキャピタル・アドバイザーズが過去10年間にわ
たってインサイダー取引を「組織的な手口」で実施していたとして刑事訴追するとともに民事
提訴したと発表した。その手口は「本格的で、広範囲にわたり、未曽有の規模」だという。連
邦当局は、SACが上場企業に関連した内部情報を繰り返し入手し、それに基づいてトレーディン
グ利益を上げていたと述べた。同当局はこれに関連した民事訴訟でSACの「あらゆる資産」の没
収を求めており、SACには非合法的に入手した内部情報を利用する風潮が根強かったと批判。マ
ンハッタン地区連邦検察庁のプリート・バラーラ検察官は25日の記者会見でSAC社員たちは「野
放図なインサイダー取引」に関与していたと述べ、同社を「市場詐欺師の巣」と断じた。関係
筋によると、連邦検察当局はSACから約100億ドル(約1兆円)を没収する方針だという。バラ
ーラ検察官は、どの程度の金額を求めるか言及を避けたが、今回の訴追が投資家に及ぼす影響
を連邦検察庁が承知していると述べ、投資家の資金を保護するためSACとともに作業を進めると
語った。
SACの創始者スティーブン・コーエンは約20年前にSACを立ち上げ、ファンド業界大手に仕立て
上げた。今年初め時点の運用資産は約150億ドル(約1兆5000億円)。25日の訴追に先立ち、証
券取引委員会は先週、コーエン氏が顧客資金を運用するのを生涯禁止するよう求めて民事提訴
している。コーエンは今回の連邦検察庁による SAC訴追で個人的には刑事訴追されておらず、
不正行為を否定している。SACは25日の声明で、「SACはインサイダー取引を奨励、推進、ない
し容認したことは決してないし、コンプライアンスと管理義務を真摯に履行している」と述べ
た。また、違法行為を犯したと認めた「一握り」の社員は「過去21年間SACで働いてきた数千人
の社員の誠実さ、公明正大さ」と相容れないと強調した。検察当局はSACについて、インサイダ
ー取引の兆候に無頓着な会社とし、アナリストやポートフォリオマネジャーが情報上の「エッ
ジ(優位性)」を得るよう奨励され、たとえ不適切に得た情報であっても取引に利用するよう
促されていたと指摘した。検察当局の訴状によれば、SACは1999年から2010年まで行われていた
違法行為により、何億ドルもの利益を得ていたか、あるいは損失を回避していた。そしてSACは
「複数の業界の何十社にも上る上場企業から」得た内部情報に基づいたトレーディング手法に
関与していたという。
民事提訴では、SACで働いていたポートフォリオマネジャーやアナリスト8人の氏名を公表し、
彼らが内部情報を得て、それを利用して自ら取引するか、あるいはSECの別の人物にその情報を
提供していたとされているが、訴状によると、これら8人が得ていた違法な内部情報はヤフー、
3Com、インテル、マーベル・テクノロジー、リサーチ・イン・モーション(現ブラックベリー
)など株式24銘柄に関する情報だという。
コーエン氏は21年前、自己資金約2000万ドルでSACを立ち上げた。1990年代末のハイテクバブル
の頃までに、SACの資産は 10億ドルを突破し、2008年の金融危機前には160億ドルを突破した。
SACの成功の結果、SACは業界で最高レベルの手数料を課すことが可能になった。関係筋によれ
ば、大半の顧客はSACに対し、SACに投資する資金の3%相当を年間手数料として自動的に支払っ
ている。さらに、SACが運用利益を生み出した場合、その最大50%が上乗せして徴収されるとい
う。SACの取引上の好業績によって、コーエン氏は美術品を収集しており、それは世界最高クラ
スのプライベートコレクションとみられている。同氏はさらに数百万ドルの邸宅を幾つも購入
している。
インサイダー取引は、上場会社または親会社・子会社の役職員や大株主などの会社関係者、情
報受領者(会社関係者から重要事実の伝達を受けた者)が、その会社の株価に重要な影響を与
える「重要事実」を知って、その重要事実が公表される前に、特定有価証券等の売買を行うこ
とをいい、金融商品取引法で規制されている金融商品市場の信頼を損なう代表的な不公正取引。
インサイダー取引を禁止する理由には、主に「投資者保護」「金融商品市場への信頼確保」が
目的とされているが、米国では、SEC(証券取引委員会)が、インサイダー取引など株取引で不
正がないかどうかを厳重に監視しており、摘発される範囲は日本に比べ一般に広いといわれる反面、
「インサイダー取引による利益獲得の機会は、企業の取締役等にとって効率的な報酬形態であ
り、インサイダー取引を報酬の一部であると捉えれば、会社への忠実義務違反の問題も生じな
い」として法と経済学論者の一部によって、インサイダー取引の規制は不要だとの主張も少数
ながらある。ストックオプションやRSUなどで一般従業員でも自社株の取引を行うことが多く、
経理担当者など会社の業績の詳細を知りうる立場にある従業員のインサイダー取引が厳重に規
制されることはもとより、それ以外の従業員でも例えば四半期ごとの決算発表の前後1ヵ月間
は自社株の取引を禁止するなどの規制があり、違反者は解雇に加えて刑事告発する旨を明文化
している企業が多いという。
20年前、付加価値を、余剰価値を高め生みだす具体的な勤労者の変わりにシャシャリ出てきた
金貸し業や賭博の胴元に仕切られ、唆されて痛い経験をしそこから多くのことを学習してきた。
しかしながら、何を学んだのかについては千差万別だろうが、わたし(たち)は儲けのためな
ら何でも良いというような風潮やジニ係数の拡大を放置するような社会と決別したいと思って
この一連の訴訟を看ている。
【ペロブスカイト構造利用技術とは?!】
