極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

東方賢者の選択 Ⅱ

2016年07月06日 | 時事書評

 

 

                       知ることは、超えることの前提である。

                      

                                            
                             Takaaki Yoshimoto 25 Nov, 1924 - 16 Mar, 2012 

 

● 愛犬に抗鬱剤を投与するって?!

愛犬のシェルが亡くなり5年が過ぎる。今でも抱き上げた感触は消えていない。不思議な存在だったん
だとksくにんする。ところが、ペットなどの小動物医薬品市場が、先進国の主要都市を中心として成長
――世界の動物用医薬品市場は、約 約2兆円($1=¥89:2010年)と推 計され、その中で日本市場は
約894
億円(世界の4.8%)を占める。因みに、世界の医薬品市場は、およそ 約77兆円、その中
で日本市場は約7兆円で、世界の8.8%――してきているが、精神が不安定な愛犬などに抗鬱薬を投与
することはいまや常識らしい。そんなことして問題ないのか?と、「彼女と彼女」の写真立てを眺め、
ふと素人の老婆心(下図ダブクリ参照)。
 

● 世界初、3次元物体表面に多層カーボンナノチューブを成長

5日、産業技術総合研究所の研究グループは、世界で初めて、大気中での簡単な表面処理により、カー
ボンナノチューブ成長に必要な触媒の担持層を成膜させ、複雑
な形状で大型の3次元物体の表面に、多
層カーボンナノチューブを成長させることに成功する。次世代光学機器用の遮光材
の開発や放射温度計
校正用の標準光源の高度化へ応用できると期待されている(下図参照)。図1を見ると、粒子ブラスト
処理後のタングステン基板に、多層カーボンナノチューブ成長させ、粒子ブラスト処理後、基板を加熱
炉に設置し、基板付近に置いた有機鉄化合物(フェロセン)の粉末が昇華して発生した鉄蒸気に曝して
触媒を担持。その後、アセチレンと窒素の雰囲気下に基板を置き加熱し、基板表面に多層カーボンナノ
チューブを成長させている。



 

上図の特許のように、高い放射率を有する光学部材は、例えば、望遠鏡、カメラ、測定機器、放熱部品、
黒体炉標準反射板、ヒーター等の幅広い用途に必要とされ、カーボンナノチューブ(CNT)やカーボン
ナノファイバー(CNF)のような繊維状かつ微細な構造を有する炭素物質膜を金属や炭素材料の表面に
成長させることで表面の放射率(吸収率)を1に近づける表面処理技術として、光学機器内部の乱反射
防止コーティング、放熱部材、黒体炉等の性能向上に大きく貢献できる技術である。これは面白い。

 

   

【帝國のロングマーチ 14】    

     

● 折々の読書  『China 2049』34    

                                          秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」     

                                          マイケル・ピルズベリー 著
                                               野中香方子 訳     

ニクソン政権からオバマ政権にいたるまで、米国の対中政策の中心的な立場にいた著者マイケル・ピル
ズベリーが自分も今まで中国の巧みな情報戦略に騙されつづけてきたと認めたうえで、中国の知られざ
る秘密戦略「100年マラソン( The Hundred-Year Marathon )」の全貌を描いたもの。日本に関する言及
も随所にあり、これからの数十年先の世界情勢、日中関係そして、ビジネスや日常生活を見通すうえで、
職種や年齢を問わず興味をそそる内容となっている。 
     

 【目次】

   序  章  希望的観測
 第1章 中国の夢
 第2章 争う国々
 第3章 アプローチしたのは中国
 第4章 ミスター・ホワイトとミズ・グリーン
 第5章 アメリカという巨大な悪魔
 第6章 中国のメッセージポリス
 第7章 殺手鍋(シャショウジィエン)
 第8章 資本主義者の欺瞞
 第9章 2049年の中国の世界秩序
 第10章 威嚇射撃
 第11章 戦国としてのアメリカ
 謝 辞
 解 説 ピルズベリー博士の警告を日本はどう受け止めるべきか
     森本敏(拓殖大学特任教授・元防衛大臣)    

