離婁(りろう)篇 / 孟子
※ 終身の憂いあるも一朝の患いなし: 君子が一般の人と異なるのは、
自分の心を反省する点にある。君子は仁と礼を基卒にしてその心を
反省する。仁徳を身につけた人は、人を愛し、礼にかなった人は、
人を敬う。人を愛する者はいつも人に愛され、人を敬う者はいつも
人に敬われる。かりに暴逆非道な仕打ちを受けたとしても、君子は
必ずわが身を反省する。「わたしが不仁なのだろう。無礼なのだろ
う。きっとそうだ。でなくて、どうしてこういうことになろう」
反省してみて、自分が仁であり、礼にかなっているのに、相手の暴
逆非道が改まらないなら、君子はさらにわが身を反省する。「きっ
と誠実さが足りないのだろう」こう反省してみても、やはり自分の
ほうが誠実であって、相手の暴逆が改まらない場合、君子はこう考
える。「相手は無法者なのだ。あのざまは犬畜生となんのちがいが
あろうか。畜生を非難したところで始まらぬ」
それゆえ君子には、生涯を通じての悩みはあっても、外からくる心
の動揺などありえない。その君子の悩みとは何か。舜が人間なら自
分も人間である、だが舜は天下に模範を示し、後世にその名を残し
た。それにひきかえて自分は、平々凡々の俗人にすぎぬ、という悩
みである。これは悩むに足ることだ。ではどうするか。舜を見習う
こと、それだけだ。君子には外からくる心の動揺がない。仁に悼る
ことは行なわず、礼にはずれたことは行なわないのだ。たとえ外か
ら何かやって来ようと、悩まされることはない。
【超高品質蓄電池事業:最新グラフェン/全固体二次電池技術】
2004年に単層グラフェンの分離に成功して以来、研究・開発競争が世界各国で起こり、現在では年間27000
本を超える学術論文が発表されているが、昨年、2010年のノーベル物理学賞の対象にもなった「グラフェ
ン」。この薄くて強い新素材を3次元構造化することにマサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームが
成功している。炭素原子が正六角形で連なるように平面上に広がるグラフェンは、最も強く、軽く、導電
性の高い素材のひとつだ。単層のグラフェンを分離することは不可能だとされてきたが、2004年に英マン
チェスター大学で、グラファイト(黒鉛)の欠片とセロテープを使って得られることが発見され、研究者
たちは2010年のノーベル物理学賞を受賞。
グラフェンは、原子の厚みしかもたない2次元構造でこれを堅牢な3次元構造への展開しようと試みられ
ている――自動車や建物、機器などに利用できる――が、グラフェンの3次元構造化は強度の劣るもので
しかなかった。同研究チームは、一連の3次元構造体をつくって耐力試験を行う(上図参照)。コンピュー
タによる模擬実験で、あるグラフェンの構造体は密度が鉄の5パーセントにもかかわらず強度は鉄の101
倍になった。なお、こうした3次元構造の強固さは、グラフェンに限定されるものではないと同大学のマー
カス・ビューラーMIT土木環境工学科教授と付け加えている。
Wired Jan. 11, 2017
さて、今年に入って1月10日、柚原淳司名古屋大学准教授らの研究グループは、子スケールでの界面化
学反応性や物理的な界面歪みの制御で、広域の結晶性の高い2次元ハニカムシート構造の創製に世界で初
めて成功している。グラフェンは電気伝導率が非常に高く、機械的強度、化学的安定性に大変すぐれた物
質だが、バンドギャップの形成が困難で、エレクトロニクスへの応用の障害になっている(ここでいうバ
ンドギャップとは、電子が自由に動ける伝導帯と電子が動けない価電子帯のエネルギーギャップのこと)。
そこで、グラフェンを構成する炭素をシリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)で置き換えたシリセン、
ゲルマネン、スタネンなどと呼ばれるポストグラフェン材料(下表参照)――今回、グラフェンのように
原子ス ケールでバックリング(凹凸)していなく、かつ、数百nmの広域にわたり結晶性の高いスタネンの創
製。構成元素は質量数が大きいほど、スピン軌道相互作用が強く、特に、スタネンは、冷やすことなく室
温で2次元量子スピンホール効果やトポロジカルな超伝導など様々な応用が見込まれている。今後は、創製
したスタネンを半導体基板上への転写し、室温下でのスピントロニクスやトポロジカル超伝導体への応用
が待たれているが、グラフェンのように原子スケールでバックリング(凸凹)してないハニカム格子は発見
されていない。
理論的研究により、グラフェンの炭素をスズで置き換えたスタネンは、比較的大きなスピン軌道相互作用
