極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

資本主義と自由⑫

2021年12月20日 | デジタル革命渦論



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救っ
たと伝えられる "招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。
(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編
のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。愛称「

こにゃん」

 

 




【ポストエネルギー革命序論 386: アフターコロナ時代 196】
現代社会のリスク、エネルギー以外も「分散時代」




世界最大のバッテリーを100日以内で設置 NEW !

世界最大の南豪州のテスラ電力貯蔵所(➲供給量3万世帯相当)
▶2020.3.6 Daily Mail Online
【要点】
1.2年間の電力削減量:1億1千6百万ドル
2.既存送電網容量削減率:91%相当
ブルームバーグによると、イーロンマスクのテスラ社は、2017年に南
豪州に電力貯蔵所を建設以来、1億1,600万ドルのエネルギーコスト節
約支援。同社は、国が再生可能エネルギー発電移行の際の停電リスク
軽減に、世界最大のリチウムイオン電池設置。報告によると、ホーン
ズデール電力保護区を介し運用、ネットワークの安定性を回復し、電
力網の運用コスト削減を実現。この電力貯蔵所建設の決定は、豪州の
マスクろソフトウェア億万長者マイク・キャノン・ブルックスとのツ
イッター上での「賭け」で行われたが、マスクは「100日または無料
で」バッテリー製造できることを約束する。


テスラは7月に129メガワット時(MWh)のバッテリーを製造入札に 勝
ち、2018年12月の南夏の始まりまでに準備を整えた。

報告によると、ホーンズデール電力保護区を介して運用、ネットワー
クの安定性を回復し、電力網の運用コストを削減するのに役立ってい
る。テスラ社により設置された129メガワットシステムは、 風力発電
と太陽光発電の可変電力を提供。余剰エネルギーを蓄え、より低い発
電期間にグリッド全体分配するシステム。 


これらは、主に再生可能エネルギー源で構成されるネットワークの安
定性を脅かす電力の流れを円滑にし、テスラの電力貯蔵システムが建
設するまで豪州で起きていた。貯蔵電力は、南オーストラリア州の首
都アデレードから約225km(141マイル)に位置するフランスのネオエ
ンが運営する風力発電所----南豪州中北部のジェームズタウンの近く
に設置----のリチウムイオン貯蔵所で電力貯蔵する。





図1.炭素に担持した触媒分子の模式図と今回合成した電極触媒の
ORR触媒性能の比較 出典:東北大学

非白金系触媒で空気電池や燃料電池を低コスト化
12月13日、東北大学は安価で高性能な燃料電池・空気電池用の非白金
触媒の開発----燃料電池などの低コスト化と高性能化への大きな貢献
が期待される----に成功する。燃料電池や金属空気電池などの正極に
おいて、空気中の酸素を還元する酸素還元反応を促進する触媒として、
白金やマンガン酸化物に代わる安価で高性能な電極触媒の開発が求め
られている。白金は高価で資源制約があり、マンガン酸化物は安価な
一方、性能が不十分であるなどの課題がある。

【背景】これまで代替の触媒として、触媒活性点となる元素を含む原
料を高温で焼成することで炭化したカーボンアロイや、ナノチューブ
やグラフェンなどのナノ炭素を用いた電極触媒が提案されてきた。し
かしながらこれらの手法は不活性ガス下での高温プロセスなどが必要
であり、プロセスコストが高いという課題があった。また、複雑な炭
化の過程によりその化学構造を制御することが難しい上、得られた触
媒の構造と活性の相関を理解するのに多大な労力が必要だった。