北海道大学触媒化学研究センターの竹口竜弥准教授らの研究グループは、次世代二次電池の材
料として期待されるエネルギー密度の高い「金属・空気二次電池」に使用する高性能空気触媒
の開発にはじめて成功している。二次電池は電気自動車などで需要が高まっており高性能化に
役立つと期待される。従来技術による金属・空気二次電池では、空気極(空気中の酸素を用い
る正極)の放電・充電反応が遅く、大きなエネルギーロスが生じていた。新たに「ペロブスカ
イト」という構造を持つ3層の酸化物を開発。空気触媒として用いたところ、エネルギーロス
がほとんど生じないことを確認。金属・空気二次電池は、正極の空気極と負極に金属(金属極)
を用いる電池でエネルギー密度が高いことで知られる。リチウムやアルミニウムなどの金属が
使われている。プラグインハイブリッド電気自動車,電気自動車用電源として,リチウムイオ
ン電池が使われているが,本格的普及に向けて航続距離を延長させるためにはエネルギー密度
の高い次世代二次電池の開発が望まれている。有望な次世代二次電池の一つである金属・空気
電池の理論エネルギー密度は、現在実用化されているリチウムイオン電池の200 Wh/kg をはる
かに凌ぎ,リチウム・空気電池では11,140Wh/kg,アルミニウム・空気電池では8,100 Wh/kgで、
ほぼガソリンのエネルギー密度に匹敵する。
従来技術の金属空気電池は、空気極の放電・充電の反応速度が遅く、放電・充電時に大きなエ
ネルギーロスが生じる。この発明は、層状ペロブスカイト酸化物、LaSr3Fe3O10(下図の右)を
開発し、空気極触媒として用いたことで放電・充電反応の性能を、従来の触媒A、Bと比較す
し、放電・充電時にエネルギーロスがほとんどなく、安全で高性能、耐久性が高い二次電池の
実用化できそうだ。開発した層状ペロブスカイト酸化物は、同じような組成の単純ペロブスカ
イトよりも還元しやすいことがわかった。従って、層状ペロブスカイト酸化物内に酸素が存在
し、酸素が容易に出入りできるので、下記の充電・放電反応が促進される。
充電反応 2H2O+ O2 + 4e- → 4OH- 平衡電位 1.2 V
放電反応 4OH- → 2H2O+ O2+ 4e- 平衡電位 1.2 V
ところで、ペロブスカイトは、構造と組成の多様性に由来して「機能の宝庫」といわれている
材料群.これらの多様性を最大限に生かした新たな触媒機能の創製も可能であるが,環境やエ
ネルギー関連分野における触媒材料として,貴金属フリーあるいはミニマム化の達成を実現す
るための最適材料であるなど元素戦略の観点から極めて重要で、現状の研究レベルを考慮する
と、材料設計や合成法の高度化により達成できる可能性が極めて高い。一般式ABO3で表される
複合金属酸化物の総称で、その関連化合物も含めると結晶構造の多様性が特徴。さらに、多種
多様のAとBの陽イオンの組み合わせが可能で格子欠陥も容易に導入でき、化学組成の点でも
多様性が高く、このような構造と組成の多様性に由来して機能性の制御が可能であることが、
"機能の宝庫"と言われる所以である。
触媒としては、1970 年代初めに電気化学触媒、自動車排ガス浄化触媒として白金触媒に匹敵す
る活性を示すという報告を契機に触媒研究の舞台に登場。1970~1980 年代の研究でペロブスカ
イト触媒の基礎的性質はほぼ解明され、研究は一時期小康状態だったが、1990 年代後半から再
び活発化。その最大の原因は、地球環境問題および貴金属資源問題の顕在化に伴い環境、エネ
ルギー関連触媒としてペロブスカイトが再認識にあり、貴金属ミニマム・フリー化触媒の可能
性を示唆する成果が盛んにでてきている。また、『デトロイト破綻とボーイング787』でも
掲載した、ペロブスカイト増感型太陽電池(high-performance perovskite-sensitized solar cells)へ
の応用展開も現実のものとなりつつあるという盛況ぶりだ。
また、下図の新規考案では、「酸素吸蔵材料12は、0.003g/cc以上の単位体積あた
りの酸素吸蔵量を有するのが好ましく、より好ましくは0.005g/cc以上、さらに好ま
しくは0.01g/cc以上である。酸素吸蔵材料12の好ましい例としては、価数変化する
カチオンを含む酸化物としてパイロクロア型酸化物やダブルペロブスカイト型酸化物やブラウ
ンミラーライト型酸化物、多孔質金属錯体、ガス吸着剤、及びこれらの任意の組み合わせが挙
げられる。パイロクロア型酸化物の例としては、CeO2、CeO2-ZrO2、ダブルペロ
ブスカイト型酸化物の例としては、Ba(Sr)FeO3、BaYMn2O5等が挙げられる。
ブラウンミラーライト型酸化物の例としては、Ca2(Al0.5Mn0.5)2O5等が挙
げられる。多孔質金属錯体の例としては、[Zn(TCNQ-TCNQ)bpy](TCNQ:
7,7,8,8-テトラシアノ-p-キノジメタン、bpy:4,4'-ビピリジル)等が挙げ
られる。ガス吸着剤の例としては、多孔質セラミックス、メソポーラスシリカ、アルミナ-シ
リカゲル、ゼオライト等が挙げられる」などとして多様な金属酸化化合物の利用提案がなされ
ているほどだ。
【符号の説明】
10,30,50,100 リチウム空気電池 12,32,52 酸素吸蔵材料 14,
34,54,114 空気極(正極) 16,36,56,116 負極 18,38,58,
118 セパレータ 20,40,60,120 電解液 22,42,62 容器
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