を持つため、物質内部で金属ではなく半導体的な性質となりやすく、一方で、表面や端面等のエッジ部分
のみ電子が流れやすい状態が実現できると期待されています。このような物質をトポロジカル絶縁体と呼
び、現在、ナノテクノロジーの分野。実際に、このような物質が作製されたかどうかは、試料端面にて量
子スピンホール効果を測定することが必要であるが(下図参照)。
図1(a)Ag2Sn表面合金上に創製したスタネンの広域にわたるトンネル顕微鏡(STM)像。広い範囲にわたり
二次元スタネンが成長していることがわかる。(b)スタネンの低エネルギー電子回折パターン。スポット
強度が高く、スタネンの結晶性が高いことを示す。(c)(a)のSTM像の断面図。ステップ高さが250pm程度
であるから、スタネンが原子1層の厚みであることがわかる。(1pm=10-12m)(d)スタネンのSTM像。スズ
原子からなるハニカム格子が規則正しく並んでいることが詳細に観察できる。(e) (d)のSTM像の断面図。
スズ原子の高さ分布が測定限界以下の5pm以下であることがわかる。(f)スタネンの高分解能STM像と原子
配置モデル。尚、スピントロニクスとは、電子が持つ電荷とスピンの両方の性質を利用した新しい概念の
エレクトロニクス、現在、大変注目されています。トポロジカル超伝導体は、上述のトポロジカル絶縁体
との類似で、物質内部で超伝導ギャップを持ちながら、表面や端面等のエッジ部分でマヨナラ粒子 ――
例えば、電子の反粒子として陽電子が存在し、電子と陽電子は異なる粒子である。マヨナラ粒子とは、粒
子と反粒子の区別がつかない粒子であり、今から80年前に科学者マヨナラが予言した粒子。マヨナラ
粒子を利用した新しい概念の量子コンピュータが提案――と呼ばれる変わり種の粒子が現れると予言され
ている物質。
さて、今夜は、最新のグラフェン技術及びその応用技術、例えば、電子デバイス器機について、とりわけ
再生可能エネルギー関連事業分野、例えば、全固体(二次)電池などの「高品質蓄電池技術篇」と「それ以
外の関連事業分野」について明確にし考えて行くこととする。
Jan. 8, 2018
【グラフェンを使った電池レスの湿度センサ 】
英国University of Manchester(マンチェスター大学)の研究グループは、IoT(モノのインターネット)向け
に、グラフェンセンサを使ったバッテリーレスの湿度モニターを開発した。さまざまなIoT機器向けに、低
コストでセンサを製造する技術に応用できると期待される(「センサの低コスト化に道:グラフェンを使
った電池レスの湿度センサ EE Times Japan 2018年01月15日)。
同研究チームは、RFIDデバイスにグラフェンセンサを組み込み、バッテリーレスのスマート湿度モニター
を実現。この湿度モニターは、製造や食品、医療、核廃棄物処理のように繊細な作業が必要な現場で使用
するIoT(モノのインターネット)アプリケーション向けに開発された。同研究に関する論文は、電子ジ
ャーナル「Scientific Reports」に掲載された。研究チームは、グラフェンに酸化グラフェン(GO、グラフェ
ン誘導体)を積層し、フレキシブルなヘテロ構造を形成で、あらゆるワイヤレスネットワークに接続可能
な遠隔監視用の湿度センサを開発。現在試作段階の同デバイスは、受信機から電力を取得するので、バッ
テリーは不要である(上図参照)。
研究チームによると、同センサーは層ごとに印刷でき、超低コストでスケーラブルな量産を実現できると
する。 また、同技術を他の2次元材料と統合することで、ワイヤレスセンシングアプリケーションの新
たな展望が開かれる可能性があると話す。論文によると、同研究では、ギガヘルツ周波数帯のさまざまな
湿度条件下でGOの相対誘電率を計測した。その結果、水分を吸収して湿度が上がると、相対誘電率が増加
することが分かった。メガヘルツ以下の周波数帯では、湿度が減少すると相対誘電率が増加するが、ギガ
ヘルツ周波数帯での動作はそれとは異なる。酸化グラフェンのこうした電気特性を利用し、バッテリーレ
スの無線RFID湿度センサーを作製した。具体的には、印刷されたグラフェンアンテナをGO層でコーティン
グする。
GOおよびグラフェンアンテナの共鳴周波数と後方散乱相は周囲の湿度に敏感に反応して、RFIDリーダー
で検知される。これにより、任意の場所やアイテムに取り付けたデジタルIDで、ワイヤレスに湿度を監視
できる。同研究は、IoTアプリケーション向けの低コストで効率的なセンサの道を開く。グラフェンは200
4年にマンチェスター大学が発見し、初めて2次元材料として分離された。スチールよりも強く、軽量か