同研究グループでは、青色顔料の一種である鉄アザフタロシアニンを
多層カーボンナノチューブ(MultiWall Carbon NanoTube、MWCNT)に
担持することにより、アルカリ条件下で白金炭素触媒と同等以上の触
媒性能が得られることを発見していた。この触媒は、自然界に存在す
るヘモグロビンやシトクロムcに含まれるヘムに類似した構造を持ち、
中心の鉄原子が触媒活性点として機能する。しかしMWCNTは高価であ
るといった課題があるほか、触媒の分子構造が性能に与える影響につ
いては系統的な研究が待たれている状態にあった。(上図参照)
さらに、これら触媒のエネルギー状態の指標であるイオン化ポテンシ
ャルを紫外光電子分光により測定したところ、触媒分子結晶と炭素に
担持した状態では、鉄アザフタロシアニンのエネルギー状態が異なり、
炭素担持状態でORRに好適な状態に調整されていることが分かった。
この研究で得られた高活性触媒は、安価な触媒分子とKBから高コスト
な焼成プロセスを必要とせず作製できるため、白金やマンガン酸化物
に代わる触媒として燃料電池や金属空気電池などの低コスト化と高性
能化に大きく貢献できるものと期待できるとしている。
【関連論文】
論文題名: Pyrolysis-free Oxygen Reduction Reaction (ORR) Ele-
ctrocatalysts Composed of Unimolecular Layer Metal Azaphthalo-
cyanines Adsorbed onto Carbon Materials, ACS Applied Energy
Materials, DOI : 10.1021/acsaem.1c03054
【要約】 酸素還元反応(ORR)でのカソードは、エネルギー変換にお
ける重大なボトルネックの1つ。高分子電解質燃料電池(PEFC)と金属
空気のプロセス電池。炭素基板に吸着した鉄アザフタロシアニン単分
子層(Fe AZUL)は高いORRを示したカーボンブラック(Pt / C)でサ
ポートされるPtの代替としての活動電極触媒。ここでは、さまざまな
AzPcの合成について報告する。異なる周辺構造と複雑な金属を持つ分
子、触媒のORR活性の測定と同様に合成された分子と炭素を含む。触媒
活動は電気化学的分析、密度によって特徴づけられた汎関数理論(DFT)
計算、およびイオン化ポテンシャル(IP)値。結果から、IP値on Ketjen
Black(KB)は、高いORR活動の重要な指標の1つであり、高性能電極触
媒の開発。
キーワード:酸素還元反応(ORR)、電極触媒、金属アザフタロシアニ
ン、密度汎関数理論(DFT)計算、イオン化ポテンシャル


図1.研究概略図:巨大磁気抵抗(GMR)素子による磁気センサを用
いた単層グラフェンにおける巨大反磁性の観測

世界初、単層グラフェンにおける巨大な反磁性の観測に成功
グラフェンのトポロジカル物性・新機能開拓に道筋
12月14日、日本電信電話株式会社(NTT)とパリ・サクレー大学、CEA、
ネール研究所、国立研究開発法人物質・材料研究機構の研究グループ
は、世界で初めて単層グラフェンにおいて巨大な反磁性効果を観測す
ることに成功し、幾何学的位相(トポロジー)が果たす役割に関する
新たな実験的な知見を得ることに成功しました。反磁性とは、外部か
ら印加した磁場に対し逆向きの磁化が生じる現象です。グラフェンは
グラファイトを1原子層まで薄くした物質であり、グラフェン中の電子
の持つエネルギーと運動量との間にディラックコーンと呼ばれる三角錐
が一点で接した特殊な関係(図2)がある。
【背景】グラフェンのディラック点における巨大な反磁性は60年以上
前から理論的に予言されていた。理論では、温度ゼロかつ不純物が存
在しない理想的なグラフェンで、反磁性がディラック点において無限
大になることが示されていた。一方、実際の実験は必ず有限温度で行
われ、また素子には必ず不純物が存在することから、その実証には至
っていなかった。近年の物性物理における理論研究の進展により、物
質の持つバンド構造によっり作り出される幾何学的位相は、トポロジ
カル物質など新奇物質群においても重要な役割を果たしていることが
明らかにされている。このため、量子物性現象での幾何学的位相が重
要な役割を果たしている代表例として、グラフェンにおける反磁性の
実験的観測が待ち望まれてきた。


図2.グラフェンの持つエネルギー波数分散関係。ゲート電圧により
電子の密度や電荷の正負(電子もしくはホール)を変調することが可
能であり、その中間にディラック点が存在する。




図4.素子の光学顕微鏡写真。2つのGMR素子の上に六角窒化ホウ素
で両面保護されたグラフェンが配置されている

【関連論文】
論文原題:"Detection of graphene's divergent orbital diamagnet-
ism at the Dirac point,", Science,


図1.(a)ALCA-SPRINGでの研究により開発したリチウム空気電池用独
自材料、 (b) NIMS-SoftBank先端技術開発センターで開発したセル作
製技術、 (c) 500Wh/kg級のリチウム空気電池の室温での充放電反応
を本研究で初めて実験的に確認。