      

   第7章 殺手鐗(シャショウジィエン)

                   難知如陰、動如雷震
                   ――知り難きこと陰の如く、動くこと雷の震うが如し

                                    『孫子』軍争篇

  さらに調査を進めるうちに見えてきたのは、軍事に関わる文脈において殺手は、自国より強
 い国の急所をついて勝つための非対称兵器を指しているということだ。そ
の訪葉は何度も現れた
 が、最初のうちわたしはそれを、中国が夢想する技術や目標な
のだろうと考えていた。殺手鐗と
 いう言葉は曖昧なので、単に「進歩した」あるいは
「未来型の」兵器、という意味だろうと思っ
 ていた。わたしはさらに調査を進め、アメ
リカの情報アナリストにも殺手鐗の意味を尋ねた。殺
 手鐗は確かにさまざまな文献に
何度も登場していた。

  アメリカは戦争を軍事的手段という方向からしか見ていないが、孫子のような古代中国の思想
 家が説く、より幅広い戦略では情報、経済、法律が強調される。「明らか
に、戦争の概念を拡張
 しているのは、その手段の多様性だ」と、喬良と王湘穂は、議
論を招いた1999年の著書『超
 限戦』で述べている。

 「戦場はあなたのすぐ隣にあり、敵はあなたが使うネットワーク上にいる。火薬のにおいも血の
 においもしないが(中略)明らかに戦争は、兵士、軍隊、軍事的衝突を超越
しつつあり、次第に
 政治、科学、そして金融の問題になりつつある」
  
9・11テロ事件の2日後、このふたりの大佐は中国共産党の機関紙によるインタビューを受
 け、その攻撃は「中国にとって好都合一であり、アメリカが非従来型の攻撃に対して脆弱である
 ことが露呈した、と述べた(注6)。



  2000年、わたしはCIAのために殺手鐗に関する報告を書いた。1年後、CIA本部から
 電話がかかってきた。ディック・チェイニー副大統領と側近は、CIAの分析官から大統領と国
 家安全保障会議(NSC)に送られた最新の報告書に、殺手鐗という言葉が何度も出てくるのを
 見て、その背景と意味を知るために、わたしに連絡してきたのだ。側近は、わたしの報告を聞い
 て驚いた。しかしわたしは、中国による危険な武器輸出は今後減るだろうと予測し、殺手洞は願
 望にすぎず、現在、中国はそれを稼働できるわけではないし、積極的に開発しているわけでもな
 い、と言い添えた,チェイニーは、中国が衛星攻撃プログラム、対ステルスプログラム、あるい
 は空母キラーミサイルを持っているのかどうかを極秘衷に調べさせた。答えはすぐ見つかった。

  現在わたしは、殺手鐗が100年マラソンにおける軍事戦略の重要な要素だということを知っ
 ている。殺手鐗は、中国の軍事指導者がいつか作りたい、あるいは、作るだけの力を備えたいと
 夢想する、奇矯な兵器などではない。彼らはすでに数十億ドルを投じてそれを進めており、一世
 代のうちに西洋列強の従来型の軍備を圧倒する軍事力を備えようとしている。それも西洋に気づ
 かれないようじわじわとである。



  しかし、国力を高めようとする中国の指導者が追求するのは、ハイテクの兵器システムだけで
 はない。1986年3月に始まった中国の「高技術研究発展計画」(「863計画」とも呼ばれ
 る)は、科学と技術によって国防の遅れを埋め合わせようとする大きな試みだった。進行中の8
 63計画には、民間・軍事両用の技術(バイオ術、レーザー技術、新素材など)が含まれる。8
 63計画は、「自主創新」戦略の基盤ともなり、2006年に、「国家中長期科学技術発展計画
 (MLP、2005~2020年)」に組み込まれた,自主創新戦略は、外国のR&D資本、技
 術譲渡、外国の企業や研究機関での中国人エンジニアと科学者の育成を通して、軍事・民事の両
 方で活用できる技術力を高めようとするものだ