つフレキシブルで、銅よりも導電性が高い。グラフェンの発見以降、他の2次元材料も多数開発され、そ
の数は増え続けている。ファンデルワールスヘテロ構造を生成し、精密に選定した配列に2次元材料を積
層することで、特定用途に適合した高性能構造を作り出すことがきる。
Jan 5, 2018
【グラフェンによる電気的に切り替え可能なメタデバイス】
メタマテリアルは、従来の材料の限界を克服するためにサブ波長共振構造を一緒にする。アクティブなメ
タデバイスの実現は、幅広いダイナミックレンジで広いスペクトルにわたって動作する電気的に再構成可
能なコンポーネントを必要とする傑出した課題。しかし、メタマテリアルの既存能力はこの目標を実現す
るには不十分である。パッシブメタマテリアルとアクティブグラフェンデバイスを統合することにより、
マイクロ波周波数で動作する新しいクラスの電気的に制御されたアクティブメタデバイスを実証する(上
図参照)。
作成されたアクティブメタデバイスにより、電磁波の振幅(> 50 dB)と位相(> 90°)の両方の効率的な制
御が可能になる。このハイブリッドシステムでは、グラフェンはパッシブメタマテリアルの放射を制御す
る調整可能なドルイド金属として動作。さらに、個別にアドレス指定可能なメタデバイスのアレイを統合
し印加されたバイアス電圧で局所誘電率を再構成できる、新しいクラスの空間的に変化するデジタルメタ
表面を実証。
さらに、分割されたリング共振器の共振周波数を、グラフェンを介して2つの結合されたメタ表面の1つ
を減衰させることによって振幅を変えることなく再構成する。このアプローチは、電気的に切替え可能な
クローキング装置から適応的なカモフラージュシステムに至るまで、新しいアプリケーションを生むさま
ざまなメタマテリアルシステムを実装に十分であろう。
【最新グラフェンと蓄電池技術事例】
❏ 特開2017-188301 電極活物質ならびにそれを含む電極層および全固体電池
【概要】近年、携帯情報端末、携帯電子機器、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、更には定置型蓄電
システムなどの用途において、リチウムイオン二次電池の需要が増加している。しかしながら、現在使用
されているリチウムイオン二次電池の主流は、電極材料として、コバルト、マンガン、ニッケルなどのレ
アメタルと呼ばれる希少資源を用いるものであり、今後の安定供給に不安を残している。また、リチウム
イオン二次電池は、自動車や飛行機等の移動体にまでその用途が広がり、このような分野においては電池
のエネルギー密度を大きくすることが切望されている。エネルギー密度を増大させるために、電極材料と
して従来のレアメタルではなく、硫黄を用いることが検討されている。硫黄は、安価で豊富に存在してい
るため、安定供給も可能である。硫黄系電極活物質を用いた場合、電池の電圧は低くなる傾向にあるもの
の、正極活物質として現在最も広く使用されているLiCoO2に対して10倍以上の理論容量を得られ
る。従って、硫黄系電極活物質を用いることにより、電池電圧と容量を掛け合わせたエネルギーが十分に
高い電池を得ることができる。
このように、充放電容量、安定性等に優れたリチウムイオン二次電池を得るための電極活物質および電極
層の提供に当たり、一実施形態では、金属を含有する硫黄-炭素複合材を含む電極活物質、および該電極
活物質と錯体水素化物固体電解質とを含む電極層が提供されている。
そこで、 硫黄-炭素複合材(一般的には、「硫黄-カーボンコンポジット」とも称する)とは、硫黄と炭
素材料とを含み、これらを混合して加熱処理するか、またはこれらを機械的に混合することによって複合
化した状態のものである。より詳しくは、硫黄-炭素複合材は、炭素材料の表面および細孔内に硫黄が分
布している状態、硫黄および炭素材料がナノレベルで均一に分散し、それらが凝集して粒子となっている
状態、細かな硫黄粉末の表面や内部に炭素材料が分布している状態、またはこれらの状態が複数組み合わ
さった状態にある。硫黄としては、特に限定されるわけではないが、S8構造を有するα硫黄、β硫黄、
またはγ硫黄を使用することができる。硫黄の粒子径としては、大きすぎると混合性が悪くなり、小さす
ぎるとナノ粒子となって取り扱いが困難となることから、0.1~300μmの範囲であることが好まし
く、より好ましくは1~200μmであるが、 炭素材料としては、特に限定されるものではないが、例
えばカーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、Maxsorb(登録商標)、カーボンフ