500Wh/kg級リチウム空気電池を開発
世界最高レベルのエネルギー密度を実証
12月15日、物質・材料研究機構 (NIMS)、科学技術振興機構 (JST)、
ソフトバンク株式会社らの研究グループは、現行のリチウムイオン電
池の重量エネルギー密度を大きく上回る500Wh/kg級リチウム空気電池
を開発し、室温での充放電反応を実現した。 
【概要】
1.行のリチウムイオン電池の重量エネルギー密度 (Wh/kg) を大きく
上回る500Wh/kg級リチウム空気電池を開発し、室温での充放電反応を
実現。さらに、世界中で報告されているリチウム空気電池の性能の網
羅的な調査により、NIMSが開発したリチウム空気電池は、エネルギー
密度ならびに、サイクル数の観点で世界最高レベルであることを示し
た。
2.リチウム空気電池は、理論重量エネルギー密度が現行のリチウム
イオン電池の数倍に達する「究極の二次電池」であり、軽くて容量が
大きいことから、ドローンや電気自動車、家庭用蓄電システムまで幅
広い分野への応用が期待されている。ALCA次世代蓄電池 (以下「ALCA
-SPRING」) の支援のもと基礎研究を進めているが、2018年にソフトバ
ンクと共同で「NIMS-SoftBank先端技術開発センタ」を設立し、携帯
電話基地局やIoT、HAPS (High Altitude Platform Station) などに向
けて実用化を目指した研究を行ってきた。リチウム空気電池は理論的
には非常に高いエネルギー密度を示す一方で、従来のリチウム空気電
池の特性評価で一般的に使われてきた電池において、セパレータや電
解液といった電池反応に直接関与しない材料が電池重量の多くの割合
を占めているため、実際に高いエネルギー密度のリチウム空気電池を
作成・評価した例は限られていた。
3.これまでのALCA-SPRINGでの研究により、リチウム空気電池の持つ
高いポテンシャルを最大限に引き出すことができる独自材料を開発し
てきた。さらに、研究チームは、NIMS-SoftBank先端技術開発センタで
開発した高エネルギー密度リチウム空気電池セル作製技術を、これら
材料群に適用することで、現行のリチウムイオン電池のエネルギー密
度を大きく上回る500Wh/kg級リチウム空気電池の室温での充放電反応
を世界で初めて実現する。 (2021年12月14日現在)
【今後の展望】
1.今後は、現在開発中の改良型材料を500Wh/kg級リチウム空気電池
に搭載することで、サイクル寿命の大幅増加を図り、NIMS-SoftBank先
端技術開発センタでのリチウム空気電池の早期実用化。
2.主に、ALCA-SPRINGとNIMS-SoftBank先端技術開発センター研究開
発の一環として行われた。
3.成果は、日本時間2021年12月15日午前2時に、Material Horizon誌に
オンライン掲載
【関連論文】
論文原題: Criteria for evaluating lithium-air batteries in ac-
ademia to correctly predict the practical performance in indus-
try,  Material Horizon, DOI : 10.1039/d1mh01546j


□ ペロブスカイト太陽電池の研究開発ストーリー ①
▶ペロブスカイトを使った太陽電池の発想は学生の提案から~ペロブ
スカイト太陽電池の研究開発ストーリー(前編),みんなの試作広場
2021.12.16

酸化物ペロブスカイト(鉱物、左)とハロゲン化物ペロブスカイト
(提供:桐蔭横浜大学宮坂研究室)
太陽電池は、環境への配慮など持続可能な社会を支える上で利用が増
えているが、その材料として広く使われているのがシリコン。一方、
透明で柔軟、軽いという特性をもつ「ペロブスカイト」を使った太陽
電池の研究開発も盛んに進んでいる。今回は、このペロブスカイト太
陽電池に注目し、3回にわたって、同太陽電池の研究開発を主導した
桐蔭横浜大学の特任教授 宮坂力氏に、ペロブスカイト太陽電池の研
究開発ストーリーや特徴などについてのインタビューを掲載。前編は、
学生の提案によりペロブスカイトによる太陽電池の研究を行った経緯
について語られている。