  近年、中国の指導者は863計画に投入する資金を大幅に増やし、その領域を広げている,M
 LPは、それまで中国が進めてきたなかで最も野心的な科学技術計画になった。電気通信、航空
 宇宙科学などの16の「国家的メガプロジェクト」が「最優先中の最優先事項]として発表された
 が、そのうちの三つは機密扱いになっている,MLPと863計画が民間・軍事両用を掲げてい
 ることは、中国の長期的軍事計画と民間の科学技術開発が、土台部分で結びつきつつあることを
 反映している(注7)。

 Michael Raska for The Diplomat Sep 03, 2013

  アメリカの中国強硬論者の多くは、外洋海軍の拡大、新型のステルス戦闘機、弾道ミサイルの
 増強などからなる中国軍の増強を大声で喧伝してきた。米中の戦争がすぐ間近に迫っているよう
 な口ぶりで、それは空と開かれた海で戦われる、と彼らは言う(注8)。しかし中国の行動は往
 々にして、このような主張と矛盾する。中国が(ヒトラーやスターリンに倣って)近隣諸国やよ
 り遠い国を、積極的に攻撃し、支配するために、大きな軍隊を作ろうとしているという予想を裏
 づける証拠は今のところ見つかっていない



  アメリカの戦力投射システムの要素には、前線に配備された大陸間弾道ミサイル(ICBM)
 と基地、戦闘機への燃料補給能力、核爆弾、長距離の軍隊輸送能力が含まれる。ソビエトはこの
 アメリカ流の戦力投射を真似ようとしたが、中国はそうしないことを決めた。なぜなら、早まっ
 てそのようなことをすれば、覇権国の怒りを買い、戦国時代の教えに背くことになるからだ。中
 国の指導者は知っていた。かつてソ連の軍拡がアメジカを警戒させ、第二次大戦中にスターリン
 が結んだ米ソの協力体制は打ち切られ、ソ連への投資や貿易は禁止され、ついには冷戦が始まっ
 ことを。中国政府はモスクワの轍を踏むまいと誓った。そんなことをすれば、マラソンはゴー
 ルに行き着かずに終わる。

  中国は、アメリカと競うために軍備を増強するどころか、長距離爆弾、陸上部隊、核を搭載し
 たICBMといった従来型の戦力投射手段への投資を、ほとんどかまったく増やしてしていない。
 むしろ大幅に削減している。一方で先進兵器への支出は、過去10年間で劇的に増えた。200
 2年にアメリカ国防総省が議会に提出した、「中国の軍事力に関する年次報告書」には大胆な主
 張が記されている。中国の防衛予算は、中国政府が公表している金額の2倍だったのだ。
 
  なぜ中国は軍事支出をそれほど大幅に偽ったのだろう。間違いなく、中国の指導者には戦略的
 意図があり、その着想は、古代の歴史に得たものだ。「中国は平和衷に隆盛しつつある」という
 イメージを維持するには、軍事支出や先進的な戦力への投資を秘密にしなければならない。近隣
 の国々や西洋諸国(とりわけ、覇権国アメリカ)に警戒心を抱かせ、軍拡競争が始まったりする
 ことは絶対に避ける必要がある。