ァイバー、グラフェン等を挙げることができる。
❏ 特開2017-162597 電極用材料、これを用いた全固体二次電池用電極シートおよび全固
体二次電池ならびに全固体二次電池用電極シートおよび全固体二次電池の製造方法
【概要】リチウムイオン電池には、電解液が用いられてきた。その電解液を固体電解質に置き換え、構成
材料を全て固体にした全固体二次電池とする試みが進められている。無機の固体電解質を利用する技術の
利点として挙げられるのが、電池の性能全体を総合した信頼性である。例えば、リチウムイオン二次電池
に用いられる電解液には、その媒体として、カーボネート系溶媒など、可燃性の材料が適用されている。
リチウムイオン二次電池において様々な安全対策が採られている。しかし、過充電時などに不具合を来た
すおそれがあり、さらなる対応が望まれる。その抜本的な解決手段として、電解質を不燃性のものとしう
る全固体二次電池が位置づけられる。
全固体二次電池のさらなる利点としては、電極のスタックによる高エネルギー密度化に適していることが
挙げられる。具体的には、電極と電解質を直接並べて直列化した構造を持つ電池にすることができる。こ
のとき、電池セルを封止する金属パッケージ、電池セルをつなぐ銅線やバスバーを省略することができる
ので、電池のエネルギー密度が大幅に高められる。また、高電位化が可能な正極材料との相性の良さなど
も利点として挙げられる。そこで、下図1のように、全固体二次電池において、良好な放電容量およびサ
イクル特性を実現できる電極用材料等の提供に当たり、活物質と、周期律表第1族または第2族に属する
金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質と、交換性陽イオンとしてのリチウムイオンを含む粘土鉱
物とを含有する電極用材料であって、粘土鉱物が、水和水を含まない電極用材料、これを用いた全固体二
次電池用電極シートおよび全固体二次電池ならびに全固体二次電池用電極シートおよび全固体二次電池の
製造方法を提供する。
図1
1 負極集電体 2 負極活物質層 3 固体電解質層 4 正極活物質層 5 正極集電体 6作動部位
10 全固体二次電池 11 2032型コインケース 12 全固体二次電池用電極シート
13 コイン電池
ここでは、グラフェンは「導電助剤」として候補されており、電極用材料は、活物質の電子導電性を向上
させる等のために用いられる導電助剤を適宜必要に応じて含有してもよい。導電助剤としては、一般的な
導電助剤を用いることができる。例えば、電子伝導性材料である、天然黒鉛および人造黒鉛などの黒鉛類、
アセチレンブラック、ケッチェンブラックおよびファーネスブラックなどのカーボンブラック類、ニード
ルコークスなどの無定形炭素、気相成長炭素繊維およびカーボンナノチューブなどの炭素繊維類ならびに
グラフェンおよびフラーレンなどの炭素質材料であってもよいし、銅およびニッケルなどの金属粉または
金属繊維でも良く、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレンおよびポリフェニレ
ン誘導体などの導電性高分子を用いてもよい。またこれらの内1種を用いてもよいし、2種以上を用いて
もよい。本件の電極用材料が導電助剤を含む場合、電極用材料中の導電助剤の含有量は、0~10質量%
が好ましいとしている。
❏ US 9865899 B2 All-solid-state secondary battery with solid elecオリビン型trolyte layer containing par-
ticulate precipitate of an olivine-type crystal structure : 結晶構造の粒子状析出物を含む固体
電解質層を有する全固体二次電池 太陽誘電株式会社
【概要】固体電解質層と、固体電解質層と、正極活物質層と第1の集電体層とを含む正極層と、前記固体
電解質層を挟んで前記正極層および前記負極層が第2の集電体層を含む負極層と、前記正極活物質層は、
オリビン型の活物質からなり、前記固体電解質層は、ナシコン型のリン酸塩からなることを特徴とする前
記固体電解質層は、前記正極活物質層を構成する元素と同じ元素を含むオリビン型結晶構造を有する粒状
析出物を含むことを特徴とする。
この項つづく
Jan. 16, 2018
● ステラ社 ティルブルグの3MW屋根型ソーラー電気自動車製造工場
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