 WHO 新変異株1.5-3日で倍増

▶2
021.12.19 TBS系(JNN)
世界保健機関は、新型コロナの変異ウイルスオミクロン株についての
最新の分析結果を発表し、「流行している地域では1日半から3日間
で倍増している」と明らかにした。「オミクロン株はデルタ株よりも
感染力が強いことを示す確かな証拠がある」としたうえで、「市中感
染が広がる地域では1日半から3日間で倍増している」と明らかにし
た。また、免疫を持った人が多い地域で急速に広がっているとしてい
るが、理由については、①免疫をすり抜けているのか、もしくは②高
い感染力によるものなのか、③また、その両方なのか分かっていない
という。イギリスと南アフリカで入院患者数が増えていて、「医療が
すぐにひっ迫する可能性がある」と指摘している。



 塩野義が開発の飲み薬、オミクロン株にも効果確認
▶2021.12.20 産経新聞
塩野義製薬は、新型コロナウイルスの治療薬として開発中の飲み薬に
ついて、新たな変異株「オミクロン株」にも効果があることを確認し
たと発表。同社によると、国立感染症研究所から入手したオミクロン
株を使用して、開発中の飲み薬の有効性を検証する実験を社内で行っ
たところ、ウイルスの増殖を抑制する効果があることを確認できたと
いう。同社は開発中の飲み薬について、承認後速やかに供給できるよ
う、今月から国内で商用生産を始めており、今年度中に100万人分
の生産を計画している。 一方、実用化に向けて最終段階の治験を行っ
ているコロナワクチンについても、オミクロン株への効果を検証する。
さらに、オミクロン株の遺伝子情報をもとに、オミクロン対応のワク
チンを開発することも検討しているという。同社は「パンデミックの
早期終息による社会の安心・安全の回復に貢献するため、国産ワクチ
ンの早期開発・供給に引き続き注力する」とコメント。

オミクロン株「悪いところ総取り」 専門家指摘 
▶2021.11.29 産経ニュース
政府が監視体制を強める新型コロナウイルスの新たな変異株「オミク
ロン株」は、感染力が高まったり、ワクチン効果を弱めたりする可能
性が指摘されている。その特徴を「主要な変異株の悪いところを総取
りした」と表現する専門家もいるが、全体像は見えておらず解析が急
がれている。オミクロン株は、ヒトの細胞への感染の足掛かりとなる
突起状の「スパイクタンパク質」に約30カ所の変異を持つ。これま
で検出された変異株の中で最も多様な変異がある。世界中で広まった
デルタ株やアルファ株などの特徴である「K417N」「T478K」
「N501Y」などの変異があり、東京農工大の水谷哲也教授(ウイ
ルス学)は「これまでの主要な変異株の悪いところを総取りしたよう
な変異株だ」と指摘する。



【ウイルス解体新書 96】


序 章 ウイルスとは何か
第1章 ウイルス現象学
第7節 新型コロナウイルス
7-1 新型コロナウイルスのライフサイクル
7-2 変異ウイルス
7-2-1 感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される新型
   コロナウイルス(SARS-CoV-2)の新規変異株について (第9報)
第9節 感染予防・検査・治療
9-1 検査方法・装置設備
9-2 ワクチン
9-2-1 変異ウイルスとワクチン
1.ワクチン開発の現状
1-1 国内ワクチン
1-1-1 海外メーカーも国内で臨床試験
1-1-2 なぜ国産ワクチ開発が遅れたのか
1-1-3 国内ワクチン開発の現状
1-1-4 熾烈な国産ワクチン開発競争
1-1-5 新型コロナに感染しても「軽症で済む人」と「重症化する
            人」
1-1-6 田辺三菱製薬-メディカゴ社
⛨ 田辺三菱製薬 子会社開発のワクチン 年内にカナダで承認申請へ
9-3 治療薬
□ 細胞に侵入するのを防ぐ薬 
第10節 ウイルスとともに生きる
10-1 バイオハザード対策の発展史
10-2 高度隔離施設の現場へ
10-3 病原体の管理基準
10-4 根絶の時代から共生時代
第2章 COVID-19パンデミックとは何だったのか
第1節 各国の動向と対策の特徴
1.米国
1-1 COVID-19委員会の創設を提案
第2節 謎のCOVID-19起源
2-1 消えぬ武漢研究所人為的発生説
第3節 新型コロナウイルスで分かったこと
3-1 人体の免疫システムからの逃避機構
▶2021.11.16 北海道大学 
第4節 いつまで続く「コロナ禍」は?! 
人類が初めて直面した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)につい
ては、謎が多いだけに、科学的に疑念を抱かせる情報が氾濫している。
たとえば感染率ひとつとってみても、その数値や評価は様々。そこで、
病原性や感染力、各種の検査、日本の感染状況、そして出口戦略など
の様々な疫学的側面について、感染症疫学の専門家に解説
してもらう。
▶2020.5.12 適切な専門家に聞く「新型コロナ」の読み解き方 | ナシ
ョナルジオグラフィック日本版サイト
4-1 適切な専門家に聞く「新型コロナ」の読み解き方
4-1-1 (2020年)になって、にわかに注目され、3月以降、世界
的な一大問題になった新型コロナウイルス感染症COVID-19は、いまや
日本に住むぼくたちの生活にも大きな影響を及ぼしている。WEBナシ
ョジオのような科学系サイトのアクセスランキングを見ても、トップ
ページに表示される1位から5位まですべてが、「コロナ関連」である
ことも珍しくない。おそらくは、100年後の世界史の教科書に、時代
の変化の契機として項目が立つかもしれないと言っても、多くの人が
合意するのではないだろうか。 