Modernizing China's Military: Opportunities and Constraints Jun 1, 2005

  国防総省からの委託でランド研究所が行った研究によれば、2030年までの間に、中国は海
 軍、空軍の新兵器に1兆ドル以上を投入できるようになる(注9)。アメリカの状況はこれとは
 逆の方向に進んでいる。たとえば、米海軍の艦船は2050年までに250隻以下となり、その
 大半は沿岸地域での戦闘用の小型船だ。また米空軍はいまだに1970年代に開発された技術に
 頼っている。それを考慮すると、今世紀半ばまでに、中国の軍事力はアメリカに勝るか、少なく
 とも同等になると予測できる。未来の軍事カバランスは少しずつシフトしており、10対1のア
 メリカ優位から5対5になり、そして最終的には、中国が優位に立つ。2013年12月の米議
 会の証言で、今後30年間、斬たな軍艦の価格は上昇するが、米海軍の造船予算は毎年150億ド
 ル削減されるという見通しが報告された(注10)。アメリカが優位を保つ唯一のチャンスは、よ
 り優れた技術と、国防総省のエア・シー・バトル構想のような、殺手鐗
計画に対抗する手段を開
 発することだろう。エア・シー・バトルは、空軍と海軍の長所を生かして、航行の自由に異を唱
 える敵対国に対抗するものだ(注11)。
 

 
The China Fallacy: How the U.S. Can Benefit from China's Rise and Avoid Another Cold War:
Donald Gross: Bloomsbury Academic

今回は中国の覇権過程の再確認作業。

                                                           この項つづく

● 東方賢者の選択 Ⅱ

3年半で62カ国・地域──安倍晋三首相が外遊した数は、それを大きく引き離す。外交の活発さは第
2次以降
の安倍政権の特徴だ。なぜ安倍政権は外交に力を入れてきたのか。アメリカが「世界の警察官」
をやめる一方、
ロシア、中国は「力による現状変更」を打ち出していく。揺れる世界の中で、安倍外交
の1300日の成果が問われているが、いま、さまざまな、評価、予測、提言がなされているが「グラ
ンド・ストラテジー構築」には、精緻な解析の上、これまでの「常識を覆す大胆な発想」をもった練り
上げが必要とされる。非暴力(=いかなる集団による自由な意思の圧殺を認めない)による積極的平和
主義とこれ以上の経済格差拡大を認めず是正する積極的福祉主義社会の実現のためには、「共生と贈与」
の政策推進は不可欠であることをまず確認しておこう。「一人は世界のために/世界は一人のために」
(歌謡曲歌詞に似たような言葉があったけな?!)。

  ● 今夜の一曲

J・J・ジョンソン(James Louis Johnson, (Jan 22, 1924 – Feb 4, 2001)は、スウィングジャズ期末期からモ
ダン・ジャズ時代にかけて活躍したトロンボーンプレイヤー。モダンジャズのトロンボーン演奏といえ
ば彼を指すほどに著名な存在。スウィング・ジャズ時代の花形楽器トロンボーン、モダン・ジャズ時代
になるとあまり省みられなくなるその理由のひとつにトロンボーンの持つ構造的特徴にある。トロンボ
ンはトランペットやサックスのようにバルブやキーを操作することで音階を変化させるのではなく、
スライドを伸縮
させることによってそれを行うが、中間音(ハーフトーンやクォータートーン)を容易
に出せ、スライドトーンといった
表現できる。アンサンブルを重視するビッグバンド・ジャズにおいて
バンドや曲自体の性格を決定する「核」
の役割を担う。

しかしその後に訪れたビバップ時代は、スピード感あふれる素早い音の切り替えや高音域をカバーする
幅広い音
階を多用したアドリブプレイ重視となり、逆に欠点となって、ジャズ楽器の主流のから落ちて
いく。
J・J・ジョンソンは「トロンボーンのディジー・ガレスピー」の超絶的技巧で、この欠点を克服
し、モダン・ジャズのトップ・プレイヤーの地位を確立。同時に、以降の時代におけるトロンボーンの
ジャズ楽器としての可能性を示し、多くの後進たちに多大な影響を与えた。その高速フレージングは、
わざわざアルバムジャケットに「バルブトロンボーンに非ず」との注記まで付け加えられるほどであった。

 

 ● 今宵のカクテル

 Dirty Martini

                                               

 

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