図1 新型コロナウイルスSARS-CoV-2の電子顕微鏡画像
そんな中で、報道の科学的な側面がどれだけ適切なものか懸念を覚え
ることが多い。おそらく理由の一つは、誰もが関心を持つこのパンデ
ミックとその対策について、専門家に解説を求めようにも、その専門
家からして手薄だということに起因する。例えば、テレビの情報番組
に専門家枠で登壇するコメンテーターが「実は専門家ではない」問題
は、今回については特に深刻だ。 

終 章 ウイルス感染症と戦略『後手の先』

 

第7章 里死病がヨーロッパの租税を変えた

        この闘いに、朕は自ら出陣するつもりだ。

        広すぎる宮廷やむやみな大盤振る舞いのせいで
        少しばかり手元が苦しくなってきているから
        やむを得ず、王領の土地を耕させることとしよう。
        その収入で当座の必要を賄おう。
              ウィリアム・シェイクスピア、 
                           『リチャードニ世』(第一幕第四場)



【概説】
貨幣、帳簿、市場……資本主義の基幹エンジンたる仕組みの歴史を紐
解く。そしてケインズ、ハイエク、フリードマンの思想へ。ほころび
始めたグローバル資本主義の未来を見据えながら、その本質に迫る。
【目次】
第3章 君臨する経済学(間宮陽介『市場社会の思想史』一三三六
夜 ジョン・メイナード・ケインズ『貨幣論』一三七二夜 ほか)
第4章 グローバル資本主義の蛇行(マンフレッド・スティーガー『
グローバリゼーション』一三五八夜;スーザン・ストレンジ『マッド
・マネー』一三五二夜 ほか)
--------------------------------------------------------------
資本主義と自由⑫
 松岡正剛の千夜千冊⑱  交貨篇 1372夜(2010.7.17)
第3章 君臨する経済学
ジョン・メイナード・ケインズ『貨幣論』一三七二夜

ケインズの経済政策理論が復活している。他の経済理論が次々に失策
を演じたからなのか、それともケインズの理論にもともと一日の長が
あったのか、まだ判定はその決着を見ていない。しかし、ケインズ理
論が「大きな政府」論で、公共投資を重視するバラマキ政策だなんて
ことは、そもそもケインズのどこを読んでも書いてはいないことなの
だ。きっとケインズは誤読されてきたにちがいない。では、ケインズ
はいったい何を考えていたのかといえば、ひたすら貨幣の未来のこと
を考え抜いていたと松岡は考える。まずは、これまでの経緯つを縷々
述べこう口上を記す----何をいまさらケインズかという向きも少なく
はない。むろん21世紀の国際経済や国家モデルに合わないところは
いくらもある。しかし、アダム・スミスを読みなおすなら、次は騙さ
れたと思ってもいいから、ケインズを読みなおすべきなのであると。

①道路や住宅の建設を急いではいけない。そんなことをすれば雇用の
機会を使いはたす。②全員に職を与えようとしてはいけない。それで
はインフレを引き起こす。③投資を控えよう。採算がとれる保証がな
い。④政策を変えないほうがいい。リスクがふえるだけだ。⑤いま、
われわれは悲惨ではないのだ。安全第一にしているべきだとする、当
時の保守党政権が「国を混乱に導いた原因」をケインズが指摘してい
る。また、大蔵省(財務省)の顧問----1915年、時の大蔵大臣ロイド・
ジョージに古い手形の支払いを猶予して、新しい手形を保証するとか、
銀行と割引商社が不良債権の一部を保有するとか、第一次世界大戦で
ドイツを苦しめた賠償金問題をいちはやく打開する政策を提言--- と
して活躍する。その後、本格的な経済学の著作に取り組み、『貨幣改
革論』(1923・40歳)、『貨幣論』(1930・47歳)、そして“ケイン
ズ革命”とよばれた『雇用・利子および貨幣の一般理論』(1936・53
歳)のケインズ三部作。そして、インドの通貨問題を取り上げ、①マ
ネーサプライの問題、②デマンドサイドの問題の2つを考察し銀行
にだぶつく貨幣がある以上、金本位制を継続していることのほうがデ
メリットになると判断。①表券主義にもとづく貨幣、②代表貨幣、③
法定不換紙幣の3つの方向性の容認を特徴とした、「管理貨幣」(ma-
naged money)を発案し、管理貨幣、法定不換紙幣、商品貨幣の3種
をマネー・プロパー(本来の貨幣)に帰着するハイブリッド思考であ
り、デュアルスタンダードな貨幣論者だったという。
--------------------------------------------------------------
ケインズ全集 〈第5巻〉 貨幣論 1 貨幣の純粋理論 小泉明
ケインズ全集 〈第6巻〉 貨幣論 2 貨幣の応用理論 長沢惟恭
--------------------------------------------------------------
しかしながら世の中でおこっていることは、そのようなリクツだけで
は埒があかないことも、しだいに知れてきた。第一次世界大戦で莫大
な賠償金を抱えたドイツの現状を目の当たりにしたときは、そのドイ
ツがおかしくなればヨーロッパ経済も世界経済も一挙におかしくなる
だろうと推理して、むしろドイツの負債をチャラにすべきだとの暫定
的な結論も下していた。ケインズはリアリストでもあったのだ。
そうしたことを通してケインズの貨幣論は、しだいに人間社会におけ
る「貨幣の流動性」とは何かというほうに向かっていく。
                                                この項つづく
 
風蕭々と碧い時代

曲名:世界中の誰よりきっと(1992年10月)
唄 :中山美穂&WANDS 
作詞:上杉昇、中山美穂 作曲:織田哲郎 編曲:



「世界中の誰よりきっと」は、日本の歌手である中山美穂の25枚目の
シングルとして、自身と、ロックバンドであるWANDSによるコラボレー
ション・シングルである。
プロデューサーの長戸大幸が織田哲郎の作曲のストックから探し出し
て制作が行われた。企画時に提出されたデモの段階ではバラード調で
あった、中山のプロデューサーが「クリスマス向けのパーティー感が
欲しい」と依頼。葉山たけしによる派手な8ビートアレンジ、現在の
形となった。 メインボーカルを中山、コーラスを上杉昇(WANDS・当
時)が担当したが、2曲目の「PART II」では逆になっている。また、
「PART II」では曲調がバラード調にアレンジされており、2コーラス
目のサビがラストサビとなっている。 中山は以前からデュエットを
やりたいと思っていたが、これまで自身の感性に触れる男性がいなか
ったという。作詞にも携わった中山は今作が初めて納得のいく曲にな
ったと語っている。 コラボレーションをしたWANDSは本作より先に発
売されていたシングル「もっと強く抱きしめたなら」が後にオリコン
チャートの1位を獲得しミリオンセールスを達成するなど、ブレイクを
果たす。 

● 今夜の寸評:沸騰する欲望と対峙する知恵
オミクロン変異株の対応をみているとその国のリーダシップが伺え面
白い。英国や韓国などはなんてだらしないのだろうと思う。また、見
識の低さに驚く。いやいや、日本もわからないぞと吾が振りを直す。





"里帰り"弦楽器で四重奏コンサート 
▶中日新聞Web
12月18日、近江八幡市で製作されたビオラとバイオリン、チェロを使
った弦楽四重奏のクリスマスコンサートが、市内であり、故郷に「里
帰り」した楽器の柔らかな音色が聴衆を楽しませた。



 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 資本主義と自由⑪ | トップ | 資本主義と自由⑬ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

デジタル革命渦論」カテゴリの最新記事